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色を司りし者  作者: 彩 豊
第7色 無の国 第一章 虹無対戦
541/546

7-1-51(第540話) 虹無対戦~無の国編その14~

「そう、か」

 ひとまず俺は死んでいなさそうだ。

 だが、

「リーフ達は、もう・・・、」

 いない、と言おうとした瞬間、俺の胸ぐらが掴まれる。

「だから!もっとよく周りを見ろと言っているだろうが!!」

 俺は赤い俺に怒鳴られる。

「周り、を?」

 俺は周りを見る。

(・・・色んな色の俺がいるだけじゃないか)

 周りを見たって何も変わらない。俺以外の仲間が、大切な仲間の死は変わらない。

「周りと言っても、ただ俺達の顔を見ろ、という意味じゃない。もっと【魔力感知】に意識を集中しろ。そう言っている」

「【魔力、感知】・・・、」

「そ、そうすれば分かるはず、だよ?」

「そうだよ!なんだって【色分身】の僕達でさえ分かっているんだよ!」

「まったくだな」

「まずは何か胃に入れてから【魔力感知】した方が・・・え?いらない??あ、そう」

 俺は【魔力感知】をする。

(やっぱり【魔力感知】してもリーフ達は・・・え?)

 この魔力、俺の魔力でもセントミアさんの魔力でも、カラトムーガの魔力でもない。この魔力は、今まで何度も何度も感知した覚えのある魔力はまさか・・・!?

「生きている、のか?」

 俺は周囲の俺に聞く。すると、六人の俺は一斉に頷いた。

「そう、か」

 まだリーフ達は生きている、のか。ならこれから助ければ・・・助ける?

(一体どうやって?)

 リーフ達全員、あのカラトムーガが放った【虚空】とかいう魔法で封じ込められているはず。その魔法から一体どうやって・・・?

「・・・やっと、やっと分かった気がするぜ」

「だな。少し落ち着いたら分かることだろうに」

「えと・・・大丈夫、だよ?」

「まったく。君は今、何も見えていないのかな?この僕という光を!」

「今、貴様の目に何が映っている?それが答えじゃないのかね」

「このホットケーキこそ答え・・・え?それは違う?そ、そう・・・、」

 ・・・本当にこいつらは俺の分身なのだろうか?時々、こんな状況でもボケている奴がいるのだが?いや、本人にはボケている自覚がないのかもしれない。

「俺達が、お前の代わりにクリムを助ける!」

「それじゃあ俺はルリを助けよう」

「リーフで。こんな自分に助けられたくないかもだけど」

「僕はモミジを助けるよ!」

「なら私はクロミルを助けるとしよう」

「それじゃあ俺はイブを助けよう。食べ物で上手く助けられるだろうか」

 俺は俺自身の発言に戸惑う。

「ほ、本気で言っているのか?」

 あの魔法、【虚空】がどういう魔法なのかも、突破方法も分からないのにどうやって助けるつもりなのだろうか。

「もちろんだ!」

「例え分からなくてもやるしかない」

「で、でも!やる価値はあると思う、な~?」

「目立ちに目立っている僕を見れば、きっと助けられるさ!」

「・・・相変わらず自分なのに、何を言っているのか分からないな。だが、助けることには同意だ」

「さて、これからも美味しいご飯を食べる為に頑張るとしよう」

 だが、こいつらは全員本気らしい。

 本気で、リーフ達を助けようとしているんだ。

(それなのにいつの間にか俺は、助けられない理由ばかり考えていた・・・!)

 これは、助けられないかどうかじゃない。助けたいか助けたくないか、だったのだ。

「・・・俺は、何をすればいい?」

 その声を聞いた他の俺達はというと、

「そこで待っていてくれ」

「肝心のお前が死ぬと、俺も死ぬからな」

「こっちは自分達に任せて、ね?」

「君に仲間の存在を教えてあげるよ!」

「そうだ。貴様には既に、数多くの仲間がいる」

「食べ物を一緒に食べてくれるような、そんな素敵な仲間を必ず助ける」

 そう言い、他の俺達は俺に背中を見せ、その場から消えていった。

(・・・頼む。どうか、どうか!)

 俺は全員の無事を願う。

「!?」

 ここで急に視界が変化する。

 どうやら心の中から現実へ戻ってきたらしい。

「この【虚空】に飲み込まれた者共はもう一生、生きてこの空を見ることはないだろう」

「どういう、ことだ?」

 俺はカラトムーガの言葉に反応し、質問する。俺の質問にカラトムーガはニヤリと笑い、待っていましたと言わんばかりに答える。

「この【虚空】から出るたった一つの方法。それは・・・、」

(それは・・・、)

 俺はカラトムーガの答えを集中して聴く。

「死ぬことだ。死んで初めて、【虚空】が自動的に解除される。それ故、一度【虚空】に閉じ込められたら二度と空を見られぬと思え」

 このカラトムーガの言う事が正しいなら、この【虚空】で捕らえられたら死ぬまであの中から出られない、ということになる。

(そんな魔法を相手に、【色分身】の俺達はどう動くつもりなのだろうか?)

 俺は改めて【虚空】を見る。その後、

「見られるさ」

「なに?」

 俺はカラトムーガの後に言葉を続ける。

「俺がその【虚空】からリーフ達を開放し、またこの空の元で笑っていられるようにするさ」

「ふ。そんなことはあり得ん。絶対にな」

 俺はその言葉を聞き流す。

(確かに今の俺独りならカラトムーガの言う通り、何も出来ずにリーフ達を死なせていたところだろう)

 だが、今は違う。俺には、【色分身】で増えた俺達がいる。

(絶対、救ってくれ!頼む!!)

 俺は心の中で祈り始める。リーフ達の笑顔をイメージしながら。

次回予告

『7-1-52(第541話) 虹無対戦~無の国編その15~』

 【色分身】で分身した彩人達は、死ぬことでしか出ることが出来ない【虚空】に捕らわれてしまったクリム達を助けに向かう。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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