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色を司りし者  作者: 彩 豊
第7色 無の国 第一章 虹無対戦
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7-1-24(第513話) 虹無対戦~魔の国編その4~

「!?ありが、とう!」

 あれから時間は経ち、順調に魔獣共の数を減らしていた。やはり、植物達を味方にしたのは正解だったな。もう少しでゴブリンの矢が俺にあたりそうだったのだが、植物達が自身を成長させ、壁となって防いでくれたのだ。

「は!!」

 俺はゴブリン共に向けてに向けて魔銀製の剣を振り下ろす。

 近くにいたオーク共は俺に向けて走り出したが、遅い。

「失せろ!」

 俺はオーク共に視点を移し、剣を振り下ろす。その結果、さきほど倒れたゴブリン共と同じように倒れていく。

(植物達の協力を得てから実に順調だ)

 だが、この数はなんだ?

 本当に多過ぎないか?

「・・・ん?」

 なんだろう?植物達が何かを俺に伝えようとしているな。

 えっと・・・え?

「なんだと!?」

 伝えたい何かとは、何者かがカラー種の魔獣をどこからか呼び寄せていることらしい。

「その何者か、というのがどこにいるか分かるか?」

 植物達にそう聞くと、植物達はある方向を示す。その方向の先には、魔獣共がうじゃうじゃといた。

(なるほど。その何者かは、自身が紹介したカラー種の魔獣と、目の前にいる無数の魔獣共によって守られている、というわけか)

 なんとも嫌な位置に隠れていること。これでは、目の前の魔獣共と、まだ見ぬカラー種の魔獣共を倒さないとその何者かの姿すら拝むことが出来ない、ということじゃないか。しかもその何者かは今も、カラー種の魔獣をここに呼び出していて戦力の増強を図っていると。

(出来れば知りたくなかった情報だ)

 知らないよりはましだが、どうにかしてその何者かを倒さないと。

「ん?・・・そうか」

 それと、非常に残念な知らせを聞いてしまった。

 その残念な知らせは、植物達の力がほとんどなく、もう力を貸すことが出来ない、という事だった。

「今までありがとう。後は俺に任せてゆっくり休んでくれ。この件が片付いたらお礼をするよ」

 植物達は俺に感謝の意を伝え、地中へ消えていった。

「・・・さて、」

 これで本当に独りとなった。

 けど、

「負けられない理由が一つ増えたな」

 この戦いが終わったら、後でこの地の植物達にお礼をしなきゃいけない。そのお礼をする為にも、俺は勝って生きていなくてはならない。

 死ぬことは、許されない。

「うおおおぉぉぉ!」

 俺は叫んだ。

 叫んだことで周囲の魔獣共が俺に集中する。

 本来なら、この叫びは愚かな手だろう。

 魔獣共を引き付けるし、無駄に体力を消耗する。

 本当、何をやっているのだろうと自分自身思ってしまう。

 けど、これでいい。

(これで、気合が入った)

 死ぬ気は毛頭ない。が、死ぬ気で挑ませてもらう。

「今ある体力、魔力、気力全部使ってぶっ倒してやる!」

 さぁ、この戦いを終わらせるぞ!


 この戦いを終わらせようと意気込んだものの、

(あ、あともう、すこし・・・、)

 疲労困憊状態だった。後目の前に見える魔獣はカラー種を多く呼び出した魔獣、

「メイキンジャー、だ!」

 魔銀製の剣を握り直し、メイキンジャーに向かおうとするものの、足がおぼつかず、転びそうになる。

「や・・・!?」

 その隙を狙われてしまい、メイキンジャーは俺に向けて黒い球を撃ってくる。その黒い球をくらってしまうも、俺はその場にとどまる。

(ここまで来たんだ。魔法の一つ二つで吹っ飛ばされてたまるか!)

 どうにかして俺は踏ん張る。そしてそのまま前に進み、手になんとか握っていた魔銀製の剣をメイキンジャーに向けて振り下ろす。

(ち!傷が浅かったか!!??)

 メイキンジャーから液体が漏れているものの、意識はあるようだ。こちらを不気味な笑みで見つめてくる。

(ならもう一度・・・!?)

