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色を司りし者  作者: 彩 豊
第7色 無の国 第一章 虹無対戦
535/546

7-1-45(第534話) 虹無対戦~無の国編その8~

「・・・あり得ない。そんな回数殺されて、どうして今も生きている!?」

「まぁ、夢の中の出来事、だったからな」

「夢、だと?」

「ああ。おかげで気が狂いそうになったよ」

 今もふと思い出してしまう。あのきつい・・・いや、きつい、という一言では言い表すことが出来ない苦痛の日々だった。

 だが、

「俺には両親がいた。いたから俺は、ここまで生きることが出来た。ここまで、な」

 今の俺を見たら両親はどう思うだろうか。そして、今も元気に過ごしているだろうか。

「・・・たかが夢ごときで、自身の不幸を自慢するつもりか?」

 セントミアさんの言葉から、怒りが伝わってくる。

「・・・ある深夜、みんなが寝ている時間に目が覚めて歩いていた時、両親のある顔が目に入った」

「・・・急に何を話している?」

「泣いていたんだ。そして、ごめんって言っていたんだ。どうしてだと思う?」

「・・・」

「ちゃんと産むことが出来なくてごめんね、だってさ。俺の事を気にして謝ってくれたんだよ。俺のせいにするのではなく、だ」

 その言葉を聞いた当初、俺は両親に対して何も言うことが出来なかった。

 だが、今なら言える。そんなことはない!と。俺はあの両親の元へ生まれたことを誇りに思う。

「不幸なのは自分だけじゃないってことだよ。不幸の程度は違っても、誰かしら不幸な目に遭い、悩んでいるんだよ」

「!?何を分かった気で・・・!!!???」

「分かった気、だと?そうだ。俺は何一つ分かっていない。何故か分かるか?」

「開き直るな!!」

「セントミアさん、あなたから何一つ教えてもらっていないからだよ。俺がセントミアさんに何一つ教えていないように!」

 俺はここでセントミアさんに思いっきり接近する。直後、鞭が俺の胸を貫通する。が、そんなことお構いなしにセントミアさんの元へ行く。これで射程圏内だ。

 ここで俺はセントミアさんを思いっきり殴る。

(いい一撃が入ったな)

 殴った感触で分かる。

 ・・・。

「・・・このまま止めてくれるなら、俺が話し相手になる。だから、もう止めないか?」

 俺の気が急に変わった。理由は、殴った時に流れてきたセントミアさんの感情だ。

 さっきはセントミアさんの話を流していたのだが、感情が直接流れ込んできた。

 その感情は、孤独。

 永い時を独りでずっと過ごして寂しい気持ちと、どうして自分がこんな目に遭わなくてはならないのかという怒りの感情。

 その上でさっきの身の上話。

 とても他人事とは思えなかった。

 俺も、家の外にいるときはずっと孤独で独りだったし、自分だけどうしていじめられなくてはいけないのか。そんな考えがよぎっていた。本来ならここでセントミアさんを殺すべきだろうが、他の道の可能性もあるのではないか?その可能性をいつの間にか提案していた。

(俺が独りの時は、両親が助けてくれた。だが、セントミアさんには誰も手を差し伸べていない)

 だから今度は、俺が、手を差し伸べる番だ。

「ふざけるな!今更そんな提案、聞いていられるか!?」

 セントミアさんが反撃してくる。動揺しているからか、その反撃はお粗末で、重症の俺でも容易に躱すことが出来た。

「ならセントミアさん、お前が選べ。ここで俺の提案をいつもみたいに断り、ずっと独りになるか、」

 俺はセントミアさんに再度手を伸ばす。

「俺の手を取り、罪を償いながらも孤独な日々から解放されるか」

「・・・」

 俺の言葉に、セントミアさんは黙る。

(これで俺の手を取ってくれたら万々歳なわけだが、どうだろうか?)

 最悪、セントミアさんを殺すしかなくなる。正直、これほど強い奴を殺すとなるとこれ以上の戦力が必要となる。これ以上の戦力・・・誰を集めたらセントミアさんに勝つことが出来るのだろうか。まったくイメージ出来ないな。

「・・・私は・・・、」

「ユルサヌゾ」

「「!!??」」

 だ、誰だ!!??

 この声、俺でもないしセントミアさんのものでもないな。それに、俺とセントミアさん以外、ここには誰もいないはずだ!

「な、何者だ!?」

 どうやらセントミアさんが俺を驚かす為に仕掛けたサプライズ、というわけではなさそうだ。

 その直後、

「「!!??」」

 セントミアさんから煙のようなものが出始める。そしてその煙は一か所に集まっていく。

(あの煙は一体・・・!?)

 どうも嫌な予感がするな。それにあの煙から魔力のようなものも感じる。

 その煙はゆっくりと形成していき、人を形作っていく。

「やっと、この世界に足を降ろすことが出来たな」

「!?」

 この空気、只者じゃない!!??

「・・・ふむ、頭が高いな。沈め」

「「!!??」」

 何者かの沈め、という言葉で、俺は立っていられずに倒れてしまう。

(セントミアさんは・・・俺と同じか)

 どうやら俺だけでなくセントミアさんも俺と同じ状況のようだ。どういうことだ?この状況は、セントミアさんが作ったものじゃないのか?

(違うのだとしたら・・・、)

 メイキンジャーが言っていた何者かの意志、か。その何者かがこうして俺の前に現れた、と。

「お前は誰だ?」

 俺は警戒心をむき出しにして質問する。既に臨戦態勢だ。

「我を知らぬのか?なんとも愚かな人間だ。だが、寛容な我は答えてやろう。我は、」

 そして俺とセントミアさんは、何者かの名を聞く。

「ムーガ。カラトムーガである」

次回予告

『7-1-46(第535話) 虹無対戦~無の国編その9~』

 神、カラトムーガの登場に彩人、セントミアは驚きを隠せない。そして、戦況は大きく変化する。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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