6-2-2(第472話) ホットケーキ祭り~予選~
最初に行われたのは予選だ。
この祭りに参加している人数が多すぎる為、その人数を絞るためにこの予選が行われるそうだ。
(予選の内容は、美味しいホットケーキを作った人達の内、10人まで選出、か)
つまり、予選を通過出来る人は10人、ということになるな。
(出来ればみんな、予選を通過してほしいところだが、かなり難しいだろうな)
この大会に参加しているのはリーフやモミジ達がいる。出来ればリーフ達には残っていて欲しいのだが、無事予選を通過し、残ることが出来るのだろうか。
「お姉ちゃん達、残るかなぁ?」
「残りますよ」
「!?レンカ、お前、いたのか!!??」
いきなり声をだすんじゃない!びっくりしてしまったではないか!!??
「最初からいましたよ?」
「え?でも全然気配を感じなかったぞ?」
さっきまでルリと二人っきりだったはず。まさか、レンカの事を見逃していたのか?
「その指輪の中に」
と、レンカは俺の指に付けている指輪を指す。
「そういえばお前、魔道具だったな」
普段から人型でいるから、レンカが魔道具であるという認識がどうも希薄気味なんだよな。
「?そんなの当たり前じゃないですか?アルジン、どこか頭、打ちましたか?治療が必要ですか?」
(嫌味に聞こえてくるのは俺の気のせいだろうか?)
俺の心は人一倍汚れているのだなと自覚しながら、予選の一部始終を見ていた。
予選が終わり、
「アヤト!私、勝ち残りましたよ!」
「…私も」
「これも、ご主人様の教えの賜物です」
「本当ですね。アヤトさんが普段作っている作り方を参考にしたら、無事に予選を通過することが出来ました」
リーフ、イブ、クロミル、モミジが俺達に予選通過の報告をしてくる。
「みんなおめでとう」
「お姉ちゃん達が作ったホットケーキ、どれも美味しそうだったな~。ルリも食べたいな~」
「ですね。確かにみな様が作ったホットケーキ、どれも美味しそうでしたね」
俺の言葉に続き、ルリ、レンカが他の4人を褒める。
・・・え?一人いないんじゃないかって?ちゃんといますよ。
「・・・どうして私だけ予選落ちなの?あの絶品唐辛子入りのソースを添えただけなのに。もしかしたら他の人達からしたら少し辛いかもしれませんけど、とっても、とっても美味しいのに・・・」
参加した5人の中で唯一予選したことにショックを受けています。原因は間違いなく、クリムが言っている絶品唐辛子入りのソースだろう。
(あのソース、確かに美味いとは思うが、好みは分かれると思うな~)
俺は辛味にある程度耐性があるから大丈夫だが、苦手な人は駄目だろうな。なにせ、絶品唐辛子なのだから、辛味も絶品だったに違いない。
とても辛い食べ物ととても甘い食べ物を組み合わせたら・・・言わなくても分かるだろう。俺だって甘いものと辛いものを同時に食べる事なんてしないぞ。
(今回ばかりは、食べ物の相性が悪かった、としか言いようがないな)
あの食べ物は、甘辛い、という言葉で表現できるほど優しくない。本当に、辛味が強過ぎるのだ。
そういうわけで、予選を通過した4人が、本線に出場することとなった。
次回予告
『6-2-3(第473話) ホットケーキ祭り~本選前~』
数多くの予選参加者から、10名の本選出場者が決まった。
その10人の中から彩人を除き、魔の国内で最も美味しいホットケーキを作れる人が決まる。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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