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色を司りし者  作者: 彩 豊
第6色 魔の国 第一章 朱と交わり赤くなった者達同士の戦い
467/546

6-1-18(第466話) 訓練場での戦い~【黒色気】を使った魔王の妻~

「・・・アルジン、また何かやらかした・・・いえ、もうしたのですね」

「おい。俺は何もしていない・・・はずだ、多分」

「アルジンこそ自信がないじゃないですか」

「ですが、どうして魔王の妻さんは、アヤトさんと模擬戦をしたいと言ったのでしょうか?あの方もさきほどの連戦を見て、自分も戦いたくなったのでしょうか?」

「・・・いえ、おそらく違うかと」

 モミジの推測を、クロミルは否定する。

「私が推測するに・・・、」

 ここでクロミルは俺を見る。まぁ、なんとなく俺が理由なのは分かる。そしてその理由はおそらく、

「さっきの行動、だよなぁ・・・、」

「魔王様の奥方も頭では理解していると思います。ですが、家族のこととなると、そう簡単に割り切れない。心では許す事が出来ないのではないでしょうか?」

「そうだよなぁ・・・」

 それしか理由が思い浮かばないな。俺としては、殺す気はまったくなかった。だが身内から見れば、殺す気が無くても許せない事なのだろう。俺も逆の立場だったら許せないかもしれないし、今のストレガのように戦いを申し込んでいたかもしれない。そしてその相手を完膚なきまでに叩き潰して・・・、

(あれ?)

 もしかしてこれから俺、魔王の妻、ストレガに粛清される?

「俺、あの人と戦うの嫌なのだけど、拒否って出来ると思う?」

「無理かと」

「だよなぁ・・・」

 なんか目が笑っていないように見えるな。まさか闇堕ちしているとか?

(・・・ここはもう割り切るしかないか)

 今日は既に何度も戦ってきているんだ。今更一回二回戦ったところで・・・変わるな。

(いや!もう気にしない!!)

 例え今以上に疲れるとしても、もう気にしない!気にしたら負けと思うようにしよう、うん!!

「それで、あの人はどんな風に戦うんだ?」

 俺はイブに、魔王の妻がどんな戦闘スタイルなのか質問する。やはりイブに似て、魔力で腕を形成し、その腕で戦っていくスタイルなのだろうか。

「…私とほぼ同じ」

「そうか」

 となると、相手はイブと思って戦った方がよさそうだ。

「…でも、気を付けて」

「ん?どういうことだ?」

「…多分、何か隠している。私と同じ戦い方だからといって油断しない方がいい」

「分かった。気を引き締め直して挑むよ」

「…ん♪アヤト、ガンバ♪」

「ああ!」

 もとより、油断するつもりなんてない!やるからには勝つ!

 俺はイブからある程度情報を収集したところで、訓練場の中央に向かう。

「さて、戦う準備は出来まして?」

「ああ、いつでも始められるぞ」

「そう。あなた、審判お願い」

「あ、ああ」

 ここで魔王は俺を見る。

(ん?)

 視線からして、何か言いたそうだな。

「ちょっと待ってくれ」

「何かしら?別に少しくらいいいわよ」

「悪いな」

 俺はストレガの許可をもらい、魔王に近づく。

「それで、どうした?」

 魔王はある人物、ストレガ=デビルを見てから俺に話しかける。

「気をつけろよ」

「え?」

 何やら真剣なトーンで忠告された。

「あの妻の目、もしかしたらお前を殺すかもしれない」

「!?だが・・・、」

 今も魔王の妻はニコニコと笑っている。一瞬、人を殺す人には見えないのだが、

(魔王の言う通りかもしれないな)

 さっきから目が笑っていないんだよな。光がないというか、何か覚悟しているような・・・、

「忠告、素直に受け取るよ」

「・・・すまない。家の者が・・・、」

「気にするな。俺も悪いところがあったからな」

 主に、魔王の首に神色剣を当てたところ、かな。

「お話、終わりまして?」

「ああ。たった今終わったところだ」

 俺は魔王から離れる。

「そう・・・、」

 ストレガは無言で魔王を見る。

「それではこれから、我が妻とアヤトとの模擬戦を始める」

 俺は神色剣を構える。

(やはり杖を構えてくるか。武器のセンスはイブと同じか)

 だが、イブや魔王の忠告を受け止めるなら、この人の武器は、魔力で形成する腕と、今も手に持っている杖だけじゃないはず。要警戒だな。

「始め!」

 魔王の合図とともに、俺と魔王の妻、ストレガ=デビルとの模擬戦が始まる。

次回予告

『6-1-19(第467話) 訓練場での戦い~【黒色気】を使った魔王の妻その2~』

 魔王の妻が抱く感情。

 その感情は、彩人が抱いたことがある感情だった。

 その感情を機に、魔王の妻、ストレガ=デビルは彩人と戦いを始める。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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