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色を司りし者  作者: 彩 豊
第7色 無の国 第一章 虹無対戦
540/546

7-1-50(第539話) 虹無対戦~無の国編その13~

「ほぉ?我の魔法の性質に気づいたのかね?」

「ええ。一度推測を立ててから検証しましたからね」

「ねぇ?どういうこと?そういえばさっきから攻撃が効いたり効かなかったりしていたけど、何か秘密があるの?」

「ええ」

 クリムの疑問にリーフは答える。

「あの者はどうやら、一個人に対する攻撃を完全に無効化し、防御不能な攻撃を繰り出すことが可能のようです。そしてその個人は任意に設定変更出来るようですね。ですがそれはあくまで、一個人の場合です。何が言いたいかといいますと・・・、」

 リーフはカラトムーガに向けて細剣を向ける。

「複数人で同時に攻撃したり防御したりすれば、あなたに攻撃は通りますし、あなたの攻撃も防御可能になる、ということです」

 リーフは断言する。

「ま、途中からイブ、クロミルちゃんは気づいていたようですがね」

 リーフはイブとクロミルを見る。

「・・・途中からやけに複数人での攻撃を指示していたから、その可能性は考慮していた」

「私はただ、リーフ様を信じていただけです」

「・・・どうやら、ただの女共ではなさそうだな」



(う、嘘だろ・・・?)

 俺は今、信じられない光景を見ていた。

 俺の攻撃が一切通じず、俺の防御を貫通して攻撃してきたカラトムーガを相手には互角・・・いや、互角以上に戦っていた。

(ど、どうして・・・?)

 理由は分かっている。

 リーフがカラトムーガの魔法を見破り、その性質に対応したからだ。

(まさかカラトムーガの攻撃と防御にそんなカラクリがあったなんてな)

 だから個人で攻撃してもその攻撃を無効化出来、個人で防御してもその防御を貫通してきたのね。俺独りがどれほど攻撃したり防御したりしてもカラトムーガは無効化していた理由が分かったわ。

(だから今回の戦いは、リーフ達の協力が必須というわけか)

 納得したくないが、この場でリーフ達が戦ってくれているのはいい。

 だが、一つ許せないことがある。

(どうして俺は今も倒れたままなんだよ!?)

 それは、リーフ達が今も戦っているにも関わらず、俺が地面に横たわっている事だ。

(立て!立てよ!!)

 だが、俺の体は言う事を聞かない。聞いてくれない。

「大丈夫ですよ、アヤトさん」

 俺に話しかけてきたのはモミジだ。今も死にかけの俺に緑魔法をかけてくれている。

(緑魔法で俺の中にいる植物達を活性化させ、自然治癒力をあげているのか)

 俺は、自身がどんどん回復していることを理解していく。

「今、私達はあの者を倒す為、協力して戦ってくれています。ですから、ここは私達に任せて少し休んでいませんか?」

「・・・どうして、ここまで優しくする?」

 俺はモミジの言葉に疑問を抱き、質問をモミジにぶつける。

「・・・優しくしたつもりはありません。なにせ私はこの後、いっぱいアヤトさんに文句を言うつもりですからね」

「文句?」

「そうです、文句です」

 そう言うと、モミジの顔は少し膨れる。

「アヤトさんが私に行ったこと、私達に黙って去ったこと、未だに許していませんからね?この件が終わったら、いっぱい、いーっぱい言いたいことがありますから!」

(・・・俺、この戦いが終わったら色々覚悟した方がいいかもしれないな・・・、)

 俺は内心、この戦いが終わらなければいいな、なんて思ってしまう。いや、絶対そんなことはない。俺達の勝利で終わってほしいのだが、終わった後で、俺が怒られるとなるとちょっと嫌だな。

「アヤトさんはそこで見ていてください。私達がこれからあいつを倒してみせますから。それじゃあ、行ってきます!」

 そう言い、モミジは俺の元から去っていき、カラトムーガの元へ向かっていった。

(すげぇ。すげぇよ)

 強いな。俺より、強い。

 なにせ、俺が敵わなかった相手に、リーフ達は互角以上の戦いを繰り広げているのだから。

(このまま勝ってくれ!)

 俺はリーフ達の勝利を心から願う。

 今も戦況はリーフ達の方が優勢だ。このまま、優勢のまま勝ってくれ!

「いい加減、貴様らのその連携を崩すとしよう」

 その言葉が聞こえたと思ったら、カラトムーガはリーフ達に向けて手をかざす。

「この空間にて、永遠の孤独に絶望せよ、【虚空】」

「!?」

 瞬間、リーフ達の足元が黒く染まり始まる。

(やばい!!??)

 何がどうやばいのか一切分からないが、俺の直感がこう告げている。

 あの魔法をくらうな、と。

「みんな、避け・・・!」

 言い終える直前、リーフ達はこっちを向いた。その直後、リーフ達は黒い何かに飲み込まれてしまう。

「あ」

 そして、誰もいなくなった。

 そう、誰も・・・。

「また、私は残ってしまった・・・、」

「!?」

 そうか。まだセントミアさんがいたのか。今の今まで忘れていた。

(元を正せばこいつが・・・!?)

 いや、セントミアさんもある意味被害者だ。この人を責めるのは違うだろう。

 それより責めるべき奴がいる。

 それは・・・俺自身だ。

(俺はまた、助けられなかった)

 俺は緑の国の出来事から何も成長出来ていやしなかった。

 結局俺は、何も出来ない人間だった。いや、今は人間ですらない。今の俺は人間でも魔獣でもない、ただの・・・ただの、

「おい、お前は一人じゃないぞ?」

「!!??」

 突然、何者かの声が聞こえてきて驚愕する。

(この声、誰だ!?)

 少ししか聞いていなかったが、少なくともセントミアさん、カラトムーガの声じゃなかった。そうなると一体誰の声だ?

「まったく。少しは冷静に物事を見てほしいものだな」

「ま、まだ、諦めちゃ駄目だと思う、よ?」

「まずは自分を目立たせることから始めようよ!」

「それを言うなら、真っ先に正義を執行するべきだろうに」

「まぁまぁ、まずはお腹を満たしてから考えようよ」

(この声、まさか・・・!?)

 声の正体は、【色分身】で分身した俺だった。

(というかここは、さっきまでいた場所じゃ、ない?)

 ここはどこだ?もしかしてここは・・・?

「そう。ここはお前自身の心の中だ」

次回予告

『7-1-51(第540話) 虹無対戦~無の国編その14~』

 彩人が自身に絶望していると、突如何者かの声が聞こえた。その者は、敵対していたセントミアでもカラトムーガでも、リーフ達でもなく、【色分身】で分身した彩人自身だった。アヤトは自分自身からあることを聞かされる。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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