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色を司りし者  作者: 彩 豊
第7色 無の国 第一章 虹無対戦
538/546

7-1-48(第537話) 虹無対戦~無の国編その11~

(やばいな、これ)

 俺は今、【無色気】を使ってカラトムーガと戦っているのだが、戦えば戦うほど状況はどんどん悪くなっていく。速攻で倒そうという戦法が通じず、長期戦となっていた。

(なんとか致命傷を避けているものの、攻撃を防げないのはきついな)

 もしかしたら、カラトムーガの無茶苦茶な魔法に回数制限があるのではないか、その読みで攻撃を続けていたのだが、そんなことはなかった。

(あいつ、俺の攻撃をことごとく無力化していやがるな)

 それだけじゃなく俺の防御も貫通してくるなんてな。攻撃と防御両方とも完璧とか、本当に無茶苦茶だよ。

「・・・ふむ。だんだん興が削がれてきたな。貴様を殺して、この世界を終わりにするとしよう」

「!?そんなこと、させるか!」

 俺はカラトムーガを睨む。

「!!??」

 その直後、地面から異様な魔力を感じた。その異様な魔力に嫌な予感がした俺はすぐにその場から離れようとした。

 が、少し遅かった。

「!?があぁ!!??」

 足を地面の棘に貫通されたかと思ったら、腕、肩も貫通されてしまう。なんとか目や心臓は避けられたものの、もう限界だった。

「余計なことに気を取られるからそんな目に遭うのだ」

 まったくもってその通りだった。

 あいつへの対策を考えず、ただひたすらにカラトムーガの攻撃を躱すことに集中していれば大怪我せずに済んだのだ。

(本当に俺は大馬鹿野郎だな)

「ふむ。まだ生きているとは。本当にしぶとい生き物だな」

「しんで、たまるか」

「諦めたまえ。貴様は死ぬ運命だ」

「・・・しんで、たまるか」

「死ぬ寸前の者が何をたまげている」

 本当にその通りだ。自分でも死ぬ寸前だと、このままだと死んでしまうことも理解している。

(もう魔法で全快出来るほど魔力が残っちゃいねぇんだぞ!)

 そう思いながら、俺はなんとか自身の体から棘を取る。

「あ!がぁ!!ぐぅ!!??」

 体から棘を抜くたびに激痛が体中をよぎっていく。なんとか抜いた後、俺は重症な個所にだけ、無魔法で治療を施す。本当は傷の全てを回復したいところだが、魔力が間もなく底をついてしまうので我慢した。

「死体同然が何をしている?さっさと死ねば楽になるぞ?お互いにな」

 そう言い、カラトムーガは俺に憎たらしい笑みを向ける。

「あがくさ」

 未だ流れていく血と共に自我も流れていくように、どんどん意識が薄くなっていく。

「最後まで、お前に」

 死ぬ寸前でようやく理解した。

 俺はここで死ぬのだと。

 俺はカラトムーガに負けたのだと。

「無様な」

 知っている。

 分かり切っている。

 それでも俺は、あがくしかない。

 あがくしか、ないんだ!

 俺は魔力と体力もないまま、気力だけでカラトムーガに近づいていく。 そして、剣を持ち上げる。

「・・・」

「!?」

 持ち上げた剣は、俺の意志関係なしに、地面に落ちた。剣を持ち上げていた腕が俺の体からカラトムーガによって切断された為である。俺はそのまま前のめりに倒れてしまう。

「無様だな」

(うっせー)

 黙っていろ。

 そんな言葉すら出せないほど、俺の体は限界だった。

「最期は楽に逝かせてやろう」

 何かカラトムーガが準備をしているが、今の俺には準備を止める余裕がない。

「死・・・!?」

 その直後、風を切るような音がした。

(何か飛んで行ったのか?)

「これはひどい・・・!クロミルちゃんにモミジちゃん、お願い!」

「はっ!」

「はい!」

 !?急に傷が癒え始めていく。これはもしかして、誰かが俺に白魔法で回復してくれているのか?

(この場にいるのはセントミアさんだから、まさかセントミアさんが回復してくれたのか!?)

 さっきまで殺し合いをしていたというのに!?俺は疑心暗鬼状態のまま、ゆっくりと目を開ける。

「な、ん、で・・・?」

 目を開けたらなんと、ここにいるはずのないクロミルとモミジがいた。

(まさ、か・・・!?)

