1-1-1(第5話) 門番と受付嬢
「や、やっと着いたぁー」
何故やっとかというと、出発してすぐ道に迷い、一時間以上森の中をうろうろし続け、
「あ、腕のマップ機能を使えば行けるんじゃね?」
案の定、すぐに街に着いたのであった。なんともどこか抜けている主人公である。
街の入り口に着き、ここで、
「おいそこの者!身分を証明する物を掲示しろ!!」
そう言われてもな~。どうしようか。仕方ない、正直に言うか。
「いえ、身分を証明できるものを何も所持していません。なので、身分を証明する物を発行する場所を教えてくれませんか?」
「そうか、なら少し待っていろ」
そういった門番が奥に引っ込んでから少し経った後、バスケットバール程大きい水晶を持った門番が来た。
「この水晶に手をかざせ」
「わかりました」
俺は手をかざした。
水晶には何の変化もなかった。
「なるほど。犯罪歴無しっと。一応規則として、千円もらうぞ」
おぉ。ここでまさかの円ですか。この世界、日本人に優しいなぁ。だがしかし、
「すみません。最近までずっと森暮らしのために、お金を持ってないのですが」
「え?・・・、わかった。じゃ、通っていいぞ。ただし、これは貸しだからな。ちゃんと金が貯まったら、俺のところへ来て、千円返せよ」
「え?いいのですか?」
「いいも何も、払うものがないんじゃどうしようもないだろ?それに・・・名前はなんというんだ?」
えぇ!?そこで名前聞くのかよ!
「俺は彩斗と言います」
「そうか。んで、俺はアヤトを信じるさ。」
この門番、人としてはとても嬉しいんだが、仕事は大丈夫なのだろうか。まぁ、そんな心配しても無駄か。
「分かりました。この御恩は千円を返すまで忘れません」
「アヤトは現金だなぁ」
「ところで」
「ん?どうした?」
「金を稼げる場所を教えてください」
「んじゃ、また貸し一だからな」
この門番も、結構現金だなぁ。俺はそう思いながら、門番の案内を受けた。
さぁやってきました。ここがギルドか。木造建築で、看板にはわかりやすく、『ギルド』って書いてある。ここの職員の人は親切だなぁ。
中は木の匂いでなく、酒の匂いが充満していた。酒くさ!俺まだ18なんだけど!この匂いで酔っちゃいそうだぜ。
「こんにちは。もしかしてギルドをご利用するのは初めてですか?」
おぉ。これはこれは。なんと美しい人?だろう。だけど、なんか耳が長くね?
「あぁ。私はエルフなので、耳が他の種族の方より長いんですよ」
なるほど。改めてそのエルフさんを見てみる。受付にいるため、胸から上しか見えないが、肩まで伸ばした緑がかった茶髪がとても似合っている。この人の下半身どうなっているのかな。
「あの、すみません。そろそろギルドを使用するにあたっての注意事項を述べたいんですけど、いいですか?」
エルフさんは困ったように言った。原因はもちろん体をじろじろ見ていた俺である。
反省。