 俺が追撃しようとしたら、不気味な笑みを俺に見せつけたまま倒れた。

「倒れた・・・のか?」

 俺は警戒したまま、メイキンジャーの元へ近づき、生死を確認する。・・・どうやら目の前のメイキンジャーは息絶えたようだ。

「これで少しは・・・!?」

 楽になる、と言いかけた途端、メイキンジャーの死体近くに複数の穴が開き始める。俺はとても嫌な予感がした。

(出来れば当たらないでくれ!)

 俺は警戒心をむき出しにし、魔銀製の剣を握り直す。

 そして、俺の嫌な予感は的中する。

 突如出現した複数の穴から同時に複数の魔獣共がわんさか出てくる。中にはカラー種もいるな。

(まさかあのメイキンジャー、このことを見越して笑っていたのか?)

 俺が目の前の状況に絶望すると確信していたから。

 本当にあのメイキンジャーは死んでも俺を困らせてくるな。

(困る、か)

 自分で思っておいてなんだが、困る程度で済めばいいな。この魔獣の量に対して、今の俺はほぼ魔力体力共にすっからかんの状態だ。

(今の俺に出来ることは、せいぜい魔獣を一匹二匹を相打ち覚悟で倒すことくらいか)

 少なくとも、今の俺がカラー種を相手にすることなんて絶対に出来ない。

「ここまで、か・・・」

 俺は自身の死期を悟ってしまう。俺はここまでなのかと。俺はまもなく死ぬのだと。

「せめて、最後まで・・・!」

 俺はいつの間にか【黒色気】が解除されていた体で走ろうと足を動かす。

 だがその足は遅く、ゴブリンの走りと互角、否、それより遅い。

(やばい!)

 そう思った時には時既に遅しだった。頭の中では危険だと分かっているのに、体が思っていた以上に動かない。

「ぐ!?」

 ゴブリン共の棍棒をなんとか剣で受け流していたのだが、オークの棍棒を受け流しきれず、もらってしまう。その後はもう地獄だった。

 ゴブリンとオーク共から一方的に棍棒で殴られ続ける。その様子は、集団リンチするいじめっ子と、集団リンチにひたすら耐えるいじめられっ子のようである。

(このまま死ぬくらいなら、最後の晩餐は・・・!)

 俺は生きることを諦め、後悔を無くすために行動し始める。その後悔とは、人生で最後に食べたいものを食べることである。

 俺はアイテムブレスレットからある食べ物を取り出す。その食べ物は、イブ達がよく食べている食べ物、ホットケーキである。俺はホットケーキを、気力を振り絞ってかじる。

「はは、血の味がいいアクセントだ、な・・・!?」

 俺が最後の晩餐をしている間にも、魔獣共は俺の背中に槍や矢が突き刺さる。

「く、食い終わった、ぞ・・・、」

 俺はホットケーキを食べ終えたと同時に、吐血してしまう。今まで我慢していたのについ出してしまった。

(これでもう、悔いはない)

 本当は・・・いや、もう考えることはやめよう。考えるだけ無駄なのだと分かっているから。

「・・・アヤト!」

 さて、後はゆっくり眠るとしよう。もう食べられない美味しいものでも考えるか。

「・・・ここまで傷を負っているなんて・・・。もう、大丈夫」

 まず前菜は何を食べようか・・・カニカマときゅうりのサラダを食べたいかな。ドレッシングは・・・ひとまず和風ドレッシングかな。

「・・・私がいるから!もうアヤトに指一本触れさせない!」

 次はどんなスープを飲もうか・・・コーンスープでも飲もうかな。

「・・・私達の前から失せろ。【破滅光線(デストロイレーザー)】」

 魚料理は・・・せっかくだからマグロ・・・この世界だとマグロンか。マグロンを丸ごと食べてみたいな。

「・・・アヤト、大丈夫?」

・・・そういえば死ぬまでの時間がやけに長いな。いつの間にか体力が回復しているし、なんなら幻聴が聞こえている。

「・・・もう大丈夫。私がいるから」

「え?」

 さっきから聞こえているこの声、もしかして・・・?

 声が聞こえている方向を見ると、そこには、俺が予想だにしていない者がいた。

次回予告

『7-1-25(第514話) 虹無対戦~彩人の仲間達編~』

 魔の国にいるリーフ達は彩人を助ける為、彩人の元へ向かう準備をした後、彩人の後を追う。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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