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色を司りし者  作者: 彩 豊
第7色 無の国 第一章 虹無対戦
493/546

7-1-3(第492話) 虹無対戦~緑の国編その1~

 緑の国。

「・・・さて。今日はこんなところかしらね」

 緑の国の王、カーナ=シンペキは今日も公務に追われていて、ようやく今日の分の公務が終わり、一息ついたところである。

「まったく。どうして私も公務を手伝わなきゃいけないのよ・・・、」

 カーナの近くで、エーガンも公務を手伝っていたのか、近場の書類を整理する。

「ありがとう。いつも助かっているわ」

「・・・ふん」

 エーガンは照れくさくなったのか、カーナを見ずに鼻をならす。

「それにしてもこの魔獣の移動ってなんなのかしら?」

 エーガンは整理していた書類の中から一枚の書類を手に取る。その書類には、魔獣が大移動している可能性がある、という報告が記載されていた。

「それですか?その件でしたらタンカに直接お願いして、調査が終わり次第報告するようお願いしてありますよ。もうそろそろ報告に来てもいい時間なのですが・・・、」

 そんな会話をしていると、

「失礼します」

 タンカが公務室に入室する。

「あら。話をしていたら来たわね」

「そうね。それで何用なのかしら?」

「調査の報告をしようと思いまして」

「そう。それじゃあ報告してくれる?」

「はい!」

 そしてタンカは、今回の調査に対する報告を始める。

「結論から言いますと、私の部隊と緑魔法でも詳細は分かりませんでした」

 タンカの報告内容に、カーナとエーガンは少しガッカリするが、質問したいを聞く。

「詳細は、ということは大まかには何か掴んだの?」

「はい」

「それで、なんだったの?」

 タンカの返事に、エーガンはさらに詳しく聞こうと質問する。

「魔獣の大移動の正体はゴブリン達です」

「ゴブリン・・・」

 タンカの報告内容について、様々な思考を巡らす。

「ゴブリンだけなら数にもよるけど問題なさそうね。ゴブリンだけなら、だけど」

 エーガンは暗に、ゴブリンだけじゃないのでしょう?と聞く。

「はい。ですが全ては分かりませんでした。少なくともウッドマンはいたかと」

「ウッドマン・・・ゴブリンと共に行動するなんてあまり聞きませんね」

「確かにそうね・・・私、何か嫌な予感がするわ」

「エーガン、私も同感よ。それで、ゴブリンと共に移動していた魔獣で他にいたのかしら?」

「私達が見た限りでは大きく分けてこの2種類で下。ですが、ゴブリンはゴブリンでも弓を持っていたり盾を持っていたりしていました。後、ゴブリンキングが確認出来ました」

「ゴブリンキング、ですか!?」

「つまり、相当大きな群れ、ということね」

「ですね」

 少しの間、公務室の空気が重くなる。

「で、でも!私達が目撃した魔獣達は、こちらに向かってくる様子はありませんでしたよ!なので、こちらに向かってくる危険はないかと」

「・・・タンカ、念のため、兵を集めておいて」

「!?は、はい!!」

 タンカはカーナの言葉を受け、公務室を出る。

「・・・いいの?タンカの話を聞く限り、こちらに来る危険はないって・・・、」

「ええ。でも念のためよ。もしその魔獣が準備無しにこの国に襲来したら、命がいくつあっても足りないわ」

「そう、ね。確かに最悪の事態を想定するべきね」

「ええ」

(こんな時、アヤト様がいてくれたら・・・て!)

 カーナは自身の首を横に振る。

(!?いえ、いつまでもいない方の力に頼ろうなんて考え方、よくありません!)

「・・・もしかしなくても、あの方のことを考えていたの?」

「!?そ、そんな!!??私がアヤト様のことを考えているなんてそんなことありません!!」

 その発言にエーガンはニヤニヤし始める。

「あら~?私、アヤト様、なんて言っていないわよ?」

「!!!???」

 カーナは嵌められた、という顔をした後、エーガンを睨みつける。

「ちょ、なに魔力を溜め始めているのよ?まさか私に向けて撃つつもり?ごめんって!からかって悪かったわ!だから魔法を放とうとしないで!」

 エーガンの説得にカーナは渋々魔力を霧散させる。

「まったく。こんな時にエルフをからかうものではありません」

「はいはい」

 エーガンは最後の書類を片付ける。

「それじゃあ今日の分の公務は終わったことだし、これで失礼するわ」

「ええ、お疲れ。また明日もよろしくね」

「分かったわ。はぁ、有能な人は毎日忙しくて嫌になっちゃうわ」

「・・・」

「・・・ちょっと、何か言いなさいよ。私が痛い子みたいじゃない!?」

「いや、エーガン、あなたは本当に有能だから助かっているし、忙しくさせて申し訳ないなって思っただけよ。いつも手伝ってくれてありがとう。助かるわ」

 カーナの素直な感想に、エーガンは顔を赤くする。

「ば、ばーか!」

 そう言い、エーガンは派手にドアを閉める。

「・・・」

 カーナはエーガンの様子に笑みを少しこぼす。

 その後、暗くて何も見えない外を見る。

(どうか、この国にその魔獣達が来ませんように)

 その願いが叶うかどうかは、魔獣達次第である。

次回予告

『7-1-4(第493話) 虹無対戦~黄の国編その1~』

 彩人が魔獣の軍勢と戦う前、黄の国にいる国王、ザッハ=シンショク=キハダは魔獣の大移動についててある心配をする。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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