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色を司りし者  作者: 彩 豊
第7色 無の国 第一章 虹無対戦
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7-1-8(第497話) 虹無対戦~赤の国編その3~

 どれくらい減らしただろうか。

 千匹くらいは倒しただろうか?

(ただでさえ少ない魔力量がもうほとんどないな)

 こういう時、事前に魔力池を作っておいてよかったと思う。魔力回復手段を確保しておいて正解だな。俺は魔力池を使い、魔力を回復させる。

(これでまた魔法が存分に使える。だが・・・、)

 俺は目の前の状況を見る。さきほどから魔獣共を狩っているというのに、魔獣の軍勢が全然減っているように見えないな。むしろ増えている、そんな錯覚さえ覚える。

(この魔獣の多さだと、さっきみたいに広範囲の魔法を連発出来ないな)

 広範囲の魔法って、結構魔力をくうからな。

(だから、今の俺が使うべき魔法と手段は一つ!)

 俺は一度自身にかけている魔法を全て解除し、【赤色気】をかけ直す。

「【赤色気】で、魔獣を片っ端から殴り倒す!」

 俺は魔獣の軍勢の中に単身突っ込む。

 そして、魔獣の頭を思いっきり殴り飛ばす。魔獣の体が吹っ飛び、返り血が全身に飛び散ったが、気にしてはいられない。

「ここから、いなくなれぇ!」

 俺が何十匹か殴り続けていたら、その内の一匹が俺の攻撃を防ぐ。

(ん?なんかやけに堅いな)

 改めて見ると俺が殴ったのは、赤い骸骨が持っている盾だった。

(スケルトンか)

 それに赤い骸骨・・・カラー種か。

 確かカラー種って、同じ種類の魔獣よりも強いんだっけか。しかも最悪なことに、目の前にいるスケルトンは赤い。赤いという事は、赤魔法に耐性があり、赤魔法を使ってくるな。

(ということはこのスケルトン、赤魔法の強化を使い、俺の攻撃を防いだのか?)

 いや、今は細かい考察などどうでもいいな。今考えるべきことは一つ!

「目の前の魔獣を倒す方法だけだ!」

 俺は更に拳を力強く握り、盾を思いっきり殴る。

 すると、赤いスケルトンが持っている盾が壊れ、俺の拳が赤いスケルトンに届く。

(!?かってぇ!!??)

 だが、硬いくらいでこの拳を止めるわけにはいかない。

 脳裏にちらつくクリム達の笑顔を想えば、

「これくら、い!」

 俺の拳は赤いスケルトンの骨を砕いた。どうやらいつも以上に力を込める事でなんとかあの赤いスケルトンの骨を砕くことが出来るらしい。

(なんとか倒すことはし出来たが、拳が少し痺れて・・・、)

 いや、こんなこと今は言っていられない。倒せることが分かれば十分だ。

「後は気合いと熱さで・・・!?」

 直後、俺の背後から何か直撃してしまう。

(この熱さ・・・赤魔法か!?)

 後ろを見ると、杖を持ったゴブリンがこちらをニヤツキながら見ていた。

「邪魔だ!」

 俺はすぐにゴブリンの懐まで移動し、思いっきり蹴り飛ばす。

「さて、」

 俺はさっきまでいた赤いスケルトンの方を向き直す。すると、さっき倒したはずの赤いスケルトンが何体もいた。

(一体倒すだけでも拳が痺れたのに、そんな奴が何体もいるのかよ)

 痺れだけで済めばいいが・・・。

「いや、諦めるなんて全然熱くねぇ!興覚めだぜ!」

 俺は赤いスケルトンに拳を向け、走り出す。

「おぅらぁ!」

 さぁ、ここで踏ん張らないとな。

 俺の拳の粉砕が先か、赤いスケルトンの全滅が先か、耐久戦といこうか!


 結論から言おう。

 無事に赤いスケルトンは無事、全滅に成功した。

 だが、その代償は小さくなく、

(拳がもうやばいな。ところどころに魔法もくらっちまったし)

 正直、回復薬も用意しておけばよかったと後悔している。だが、そんな後悔をしたところで俺の傷は決して癒えない。

(やっと赤いスケルトンを全滅出来たと思ったのに・・・、)

 魔獣の軍勢は何も、赤いスケルトンだけではない。

 他にもゴブリン、スケルトン、猪や狼等数多くいるのだ。

(しかも見る限り、まだカラー種がいるのかよ・・・、)

 本当、あの笛型の魔道具やばすぎ。

(やはり、今からでも応援を呼んだ方が・・・。)

 て、なに弱気になっているんだ、俺!

