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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 赤青交わる戦争
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1-2-21(第47話) 罰とお礼の話


狸寝入りがばれ、罰として、一日中料理を作る破目になった。

 まず、朝食にホットケーキを焼いた。一枚だけなら良かったが、戦争に参加した人達、計八人と三匹分焼かなければならなかったので、同じ物を十枚以上焼くのはさすがに疲れる。だが、昼飯や夕飯も作らなければならない。昼飯は焼きそばにしてみた。麺を焼くこと自体珍しかったのか、みんな近づいてきて、俺の作る焼きそばを堪能していた。夕飯時に、

「もう作らなくていい?」と、聞いてみたら、「ふざけてるの?」と、リーフさんが真顔で答えた。その後は必死に作りました。あの顔が夢に出てきそうだったので、震えながら作りました。ちなみに夕飯はハンバーグだ。ソースを何種類か作ろうとしたが、大根おろしやデミグラスソースの代わりになるものが作れなかったので、後で試作しておこう。

 翌日、笑顔で白竜皇や黒竜帝は竜の里に帰った。きっと仕返しができて嬉しかったのだろう。俺もなんだか嬉しい。

そして、やっと罰から解放された俺は、これまでの反省をするために図書館に向かった。幸い、腕の検索機能を使い、図書館の場所はわかり、そこから調べものをしようとした。だがそこに、


「おいアヤト!今日の飯はなんだ!?早速作りに城に戻るぞ!」

「アヤトさん!昨日のご飯、どれも美味しかったですわ!是非今日も作ってくださいまし!」


 魔王夫妻(くいしんぼう)がいた。結局、魔王夫妻(くいしんぼう)に捕まり、また夕飯を作る破目になった。こいつら暇すぎるだろ。


「そういや、なんでまだこの国にいるんだ?」


 いくら同盟国だからといって、ずっと他国にいるのはまずいのでは?


「ちょっとな。それと、夜には帰って報告しているし、仕事もしている」


 意外だ。いや、最初会ったとき、魔の国の兵士達を一声で退かせたのは信頼があるからか。だからこそ、こんな自由に行動できるのかもしれないな。


「アヤトの料理は美味しいからな。早く城の料理人達もその美味さを盗んでほしいものだ」

「アヤトさんの作るホットケーキは私の大好物ですから、早く作ってくださいまし!」


 あれ?それだと、この国に来る理由がわからない。だったら、ずっと魔の国で仕事をしていればいいじゃないか。そういえば、戦争前、俺はこの魔王夫妻(くいしんぼう)とイブに依頼をしたんだっけ。そのお礼をまだしていなかった。今晩、するか。


「魔王夫妻。今回の依頼の報酬をこれから作りたいので、イブと一緒に魔の国に行きませんか?」


 なんか、デートのお誘いをしているみたいだな。まぁ、地球ではずっとボッチだった俺にはわからないが。


「ん?ああ、そうだったな。それじゃ」

「夕飯、楽しみですわ」


そう行って、二人はこの場を去る。

さて、夕飯はどうしようか。


夕飯の買い出しを終え、城に戻ると、イブが仁王立ちして待っていた。

「…おかえり」

「…おう」


俺もイブと同じような口調で返してしまう。


「イブ。お前の親から話は聞いているな」

「…ん。アヤトを国に連れてけって行ってた」

「そうか。それじゃ、行こうか」

「…ん♪」


 自然とイブと手を繋いだが、緊張しているのか、少し震えていた。そんな自分が情けなく感じる。

「…」

「…」


 沈黙の時間は続く。

 本来、イブが持っている転移の魔道具を使えば一瞬で、魔の国にある城まで一瞬なのだが、何故かイブは道具を使おうとしない。


「どうした、イブ?」

「…もっと、一緒にいたい。駄目?」


ぐっ!上目遣いでお願いするのは卑怯だぞ!

そんでもって目をうるうるさせるのはもっと卑怯だ!

けど、


「わ、わかったよ」

「…ありがと」


それを許してしまうのは、やはり俺が甘いからだろうか?

それから俺達は、二人で王都を散策した。飲食は一切せず、主に服やアクセサリーを見て回った。そう言えば、女の人と買い物に出かけるのって、これで二回目だよな。最初はリーフさんと…。


「…アヤト。私を見て」


俺がリーフさんのことを考えていると、イブが両頬をフグのように膨らませていた。怒っているのだろうが、少し可愛く見えてしまう。自然とイブの頭をなでなでしていた。

 …町の中でこんなことをしていたものだから、周りの、特に男達からの視線が痛い。

 ちなみにこのデート?で買ったものはイブの私服だ。

 買った服は黒を基調としていて、フリルが少し多めにある。まぁ、ゴシックロリータに近い感じだ。それと、白を基調とし、デザインがシンプルな服も買った。今回買った服の色は白黒なので、次は、赤、青、黄色等派手な色にも挑戦してほしいと思う。

 そんな幸せな時間もあっという間に過ぎ、そろそろ夕飯の時間だ。


「イブ。そろそろ行こうか?」

「…アヤト」

「ん?どうした?

「…また一緒に、買い物、付き合って?」


 女の人はずるい。最早わざとやっているのではないかと疑うくらい、上目遣いでお願いされてしまう。こんな頼み方をされては、断るほうが無理だっての!


「う、うん。わかったたよ」

「…あり、がと」


 やべぇよやべぇよ!思わず噛んじまったよ!ばれてないよな?なんかイブの顔が少し赤くなっている気がするが、大丈夫だよな?

 こうして、俺達はようやく魔の国に向かった。

今回のお話しは、ボッチの俺にとっては、書きながら彩人に「死ね!このリア充!」と何度も思いました。

次回、彩人が戦争を手伝ってくれたお礼に、魔王一家に夕飯を作ります。

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