表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色を司りし者  作者: 彩 豊
第7色 無の国 第一章 虹無対戦
510/546

7-1-20(第509話) 虹無対戦~白の国編その3~

 あれから私は戦い続けた。

(本当に数が多過ぎる。実はループしているのではないか?)

 そう錯覚してしまうくらい、魔獣共の数が減らない。

 というか逆に増えていないか?

(・・・もしかして、誰かがこの魔獣共を召喚しているのか?)

 ようやく戦闘以外の事も思考出来る余裕が持てるようになり、魔獣の異常な増加について考える。

(・・・いや、もしかしてこれまでこの魔獣の数が隠れ潜んでいたのか?)

 私は魔獣の頭を矢で貫通させながら考える。

(!?ち!魔力量がかなり少ないな。魔力池で魔力を回復しよう)

 私はアイテムブレスレットから魔力池を取り出し、魔力を回復させる。

(これが最後の魔力池、か)

 魔力を回復させた後、私にはもう魔力を回復させる手段がないと理解した。

(さっきから魔力を節約しながら戦っていたのだがな)

 そう愚痴ったところで何も始まらない。

 愚痴ってもため息をついても、目の前には数を数えたくないほど無数の魔獣共がいる。

(一撃一殺で一体ずつ倒したとしても、どれほど時間がかかるだろうか?)

 それに、この数の魔獣全員倒すまで集中力が持つだろうか?

 そう考えた瞬間、私の体に異物が突き刺さり、体に痛みが走る。

(この痛み・・・私の体に矢が刺さっているのか。後は・・・斧か!?)

 私は周囲を見渡す。するとそこにはさっきまでいなかったオーガがいた。

(それにあの緑色の体・・・カラー種か!?)

 本当、嫌になってしまう。

 私はすぐ緑色のオーガに向けて魔銀製の剣を突き刺そうと動く。

 が、周囲のゴブリン共が邪魔をしてくる。

「うっとうしい!」

 周囲のゴブリンを蹴散らしたら、いつの間にか緑色のオーガはいなくなっていた。

「どこに行った!!??」

 私は緑色のオーガを探す。

 が、すぐにやめて切り替える。

(気にしちゃだめだ。気にしていたら、目の前の魔獣共から攻撃をもらって、しまう!)

 私は目の前の魔獣共の攻撃を間一髪で躱す。

(危なかった。一秒でも遅ければ直撃していたな)

 冷静になるんだ、私!

(さっき見えた緑色のオーガに気をとられちゃいけない!今は目の前の魔獣共に集中、集中するんだ!)

 そして私は、再び目の前の魔獣共の掃討に集中する。


(やばいな)

 集中し直してから戦闘し続けてから時間が経った。

 魔力の回復手段がない中で、魔力のほとんどを使ってしまった。魔道具もそこまで用意していないのが仇となった。

(こんなことなら、普段から魔獣討伐用の魔道具をもっと作っておくべきだった)

 今までの自分の行動を嘆いていても仕方がない。

(どうにかして私の魔力を回復させたいところだが・・・、)

 何分、魔力を回復する手段がもうない。

(【白色気】で魔力を節約しているが、それでももうもたないぞ・・・)

 もって後数分。

 その数分でなんとか打開策を考え、行動に移さないと・・・死ぬ。

(この魔獣共の中でもなんとか生き続けることが出来るのは、間違いなくこの【白色気】のおかげだ)

 だからなんとしてでも、【白色気】を使い続ける為の魔力が必要なのだ。

(とはいえ、どうすればいい?)

 魔力残量はほとんどなく、 頼みの魔力池や魔道具は使い切ってない状態。

(本当、自分の準備不足に嫌気がさすな)

 後、今の私にあるものはなんだ?

(あるとすれば、手に持っている魔銀製の剣か・・・)

 最終手段として、魔獣共に向けて投げてみるか?

(いや駄目だ)

 そんな武器の使い方をしていたら、すぐ武器が駄目になってしまう。

 だからどうにかして打開策を考え、実行しないと。

(それにしてもうっとうしい、な!)

 ここに来てからずっと魔獣共が私に襲い掛かってくる。

 最初に襲撃してきたのは私なのだから、襲われることは仕方ない。

 このように反撃されることだって覚悟の上で襲撃したのだ。

 そのつもり、だったのだが・・・。

(それにしたって多過ぎだろう!)

 愚痴りたくなるくらい数が異常に多い。

 どこにこれほどの魔獣が隠れ住んでいたのだろうか。

 そしてどういうわけか、緑色のカラー種が他のカラー種より厄介に感じた。

(森の色と似ているから視認し辛いから、かもしれないな)

 それを言うなら、黒いカラー種もかなり見え辛いから緑のカラー種同様厄介に感じるはずなのにな。どうして緑色のカラー種だけこんなに嫌悪感を・・・?

(待てよ?緑・・・緑!?)

 私はあることに気づき、自身の手を見つめる。

(・・・そうか。まだその手があったな)

 私はある可能性に気づく。

「ありがとな」

 私は、姿が見えない緑色のカラー種に感謝する。

 だって私はそのカラー種のおかげで、戦い続けられる方法を見つけることが出来たのだから。

 私は地面に手を置く。

「力を貸してくれ、植物達よ」

 私の声掛けに応えてくれたのか、植物達が急成長し、私の目の前に現れる。

「私に戦い続ける為の魔力を分けてくれ」

 そうお願いすると、植物達から了承の意志が伝わり、私の体に触れる。

 すると、私の体に何かが流れ込んでくる。

(これは魔力・・・じゃないな。けど、ありがたい)

 私の体に流れ込んだのは魔力じゃなかった。

 だがこの力は今の私にとてもありがたかった。

(これがあれば・・・この自然治癒力があれば、いける!)

 それは、自身の体力、魔力、傷を自力で回復する自然治癒力だった。

(それにしても、私がただの人間じゃなくて、モミジに寄生されていて助かった)

 私はただの人間ではない。

 モミジに寄生され、人間と魔獣が混ざった存在だ。ジャルベ風に言うならキメルム、といったところだろうか。

 そのおかげで私はモミジの力を得て、植物達と会話をすることが可能となったのである。可能といっても、モミジほど出来るわけではない。せいぜい、簡単な意思疎通、会話が出来る程度だ。今後の世界の在り方とか、幸せとは何か等の等の哲学関連の話は出来ない。

 植物達は、私の自然治癒力を向上させた後、私達も手伝うと言い、茎から棘が多数生えてくる。

「これは強力な助っ人だな」

 今の私にはありがたい助っ人だ。本当に、本当に感謝だ。

「それじゃあ植物達は魔獣共の足止めを頼む。その隙に私がとどめをさす。これでいいか?」

 植物達は私の簡単な作戦会議に、了承の意志で答える。

「ありがとう。それじゃあ始めよう」

 私は改めて魔獣共の群れを見る。

(すごい数だ)

 絶望しか感じない。

 けど、

(大丈夫だ)

 少なくとも今の私には、植物達がいる。

「負ける気がしない!」

 まだ私は戦える!

 そう判断し、私は植物達と協力しながら魔獣共に抗っていった。

次回予告

『7-1-21(第510話) 虹無対戦~白の国編その4~』

 白の国で戦っている白い彩人は、魔獣側の策略に嵌められてしまう。

 嵌められた後も戦い続ける中、絶体絶命のピンチに、ある者がある術を放つ。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