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色を司りし者  作者: 彩 豊
第7色 無の国 第一章 虹無対戦
542/546

7-1-52(第541話) 虹無対戦~無の国編その15~

「ここは・・・?」

 【虚空】に捕らわれた者の一人、クリムは戸惑っていた。

「まさか、さっきの黒い何かの中・・・?」

 クリムは周囲に手を伸ばす。周囲が真っ黒だからか、距離感がまったく掴めない。

「何にも、ない・・・!?」

 手を伸ばしてもなんの感触もないことを実感した直後、クリムの中にある感情が流れ込んでくる。

「これは・・・私独り?」

 その感情は、孤独。クリムの中に、クリムしかいない時の感情がどこからか流れ込んでくる。

「!?」

 瞬間、クリムは立っていられなくなり、地面に膝をつけてしまう。

(これほど独りが辛いなんて・・・!)

 流れ込んできた感情は、独りでい続けたことによる孤独の絶望。

 この場には誰もいないはずなのに、日々誰かから罵詈雑言をくらっていく。時間が経過していく度に罵倒する内容もひどくなり、ついに手も出されてしまう。反撃したかったのだが、何故かこちらから攻撃を試みても感触はなく、罵詈雑言は酷くなるうえ、暴力も止まらない。最初は反撃しようと戦闘態勢をとり、魔法を発動させていたのだが、魔法等の攻撃が無駄だと分かると、次は耳をおさえ、体を丸める。罵詈雑言を聞こえなくする為、体への負担を少しでも減らす為である。

 だが、いずれの行為は無駄に終わる。声は脳に直接響いている為、耳を塞いだところで無意味だった。体も、ただ丸めただけなので、ダメージを完全にシャットダウン出来ているわけではない。そして、徐々に蓄積し続けているダメージは肉体だけでなく精神も蝕んでいく。

 そして最悪なことに、この状況を共有出来ず仲間がすぐそばに誰もいなかった。その孤独が更にクリムを追い詰める。

 そうやって追い詰められた結果、

「・・・」

 頬はこけ、目に映っていた闘争心が完全に消えていた。絶対にカラトムーガを倒し、彩人と共に未来を手に入れる。その強固な意志が完全に折られてしまったのである。

 【虚空】内で経過する時間は外と異なっていた。だからなのか、【虚空】内に閉じ込められてから僅かしか時間が経過していないのに、十年以上閉じ込められたような、そんな焦燥感があった。

(アヤトはこのような仕打ちに日々、耐えていたのですね・・・)

 そして、彩人がいじめられている時の出来事も同時に流れ込んでくる。

 孤独の絶望、物理と精神による攻撃、大切な仲間が今まで受けてきた仕打ちの内容に、クリムの目から涙がこぼれる。

「ごめんなさい、気づいてあげられなくて、ごめんなさい・・・、」

 クリムは懸命に、彩人に謝罪する。

 この現象は、クリムだけに起きたことではなかった。

「お兄ちゃん・・・、」

「アヤト・・・、」

「アヤトさん、まさかこれほどのことを・・・、」

「ご主人様、気づいてあげられず、申し訳ありません・・・、」

「・・・アヤト、今まで、ごめん・・・、」

 ルリ達もまた、【虚空】からの物理的、精神的攻撃に体も心もやられていた。この絶望的な状況から抜け出す方法を考えた結果、

「死のう」

 自殺だった。クリム達は不可避の物理攻撃、精神攻撃から免れようと、必死で考えた結果だった。それぞれ、自身の首に手をあて、力を込め始めた時だった。

「おっと。それはまだ早いぜ」

 クリム達の手を掴んだ者がいた。

「・・・アヤ、ト?」

 それは彩人だった。

次回予告

『7-1-53(第542話) 虹無対戦~無の国編その16~』

 【色分身】の彩人達は、【虚空】に捕らわれたクリム達を救おうと奮闘する。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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