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色を司りし者  作者: 彩 豊
第7色 無の国 第一章 虹無対戦
531/546

7-1-41(第530話) 虹無対戦~無の国編その4~

 俺はまず、セントミアさんの懐に潜り込んで一撃くらわせようとした。

「考えなしに突っ込むのは愚かだねぇ」

「!?」

 俺は嫌な予感をし、直前で離れる。すると、直前までいた場所に突如巨大な刃が落ちてくる。

(一体どこから落ちてきたんだよ!?)

 そう突っ込みたかったが、俺はすぐに理解出来た。

(無魔法で創造したのか)

 無魔法で俺の頭上に巨大な刃を創造し、俺に落としてきたのだろう。

(ほんと、無魔法って無茶苦茶だな)

 まぁ俺もその無茶苦茶な無魔法を使うことが出来るのだが。けど、巨大な刃を創造している余裕はない。

(真正面から攻めて防がれるのは当然分かっていた。だから次は・・・、)

 俺はさっきと同じように、真正面から突っ込む。

「まさか、通じないと分かっていても突っ込んでくるのかい?学ばないねぇ」

 瞬間、俺の頭上に何かが出来た。何が出来たのかは分からん。俺も直接見ていたわけじゃないからな。

(さっきと同じだと、)

 その直後、俺は全力でセントミアさんの背後まで移動する。

(思うな!)

 俺はセントミアさんの首めがけて魔銀製の剣を振る。

 が、

「!?」

「まさか、この程度で裏をかいたつもりかい?」

 瞬間、金属同士がぶつかり合ったような激しい音が聞こえた。

(こいつ・・・!)

 俺とセントミアさんの間に透明なシールドを創造しやがったな!

「さて、手は尽きたかい?」

 セントミアさんは余裕綽々な笑顔をこちらに見せてくる。

「さあな?」

 俺はそう言いながら周囲に【結界】を展開する。

「ほぉ?」

 どうやらセントミアさんは、俺が【結界】を展開したことに気づいたらしい。魔力の動きでも視たのだろうか?

「でも、その余裕が命取りになるぜ!」

 俺はさきほど作った【結界】を足場として、アクロバットな攻撃を繰り返す。

「その程度の攻撃で私を倒せると思っているのなら、私の強さを侮り過ぎじゃないかね?」

 セントミアさんは俺の攻撃を全て、しかもほとんど見ずにいなしてくる。

(これじゃあ駄目か)

 俺はこのままだとスタミナ切れになることを考え、【結界】を解除しつつ距離をとる。

「それで次はどんな攻撃をして、私を楽しませてくれるのかね?」

(!?こいつ・・・!!)

 俺の攻撃を楽しんでいやがる!!俺はセントミアさんを倒そうと必死なのに!!!

「そっちこそ攻撃してこないのか?まさか、俺を倒せないのか?」

 俺は安い挑発をセントミアさんにする。乗っても乗らなくても地獄なことには変わらないけどな。

「・・・いいでしょう。私には余裕がありますからね。アヤト、君の安い挑発に乗ってあげるよ。ただし、」

「!?」

 瞬間、俺の周囲の空間に歪みが生じる。直感でやばいと判断した俺はすぐその場から離れる。

「簡単には死なないでくれよ。せっかくのこの楽しい時間を終わらせたくないからねぇ?」

 さっきまで俺がいた場所から爆発が生じ始める。最初の爆発から、続々と周囲が爆破していく。

(この爆発、俺を追っているな・・・!?)

 俺は爆発に巻き込まれないよう、セントミアさんから距離を取っていく。

「おやおや?逃げてばかりですと倒すことなんて到底出来ませんよ?」

(うるせえな!)

 それくらい分かっているわ!

(と思いつつ、無魔法が使えるのはセントミアさんだけだと思うなよ?)

 俺は無魔法の準備をする。

(・・・準備完了。いけ!)

