7-1-2(第491話) 虹無対戦~青の国編その1~
青の国。
「・・・」
青の国内の城の一室で、公務に励んでいる女性がいる。
「・・・ん?」
その女性、ラピスは、ある報告書に目を通していた。
「魔獣の数が減っているのかな?」
ラピスは様々な書類に埋もれ、次々とハンコを押していく。
「あれ?」
ハンコを押しながら書類の内容を確認していると、ラピスはある書類に目がとまる。
「魔獣の討伐数が、例年より少ない?どうしてだろう?」
ラピスは、積まれている書類を片付けつつ、魔獣関連の書類を探していく。
「・・・あった」
ここでラピスはある書類を見つける。
「魔獣がどこかへ向かっている、だって?一体どこに・・・載っていないのか」
書類を隅々まで確認するが、魔獣がどこに向かったのか、その旨の記載はどこにもない。
「なるほど。追跡している途中で見失なった、ね。この書類によると、追跡していた王権者のほとんどがベテランの冒険者、と記載しているね。そして追跡していた冒険者曰く、追跡していた魔獣の姿や気配が突如消えた、と」
ラピスは気になる書類を注視しつつ、別の書類に目を通し、問題がなかったらハンコを押していく。
「これってかなりやばいんじゃ・・・?」
ラピスは片手間に書類を片付けつつ、報告書を読み続ける。
「でも、魔獣は首都からかなり離れた場所で気配を消している、と、書いてあるね。だから問題なしと判断しているのか」
ラピスは書類を一通り片付け終え、整理を始める。
「今日やるべき仕事は全部終わったし、お父様にこの魔獣の件、相談しようかな」
ラピスは作成済みの書類を持って、自室を後にする。
「・・・ふむ。魔獣の件か」
ラピスは自身の父、ダイモス=コンバールと母、マリアナ=コンバールの前で話をする。
「はい。幸い、今年は魔獣による被害は例年より少ないようですが、この書類にある、冒険者を撒いた魔獣の存在が気になります」
「・・・その件は私も覚えている。実害はないから放置していたが、ラピスの言う通り、気にはなるな」
「では、兵に行かせて確認してもらうとしましょうか」
「お母さん待って。この件は僕に任せてほしい」
ここでラピスは、母の提案を断り、自ら名乗りをあげる。
「・・・いいの?もしかしたら魔獣に襲われて酷い目に・・・、」
「大丈夫。僕には【青色装】があるし、何より油断しないから」
「だが・・・、」
ダイモスは自身の娘を心配する。
「大丈夫だよ、お父さん。だって私、お父さんとお母さんの子供だから」
そうラピスは両親に笑顔を向けて言う。
「・・・そうか。分かった」
ダイモスはラピスの意思の固さに負け、ダイモス自らが折れる事にした。
「だが、ちゃんと下準備を怠るなよ?何かあればいつでも私達に言ってくれ。惜しみなく協力するからな」
「うん!それじゃあ僕、行ってくる!」
こうしてラピスは、城を出て魔獣の調査に出向く。
「・・・あの子、大丈夫かしら?」
ラピスが城を出た後、マリアナはダイモスに問う。
「なに、大丈夫さ」
「でも・・・!」
「ラピスが言っていただろう?あの子は、俺とお前の子なんだ」
「!?」
「自分自身を、自分達の子供を信じよう」
「・・・ええ、そうね」
こうしてダイモスとマリアナは、ラピスを待つことにした。
娘の身の安全を願って。
次回予告
『7-1-3(第492話) 虹無対戦~緑の国編その1~』
彩人が魔獣の軍勢と戦う前、緑の国にいる国王、カーナ=シンペキは魔獣の大移動についててある心配をする。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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