7-1-17(第506話) 虹無対戦~黄の国編その3~
あれから僕は戦い続けていた。【黄色気】の乱用により、魔力量が少なくなってきた。
(出来れば魔力池で魔力を回復したいところだが、魔力池がもうないからなぁ)
魔力消費を出来るだけ少なくするために、広範囲高火力の魔法を使わず、【黄色気】だけでひたすら戦い続けた。
その結果、
「さぁ!もっとこっちを向いて、かかってこい!」
僕は常に声を出し、魔獣共の注意を引きつつ戦い続けた。
「!?ど、どうした!僕はまだこんなにも元気、なんだぞぉ!」
声がかすれ始めたが、僕はそんなこと気にせずに叫び、剣を振り続ける。
(せめて回復手段があればいいのだけど・・・、)
今の僕に魔力池以外の回復手段が思いつかない。しかも、肝心の頼みの魔力池ももうない。本当、どうすればいいのだろうか?
(!?や、やばい!!??)
剣猪との距離が縮まり、攻撃が当たりそうになったので、僕は慌てて雷を放とうと魔力を込めようとする。
だが、魔力を込めることが出来なかった。
込めるために必要な魔力が俺の体内にないからである。
そのことに気付いた時には既に遅かった。
剣猪の突進が僕に襲い掛かる。
「!!!???」
必死に避けようと試みたが躱しきれなく、剣猪の攻撃を僅かにくらってしまう。くらってしまった結果、かすった横っ腹に大きな切り傷が出来、そこから大量の血が流出してしまう。
(この出血量、やばいな)
常に横っ腹を抑えていないとやばいくらい出血量が多い。とにかく最優先は止血か。止血用の道具は・・・!?
(アイテムブレスレットから探して取り出す時間も惜しい!)
僕は連続で襲い掛かってきている剣猪の猛攻を躱しきる。
(い!!??)
だが、さきほど剣猪の攻撃を受けて出来た大きい切り傷が痛み、手のひらで傷を抑える。
「やば!?」
自身が危険であることをつい口に出してしまう。そして、盾猪の盾が僕に直撃してしまう。不幸中の幸いだったのは、僕の傷口に当たらなかったことと、剣猪ではなく盾猪だったことである。
(くそったれめ!)
傷口に塩を塗りやがって!おかげでもうほとんど動けない。
(この状態で目立ったら、僕が攻撃の的になってしまうじゃないか!?)
最低限この傷を治すことが出来ればなんとかなるかもしれないが・・・。
「あ」
今、ここで僕はあることを思い出した。
僕はただの人間ではないことを。
「頼むから、僕に力を貸してくれ!」
僕は地面に手を当て、魔力を地面に流し込みつつ、植物達に呼びかける。
すると地面が盛り上がり、何かが急に現れる。
何かというのは植物のことだ。
(今の僕なら、モミジに寄生されている僕なら、植物達の力を借りることが出来る!)
そう。
僕はただの人間ではない。
モミジという魔獣に寄生されていて、魔獣の血が流れている人間と魔獣の混合体なのである。
「ありがとう、植物達」
魔力を地面に注いだら、植物達が僕の傷を治してくれた。
(いや、傷を治してくれたというより、僕の自然治癒力をあげてくれた、に近いな)
そのおかげなのか、魔力も回復しているし、毒による嫌悪感も和らいでいるな。
おそらく、植物達が力を貸してくれたから出来たことだろう。
「ありがとう」
僕の言葉に植物達はお礼の意思を返してくれた。
(今の僕なら・・・、)
突如剣猪が僕に向けて剣の顔を振り下ろす。
「躱せる!」
僕は剣猪の攻撃を紙一重で躱す。この躱す動きは、植物達の協力があって初めて成り立つ動きだ。本当、植物達に感謝だな。
「植物達、僕に力を貸してくれないか?」
僕のお願いに、植物達は了承の意を受け取る。
「ありがとう。これで僕は・・・、」
僕は【黄色気】を発動させる。
「まだまだ目立つことが出来る!」
さぁ!もっともっと目立って、魔獣共の注意を僕に引きつけるぞ!
次回予告
『7-1-18(第507話) 虹無対戦~黄の国編その4~』
植物達から力を借り、更に多くの魔獣を倒していく。
だが植物達からの協力がなくなると、魔獣達の数の暴力が彩人に襲い掛かる。
そんな時、彩人を心配した生物が駆けつける。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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