 俺はセントミアさんを爆破させた。その直後、俺を追っていた爆発が止む。

「やった・・・わけないよな」

 これで倒れてくれればこんな苦労はしない。俺は追加として、無魔法で剣を創造し、セントミアさんがいた場所に降らせる。

(さしずめ、剣の雨、といったところか)

 こんな雨、地球で降り始めたら世界中で大騒ぎするだろうな。

(今の内に呼吸を整えておこう)

 俺は、攻撃が止んでいる今の内に呼吸を整える。さっきまでセントミアさんの攻撃を躱すのに必死だったからな。

「まさか、これで意表をついた、と思っているのかな?」

(ま、そりゃあ無事だよな)

 本当はこれで倒れてほしかったが、セントミアさんなら余裕でいると思っていたよ。

(少しは焦ってほしかったけどな)

「まさか。次はもっと巧妙な罠を案じているさ」

 嘘である。今の俺には案なんてものはない。セントミアさんからの攻撃をどう躱すのか、その思考に脳のリソースのほとんどを割いている状態である。

「そうか。なら今度は、いい声で鳴いてくれよ。聞いていて清々しくなる、そんな素敵な叫び声をねぇ!」

「!!!???」

 あっぶな!!??どこからか何か鋭利なものが飛んできたぞ!?

(十中八九セントミアさんの攻撃だろうが、一体どこからだ?)

 セントミアさんの攻撃は常に警戒していたし、【魔力感知】だって常時発動し続けている。魔力が変動したら反応するはず。それなのに、さっきは一切反応せず、セントミアさんの攻撃をくらいそうになった。

「へぇ~?勘がいいんだね?それとも、私の魔法に気づいたのかな?」

「魔法・・・?」

 俺の【魔力感知】に一切反応しなかったんだぞ!!??

(まさか、俺の【魔力感知】の効果範囲外から魔法を発動しているのか!?なら・・・、)

 俺は【魔力感知】の効果範囲を広げる。

(・・・反応は特にないな)

 どういうことだ?俺が内心戸惑っていると、

「その程度で私の魔力を知覚出来ると思っているのか?」

「・・・何?」

 俺がどういうことかと考えようと思った時、

「!?ぐっ!!」

 俺の脇腹に何かが通り過ぎた。咄嗟に躱したおかげで脇腹だったが、俺の直感が働いていなければ心臓に刺さっていた位置だったぞ!?

(さっきの攻撃も【魔力感知】に反応がなかったぞ!!??)

 まさか、俺の【魔力感知】の範囲外から攻撃をしてきたわけじゃないのか?となるとどんな可能性が・・・?

(俺の【魔力感知】が未熟だったから、か?なら、)

 俺は【魔力感知】に集中する。

「目を瞑るとは。自ら死を自覚したのかい?だとしたらせめてのもの情けだ。苦痛なき死を与えよう」

 駄目だ。目に頼ると死ぬ。俺が今まで鍛えてきた魔力制御を信じるんだ。俺の力を信じ、感覚を極限まで研ぎ澄ませ・・・。

「さぁ、これで終わりだ」

 ・・・ん?何か一瞬見えたような・・・?魔力が僅かに揺らいだような・・・?

(駄目だ!もっと、もっと深く!!)

 どんな動きも変動も見逃すんじゃねぇ!!

 そう思った瞬間、僅かな揺らぎが少し大きくなった。

(これだ!!)

 俺は直感的に判断し、咄嗟にその場から離れる。その直後、さっきまで俺がいた場所に爆発が生じる。

(そうか!)

 何故さっきまで俺の【魔力感知】に反応しなかったのか、その理由が分かった。あくまで俺の推測だが、他の理由が思いつかないからきっとこれだろう。

「・・・お前、自身の魔力を周囲の魔力と同調、偽装しているのか?」

 これが、俺が導き出した答えだ。

 自身の魔力を周囲の魔力と同じになるよう偽装すればばれない。そのせいで俺は偽装された魔力に気づくことが出来なかった。もちろん、偽装したって僅かに魔力が揺らぐ。その揺らぎを、さっきの俺は見つけられなかった。だが、今の俺にはその偽装すら見破ることが出来るようになった。

「悪いが、その手はもう通用しないぞ?」

 これでやっとセントミアさんと対等だと思った。

 なんなら、俺の方がセントミアさんより優勢なんじゃないかと思っている。

(さっきからセントミアさんは魔法を発動し続けているから、残りの魔力量が少ないはずだ)

 無魔法はものを想像することで創造出来る無茶苦茶な魔法だ。

 その反面、消費する魔力量が他の色魔法より多く、燃費が悪いのである。だから俺は、セントミアさんの魔力が枯渇することを狙っていたのだ。

(正直、接近戦の実力は未知数だけど、魔法による遠距離攻撃がなくなるのはありがたい)

 これで俺は接近戦だけに集中出来るのだから。

「そっちの手はもうないだろう?だから今度は俺から行ってやるよ」

 そう言い、俺はさっきと同じように真正面から突っ込む。

(それと同時に・・・、)

 俺はセントミアさんの後ろに剣を創造する。

「これで終わりだ!」

 これで終わってほしかった。周囲に魔法発動の際の揺らぎはない。つまり、セントミアさんが魔法を発動する様子はないということ。

(これで終わってくれ!)

