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色を司りし者  作者: 彩 豊
第6色 魔の国 第一章 朱と交わり赤くなった者達同士の戦い
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6-1-17(第465話) 訓練場での戦い~【黒色気】を使った魔王~

(この感じ、やはり最初と戦った時は手を抜いていたか)

 この重み、以前魔王と闘った時以上な気がする。となると、以前闘っていた時は【色気】、魔王の場合は【黒色気】を使わずに闘っていたのか。そう考えるとこの強さに納得がいく。

(なら俺も【色気】を、【黒色気】を使うまでだ!【黒色気】!)

 俺は【黒色気】を発動させる。

「・・・娘から聞いていた通りだな」

 ・・・なんか、急に魔王の雰囲気が落ち着いたな。もしかして、俺が【黒色気】を使ったからか?確認してみるか。

「もしかして、この【色気】の事か?」

 俺は自身の目を指差す。

「・・・ああ。アヤトが【色気】を自在に使える事に驚いたが、まさか娘も【色気】を使えるようになっていたとはな」

(!?こいつ!!??)

 魔王は話しながら俺に切りかかってきたので、冷静に防いだり受け流したりして攻撃をいなしていく。

「一国の王として、【色気】を自在に使える者が滞在してくれて助かる。【色気】を使える者がいるのといないのとで、戦力が大きく異なるからな」

 そんな話を、剣同士をぶつけ合いながら聞かされる。話すのはいいが、出来ればもっと落ち着いた場所、雰囲気で話を聞きたいものだ。少なくとも、戦闘中に話をされては、戦闘にも話にも集中出来ないぞ。

「だが、娘を持つ父としては、イブが、娘が【色気】を使っていく度に心配なのだよ。【色気】を使うことが出来るアヤト、貴様も分かるだろう?【色気】の恐ろしさを。【色気】の制御に失敗した時、何が起こるのかを!」

 語尾が強くなり、剣の勢いも強くなっているな。俺はその魔王の剣を剣で受け止める。

「ああ。よく知っているさ。自身の身で経験したから、な!」

 俺は魔王の剣を力で押し返す。

「自身の身で?お前まさか・・・!?」

「そんな呑気に考える余裕があるのか?」

 俺は自身の周囲に【炎槍】、【氷槍】、【風槍】、【雷槍】を展開し、魔王に向けて放つ。

「この程度で私を倒せるとでも?」

 魔王は自身の近くに黒い球体を形成する。そして、俺の魔法にぶつけ、互いの魔法が消滅した。

「冗談でも笑えないぞ?」

「なら、笑えるようにしてやるよ!」

 俺は魔銀製の剣を魔王に向けて投げつける。

「ふん!」

 魔王は易々と剣を振り払う。

(それくらい、想定通りなんだよ!)

 俺は即座に神色剣を手に取り、魔王に向けて振り下ろす。

(この連続攻撃、防げないだろ!)

 俺は勝利を確信したのだが、読みが甘いことにすぐ気づかされる。

「なっ!?」

「妻や娘に出来る事が、私に出来ないとでも思ったか?」

 魔王は自身の魔力を腕に形成し、形成した腕で俺の神色剣を防いだのだ。

「それでは、妻に習うとしよう。【拳雨】」

 俺の頭上に無数の拳が降り注ぎ始める。

(この連続攻撃、俺に時間を作らせない気だな。となると、次にとる行動は・・・て、呑気に考えている場合じゃない!まずこの攻撃を防がないと!!)

「【魔力障壁】!」

 俺は魔王の【拳雨】を【魔力障壁】で防ぐ。

(ぐっ!!??【黒色気】のおかげか、一発一発の威力が重いな)

 だが、破られるわけにはいかない!が、一枚だけだと、目の前で展開している【魔力障壁】が破られたらとんでもない目に遭うので、複数枚展開しておくか。

(攻撃が止んだな)

 自ら優勢にも関わらず、攻撃を止めた。

 考えられる理由は二つ。

 一つは、魔力が切れて、【拳雨】の維持が出来なくなった。

 もう一つは、【拳雨】より大きな魔法を撃つので、その一撃に集中する為、だ。

「これで終わらせるとしよう」

 分かる。

 魔王は今、魔力を一点に集中させている。大技を俺に浴びせるつもりだろう。

「この魔法で、貴様のふざけた発言に対する鬱憤を晴らしてやる」

 ・・・魔王さん、実は結構根にもつタイプですか?

「・・・」

 俺は無言で膝を地面につき、自身の体力に意識を集中する。だが同時に、別の魔法の準備も怠らない。

「無言、か。まぁいい。これで終わらせてやる」

 一点に集中させている魔力が黒光りする。

「【破滅光線(デストロイレーザー)】!」

 魔王から【破滅光線(デストロイレーザー)】が放たれる直前、

(今だ!)

 俺はある魔法を発動させる。

「!?」

 その魔法に魔王は驚いたかもしれないが、もう【破滅光線(デストロイレーザー)】は止められない。【破滅光線(デストロイレーザー)】は放たれたのだ。

 だが、俺に向かって、ではない。

 俺から少し離れた地面に直撃したのだ。俺はその隙を見逃さず、魔王に急接近し、首元に神色剣を軽く当てる。

「これで勝ちだ。文句あっか?」

「・・・まさか、私の魔法発動直後に足場を崩してくるとはな。私の注意力散漫の結果だな」

「まだ、やる気か?」

 俺は神色剣をさきほどより強く当てる。そのことで、魔王の首から微々たる血が流れる。もちろん、魔王の首を切り落とす事はしないが、万が一魔王の首を切り落としたら・・・俺も死ぬな。

「あぁ、私の負けだ」

 俺は審判をやっている魔王の妻、ストレガ=デビルに目を向ける。

「勝者、アヤト!」

 その声を周囲に響かせた後、ストレガはすぐ魔王の元へ駆け寄る。

「あなた、大丈夫!?死んでいない!!??」

 俺は魔王から離れる際、白魔法をかけて回復させる。首の切り傷は入念に治療しないとな。跡は・・・残っていなさそうだ。

「ああ。アヤトが私に白魔法をかけてくれたおかげで傷一切ない」

「そうか。それはよかった」

 俺は自身にも白魔法をかけ、傷や体力を回復させる。

 ・・・うん。傷や体力が戦闘前に戻ったな。だが、魔力を消費した為か、その分の精神的慰労が残っているな。

「・・・ところでアヤトさん?さっきのあれは、本当にうちの・・・、」

「いや、そんな訳ないから!?」

 どういう考えに至ったら、将来義理の父になるかもしれない人物を殺そうと思うのやら。

(・・・義理の父、か)

 今、俺の両親はどうしているのだろうか。元気に生きているのだろうか。そんなことを考えていたら、

「・・・ねぇ?私とも模擬戦、してみない?」

「・・・え?え??」

 新たな戦いの火ぶたが切っておろされたのだった。

 俺、もう戦いたくないのだけど、拒否、出来ないかな~。

次回予告

『6-1-18(第466話) 訓練場での戦い~【黒色気】を使った魔王の妻~』

 魔王との戦いを終えた後、魔王の妻も彩人との模擬戦を望む。

 彩人は、自身と模擬戦をしたい理由に関して推測し、模擬戦に臨む。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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