(ここで戦えなきゃ、誰も、何も守れない!)

 俺は一歩踏み出し、魔獣共に向かう。

(拳が壊れかけて使えないのなら、)

 足に力を込め、ゴブリン共に強烈な蹴りをくらわす。

「足で蹴散らしてやる!」

 とはいえ、拳が使えないのはまずいな。なんとかして回復したいところだが、どうやって回復すればいいんだ?

(て、回復手段のことなんて後回しだ)

 要するに、拳を使わずに目の前の魔獣全てを撃退すればいいだけなのだから。

「もっと、もっと熱く!」

 痛みなんか忘れるくらいに!


 さらに時間は経過。

「はぁ、はぁ・・・、」

 今の俺は燃え尽きかけていた。魔獣共の数が多過ぎて倒しても倒しても敵の頭数が全然減らないのだ。それ故、俺の死角からの攻撃をかなりの頻度でもらってしまい、傷まみれだ。

(拳だけでなく、足も限界に近い。どうすれば・・・!?)

 肩で息をしながら考え事をしていたら、赤い花に人の顔が付いている魔獣、人面花が俺に向けて鋭利な枝を発射し、何本ももらってしまう。

「この感じ、まさか!?」

 毒か!!??即死するほど強力ではないが、体の震えが!?

「ぐ!?」

 人面花から追撃をもらってしまい、体が吹っ飛んでしまう。

(まさか俺、死ぬ?)

 その考えがよぎるだけで、体の震えがさらに強まる。この震え、さっきくらった毒による影響だけではなさそうだ。

「死ぬわけにはいかない。いかないんだ・・・」

 とはいえ、だんだん視界が悪くなってきているな。本格的にやばいかも。

(あの人面花がいなければ・・・、)

 ここで俺はあることを思いつく。

(これならもしかしたら・・・?)

 俺はある方法を試そうと、地面に手を置く。

 その直後、魔獣共が俺めがけて【火球】が放たれ、衝撃音が周囲に広がる。

 魔獣共は、【火球】の直撃を目撃したことで、彩人が死んだと確信した。

「まったく。こればかりはモミジに感謝だな」

「「「!!!???」」」

 魔獣共は、先ほど聞こえてきた声の主を探そうと周囲を見渡す。

 そして、見つける。

「これでまた、もう一度熱くなれる。まだ、戦える!」

 さきほど殺したと思っていた人間を。

「さぁ、最後まであがくぞ!」


 危なかった。正直俺が人間ではなく、人間とドライヤドが混ざった生物だと自覚出来ていなければ死んでいたかもしれない。これも、人面花が相手にいなければ気づけず死んでいたのかもしれない。そう思うと、人面花が相手でよかったと思う。

「さて、」

 植物達から養分を分けてもらったので、さっきより快調だ。この状態ならまだ戦うことが出来るな。それに今の俺なら、人とドライヤドの混ざりものの俺なら、植物の力を借りることが出来る。

「植物達、あの魔獣共に鋭利な枝を発射してくれないか?」

 言葉が通じたのかどうか分からなかったが、肯定の意思を感じ取った。

 そして、俺の後ろから大量の枝が魔獣共に放たれた。

(どうやら魔獣共には直撃はしたが、致命傷にはなっていないようだな)

 だが、植物達の攻撃で一瞬ひるんだ。その一瞬の隙が、俺の攻撃のチャンスをくれた。

(ここで広範囲の魔法を使って多量の魔力を消費したくないが、そんなこと言っていられるか!)

 俺は、魔獣共を赤魔法で一斉に燃やした。

 燃やせない魔獣共は、俺の拳により鎮めた。

「いける!これなら!!」

 植物達が隙を作り、その隙を俺が叩く。

 この戦法を続けることが出来たら、きっと勝てる!

 そう思ったのだが、俺はこの時気付いていなかった。

 どんな生物にも体力があるように、植物にも体力があるのだと。

次回予告

『7-1-9(第498話) 虹無対戦~赤の国編その4~』

 植物達から力を借り、更に多くの魔獣を倒していく。

 だが植物達からの協力がなくなると、魔獣達の数の暴力が彩人に襲い掛かる。

 そんな彩人の窮地に、ある人物が駆けつける。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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