「私やモミジ様だけではありません。みな様もいます」

「みな、さま?」

 回復し、体を動かせるようになった俺は首を動かす。

 するとそこには、

「アヤトに何かしたあいつ、絶対にぶっ飛ばします!」

「お兄ちゃんの敵は、ルリの敵!」

 クリム、ルリ、

「・・・アヤト、生きていてくれて良かった」

「ですね。これでひとまずは安心です」

 イブ、リーフ。

 そして、俺を回復してくれているクロミルにモミジ。

(まさか、本当に・・・?)

 どうしてここにいるんだ?

「さて、次は・・・、」

「・・・あれ」

 俺は、リーフとイブの視線を追う。

「ふむ。余計な邪魔が入ってきたな。何者だ?」

(やっぱ無事だったか)

 やはり、カラトムーガはあの攻撃ではビクともしないらしい。

 それよりだ。

「どうしてここにみんなが・・・?」

 俺が聞いてみると、

「アルジンが持っているモミジンのおかげですよ」

「モミジン・・・?」

 そういえば、モミジと離れて行動する為に必要な魔道具をもらったんだっけか。でもあの魔道具って、俺とモミジが離れても大丈夫なようにするだけの魔道具じゃないのか?

「そのモミジンは使用中、常に特殊な魔力を放っているのです。その魔力の位置を元に、私達はここに【転移】してきたのです」

 転移、か。出来れば俺も転移してここに来たかったな。転移だったらここに来るまでの労力を戦闘に回すことが出来たのに。そうしたらカラトムーガに勝つ事が・・・いや、それでも出来ないだろうな。

(て、呑気に考えている場合じゃねぇ!)

「やめろ。あいつはお前達じゃあ勝てない」

「何故です?」

「強過ぎるからだ。あいつに攻撃は一切効かないし、防御も意味を成さない。だから、逃げろ」

「逃げませんよ?」

「なんで!?」

 正直、みんなには逃げてほしかった。俺の体力を回復してもらったことには感謝している。だが、相手が悪過ぎる。

「アルジンと一緒にこれからも生きたいからです」

「・・・無理だ。絶対に勝てない。勝てないんだ・・・」

「大丈夫です、アルジン。それに先ほどの流れを見ていましたか?」

「?なんの、ことだ?」

「さきほどみなさんは、あの者の攻撃を防ぎ、吹っ飛ばしたのですよ?さきほどアルジンが、防御も攻撃も意味を成さないと言っていたにも関わらず」

「!!!???」

 確かにそうだ。

(何かしらギミックがあるにしろ、リーフ達はそのギミックを無意識に解いたことになる)

「なのでアルジン、ここは私達に任せてください。といっても、リーフ殿達は既にやる気のようですが」

「え?」

 ゆっくり見てみると、俺の前にクリム、ルリ、リーフ、クロミル、イブ、モミジがいる。

「さぁみんな、準備はいいかしら?」

「ん~?なんかよく分からないけど、アヤトをボコボコした奴をボコボコにすればいいの?」

「ルリ、頑張る~」

「ご主人様の命を最優先で護ります」

「アヤトさんを護る為に、私はここにいるわけですから!」

「…当然!」

 リーフの言葉を皮切りに、クリム、ルリ、クロミル、モミジ、イブは続々と返事をする。

「・・・死ぬかも、しれないんだぞ?それでも、行く、のか?」

 まだ完全に治癒出来ていないからか、言葉が舌足らずとなってしまう。

「死ぬわけにはいかないわ。アヤトにはいっぱい、い~っぱい、言いたいことがあるのだから!」

「これからもずっといるのだもの!ここで死ぬわけにはいかない!死ぬものか!!」

「ルリはね、これからもずっとお兄ちゃんと一緒にいたいよ。だから、お兄ちゃんを助ける」

「ご主人様には今後とも、私と共に生きていきたいですから」

「アヤトさんが生きていてくれて本当に良かったです。だから今後も生きてもらう為に私、頑張ります!」

「・・・死なないし、死なせない!」

 こうして、俺はみんなの戦いを見守ることになった。

(頼む!誰一人死なないでくれ!)

次回予告

『7-1-49(第538話) 虹無対戦~無の国編その12~』

 彩人が絶体絶命の中、カラトムーガからの攻撃を防いだのは、彩人がもう来ないと思っていたクリム、ルリ、リーフ、モミジ、クロミル、イブ、レンカの7人だった。

 彩人が敵わなかった相手、カラトムーガにクリム達7人は挑む。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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