 俺は勝利を願い、剣を向けた。

 だが、その願いはたやすく潰える。

「この程度、小細工の内にも入らないよ」

「!?」

 セントミアさんは俺の剣を受け止めていた。そして、俺が創造した剣も同時に止めていた。つまり、俺の考えは全てお見通しで、接近戦も出来るという事。

(本当、一部の望みもなかったのね)

 内心、俺はがっかりする。

「そんなに接近戦がしたいのなら付き合ってあげるよ。君の得意な接近戦で絶望を見せてあげよう」

 そう言いながらセントミアさんは武器を・・・、

(武器、持たないのか?)

 セントミアさんは何も武器を持っていなければ、構えもしていない。

「構えなくても勝てる、という余裕なのか?」

 だとしたら俺をなめ過ぎだ。だが、俺をなめてくれるのはちょうどいいかもしれない。

(なめられている隙に、一気に叩く!)

 そう思い、セントミアさんに接近しようしたが、

「!?」

 俺は何かの気配を感じ、セントミアさんから距離を取る。

(この感じ・・・何かあるな!)

 俺の【魔力感知】に集中し直す。すると、細長いホースのような何かがセントミアさんの周囲にあった。

(あれは・・・鞭か?)

 さっきの気配の正体はあの鞭か。見る限り、セントミアさんは鞭の柄を持っていない。

(見る限り、自動的に迎撃するタイプか)

 おそらくだが、セントミアさんの意識を即座に反映するのだろう。本当に厄介だな。

「アヤト、お前にこれが突破出来るのか?」

 その余裕な笑みに俺は腹を立て、真正面から突進する。

「ち!」

「なんの考えなしに真正面から突進してくるとは。成長しないねぇ」

 俺の攻撃は無色透明な鞭に阻まれた。

 俺は何度もセントミアさんに剣を振り続けるも、全て無色透明な鞭に攻撃を阻止されてしまった。

「さて、私は手空きになったから語らせてもらおう。精々話し相手を努めてくれよ」

「・・・そんなことしていていいのか?余所見していたら足元救われるぞ?」

 そう言いながら俺は必死に攻撃し続ける。それらの攻撃も、やはり無色透明な鞭に全ていなされる。

「足元を救われる、だって?それを言うのなら、まずはそれを突破してから言いたまえ」

「!?」

 確かにセントミアさんの言う通りだ。

 この無色透明な鞭をなんとかしない限り、俺の攻撃はセントミアさんに届かない。

「突破しなくても攻撃は出来るんだぞ?こんな風にな」

 俺はセントミアさんを爆破させようと、無魔法を発動させようとする。

「そんな隙は与えないがね」

「!?」

 瞬間、無色透明な鞭が攻撃に転じた。今までずっと守りに徹していたのに急な変化に驚てしまい、手元が狂ってしまう。

「おやおや?どこを爆破させているのかね?そこには誰もいないのだが?」

(こいつ!!)

 分かって言ってやがるな!

「さて、これで分かったかね?実力の差が」

「・・・」

 俺はセントミアさんに攻撃しているのだが、全て無色透明な鞭に阻まれてしまう。

(やっぱり今の俺じゃあ、無理なのか?)

「さて、ようやく語り始めようか。それまでにアヤト、君が私に一撃でも与えられることを期待しているよ」

「!?そうだな。期待に応えられるよう、全力を尽くすさ」

 そして、俺が全力で攻撃し続ける中、

「あれはいつだったかな・・・だいぶ、だいぶ昔の出来事だね」

 セントミアさんは語り始める。

次回予告

『7-1-42(第531話) 虹無対戦~無の国編その5~』

 強者の余裕からか、セントミアは彩人との戦闘中にも関わらず、自分語りを始めようとする。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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