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色を司りし者  作者: 彩 豊
第ニ章 魔の国での日常、将来に鉄黒が差し込む夢
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6-2-13(第483話) 最悪な戦いに備えて~セントミアの居場所~

「う~ん・・・、」

 レンカ達がいる部屋に戻ると、レンカ達が笛の魔道具を並べて唸っていた。

「唸ってどうしたんだ?」

「あ、アルジン。おかえりなさい」

「おう。それでどうした?何か困っているのか?」

「ええ。それなのですが・・・、」

 レンカは並んでいる複数の笛の魔道具を見る。笛の魔道具は先日俺とモミジがとってきたものである。

「先日、この笛の魔道具には2つの効果があると言いましたよね?」

「ああ。確か魔獣を近くに引き寄せる効果と、気配や魔力を偽装する効果、だったよな?」

「概ねその通りです。ですが、六つ集めて同時に見ると、何かが見えてくるんですよ」

「?何かってなんだ?」

「それは・・・言葉では説明出来ませんので、アルジンが直接見て下さい」

「分かった」

 俺はレンカの言葉に従い、六つ並んでいる笛の魔道具を見る。

(う~ん・・・特に何も見え・・・え?)

 何か・・・道?のようなものが見えるな。

(もしかしてこれ・・・セントミアさんの居場所と、それまでの道のりか?)

 この場所は・・・俺が今いる場所か?この場所は・・・知らないな。だが、先日ゴブリンの集落を見つけた場所より奥を指し示しているみたいだな。

(これを仕込んだのは誰だ?いや、考えるまでもないか)

 おそらく、セントミアさんだろう。だが、レンカに見えないのは何故だ?俺には普通に見えているのだが?

「モミジは何か見えないのか?」

 俺は確認の為、モミジに聞いてみる。

「私ですか?ちょっと見てみますね・・・すみません。私には何も見えません」

「ですよね。もしかしてアルジンには何か見えているのですか?」

「ああ。俺には何かの道が見える」

 レンカだけでなく、モミジにも見えないとなると、俺しか見ることが出来ない、と考えた方がよさそうだ。

(この道みたいななにかを見るために条件を設定しているのだろう)

 俺にだけ見えるような条件か。

(おそらく、無魔法に適性を持つ者だけが見える道、というところか)

 そう仮定すると、イブやリーフに聞いても見えないだろうな。

(そしてこの道を辿れば、セントミアさんがいる)

 これで、俺自身やるべきことが見えた。

 色分身で七人に分身し、六人はそれぞれの国にいる魔獣の軍勢を掃討してもらう。

 そして、残りの俺はセントミアさんの所に行き、止める。

(これでいこう)

 これなら、誰にも迷惑をかけることなくセントミアさんの件を解決出来る。

(さて、魔獣の軍勢、セントミアさんとの戦闘準備をしよう)

 魔力池や魔銀製の剣を大量に準備しないとな。

(幸い、ルリから大量の魔銀をもらっているから、今から作るだけだな。後は・・・そうだ!)

 俺はあることを思い出し、レンカに話を振る。

「そういえばレンカ、お願いしたいことがあるんだけどいいか?」

「?なんでしょう?」

「モミジとかなり距離が離れていても俺が生きていられるような魔道具を作って欲しいんだが、作ること出来るか?」

「・・・要するに、モミジ殿の代わりになるような生命維持装置を作って欲しい。そういうことですか?」

「ああ」

 俺は今、モミジが近くにいないと生きていけない。だから、独りで行動するためにもモミジの代わりとなるような魔道具が必要なのだ。

「・・・これから私が一生、アヤトさんの近くにいると誓いますが、その誓いをしても、その魔道具が欲しいですか?」

「ああ。俺のせいでモミジの自由を奪いたくないからな」

「!?私、そんなこと一度も考えたことないです!」

「「!!??」」

 俺の言葉にモミジは大きな声で反論する。その声の大きさに俺だけでなくレンカも驚いていた。

「ありがとう。でもモミジ、これはあくまで念のためだ、念のため。悪く思わないでくれ」

「・・・分かり、ました」

 モミジは渋々理解してくれた感じだった。

(もしかしたら俺の心意を読み取ったのかもしれないな)

 今は後にまわすとしよう。

「それでレンカ、出来そうか?」

「そうですね・・・モミジ殿の協力が必要になりそうですが、出来ると思います」

「それじゃあ頼む」

「?いいですけど、アルジンはどうするのですか?」

「ああ。俺は俺で出来る事をするさ」

 具体的には、魔力池や魔銀製の剣を量産しないとな。

「・・・アヤトさん、大丈夫ですか?」

「?モミジ、急にどうしたんだ?」

 俺の体調のことなんか気にして。俺は問題ないと思うのだが。

「・・・いえ、なんでもありません。アヤトさん、どうか無理をなさらないでください。後、私に出来る事があればなんでも言ってください。力になりますから」

「ありがとう、モミジ」

 その言葉、本当に嬉しい。

 けど、

(戦いに出させるわけにはいかない)

 ヌル一族との戦いはやばいからな。百歩譲って魔道具製作の協力はまだいい。けど戦いは、戦いは駄目だ。

(確実に死人が出る)

 俺でも死ぬ確率がかなり高い。不意打ちでどうにかしたいが、不意打ちで倒す事が出来ればどれほど楽だろうか。

(さて、準備を始めよう)

 魔獣の軍勢と、ヌル一族の戦いに備えて。

次回予告

『6-2-14(第484話) 最悪な戦いに備えて~単独行動する為の魔道具~』

 魔獣の軍勢とヌル一族の戦いに備え、彩人は戦闘準備を進めていく。

 そんな中、モミジとレンカから、ある報告と話したい事があると聞き、魔の国の外へ足を向ける。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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