表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色を司りし者  作者: 彩 豊
第6色 魔の国 第一章 朱と交わり赤くなった者達同士の戦い
465/546

6-1-16(第464話) 訓練場での戦い~魔王への挑発~

「・・・はぁ、どうしてこうなった?」

「アルジンのこれまでの行いのせい、ですかね」

「俺、そんなに普段の行いが悪いのか?」

「悪いじゃないですか。・・・まさかアルジン、自身がこれまで何をしてきたのか忘れたわけじゃないでしょうね?」

「・・・さて、魔王との戦いに備えて、少しでも魔力を回復させておくかー」

 俺はレンカとの話を放棄し、次の試合に向けて魔力回復に努める。

(それにしても、まさか回復役をくれるとはな。どれだけ俺と戦いたいんだよ。別に明日でもよくないか?それほど切羽詰まっているのか?)

 俺は時間経過によって魔力と体力を回復させようとしたのだが、気を効かせてくれた魔王が俺に回復役を複数本プレゼントしてくれたのだ。この世界にとって、回復薬は貴重なものだ。なので、これを複数本持っているという事から、かなり裕福であることが分かる。まぁ王族なので、懐は潤っていて当然か。

「アルジン、逃げましたね?」

「・・・それでイブ、魔王はどんな魔法を使うのか教えてくれないか?」

 前にも一度戦ったことはあるが、それでもあの魔王のことだ。一度の戦いで手の内を全て晒したとは思えない。きっと俺の知らない手を残しているに違いない。もちろん、近くで聞こえているレンカの小言は無視である。

「・・・私の使う【破滅光線(デストロイレーザー)】はよく使っていたと思う。…後、よく剣を使って接近戦をしていた、と思う」

「なるほど」

 つまり相手は接近戦を主として戦ってくる、ということか。イブみたいな、遠距離戦を得意とするタイプとは真逆だな。

「それで、こんな魔法を使っていた、とか分かるか?」

「・・・後、剣に魔力を纏わせていた、気がする。…他には、黒い球を相手にぶつけることをしていた、と思う」

「そうか」

 何故かは分からないが、曖昧な表現ばかりだな。もしかしてイブ、記憶力に自信がないのか?俺より魔王の事、知っているのではないのか?

(・・・いや、家族だからこそ、かもしれないな)

 家族だからこそ、自身が戦っている姿を見せたくなかったのかもしれないな。だから、自身の父がどんな風に戦うのか、どんな魔法を使うのかよく分かっていないのかも。

(俺も、父親が何の仕事をしているのか知らなかったし、そんなものか)

 となると、重要な情報は得られなさそうだな。諦めて戦いながら知っていくしかなさそうだな。

「それにしても、どうしてあの人はいきなり俺と戦おうと思ったんだろうな」

 魔王、前会った時はここまで戦闘狂じゃなかったはずなんだけどな。もしかして俺の記憶違いか?

「・・・きっと、私達の戦いを見て、戦いたくなったんだと思う」

「だとしても、別に今日じゃなくてもよくないか?」

 わざわざ回復役を使って回復させなくても、時間経過による自然回復をして、数日郷にまた模擬試合、という形式をとった方がよかったんじゃないか?そうすれば回復薬分のお代が浮くわけだし。

「・・・今日中にやりたいことをやりたかったんだと思う。明日からまた公務で忙しくなるから」

「・・・そうか」

 魔王は一国の王、だもんな。色々やることがあるのだろう。それなのにその合間を縫って、こうして来てくれたのか。

(なら、下手に手を抜くわけにはいかないか)

 前はギリギリだったからな。今度は圧倒的な勝利をいただかせてもらうとするか!

「・・・ようやくやる気をだしてくれたようで安心だよ」

「悪いな。こっちは回復役で回復したとはいえ、四連戦したんだ。やる気を回復させるのにも多少時間がかかるんだ」

「・・・それはすまない。私の気がまわらないばかりに・・・、」

「別に責めるつもりはないさ。こっちこそ、忙しいのにわざわざ時間を取ってくれたんだ。これくらい頑張らないと、な!」

 俺は両手を思いっきり叩き、気合いを入れ直す。それにしても、さっきの発言はsつ減だったかもな。さっきの言葉だと、相手に変な気を遣わせてしまうな。今度から気をつけよう。

「・・・本当にいいのか?なんなら日を改めて・・・、」

「こっちは構わない。それとも・・・、」

 俺は思いっきり、魔王に向けてニヤケ顔を向ける。

「俺に負けるのが怖いのか?」

「!!!???」

 魔王は分かりやすく苛ついていた。無理もないだろう。年下の男が生意気なことを言っているのだ。顔を歪ませてしまうだろう。・・・自分で言っておいてなんだが、今の俺、なんか悪役みたいだな。

(でもこれで、魔王も少しは戦いやすくなっただろう)

 さっきは変な気を遣わせてしまったからな。そのお詫びだ。快く・・・ではないかもしれないが、受け取ってくれるだろう。

(ついでにもう一言二言付け加えておくか)

「この前は俺にズタボロだったもんな~。今回も俺の楽勝か?あ~、敗北が知りてぇ」

「・・・そうか」

 ・・・なんだろう。自分でもちょっと言い過ぎたと反省しているのだが、それ以上に魔王、怒っていないか?怒りの感情がこの施設を包み込んでいそうなくらい、膨れ上がっていないか?

(もしかしなくても俺、やり過ぎた?)

「なら教えてやるとしよう」

 やばい!この人、俺を殺す気だ!!??

「あの~。分かっていると思いますが・・・、」

「なに、大丈夫だ。じきに分かる」

(ほ)

 分かっているのか。それなら安心出来るな。

「敗北の味がな!!!」

 て、絶対安心出来ないじゃないか!!!???

「それでは模擬試合、始め!」

 魔王の妻により、試合開始の言葉がかけられ、

(あの眼、まさか・・・!?)

 魔王が俺に急接近し、手に持っていた剣を振り下ろす。

「ち!ちょこざいに防ぎおって!」

「いや、そりゃ防ぐわ!」

 防がなかったら死ぬし!絶対死ぬ!!

「貴様の負け様を見ない限り、今日は眠れなさそうだな」

「あの、俺、降さ・・・、」

 俺はあまりの気迫に降参しようと試みたのだが、

「今更降参なんてつまらないこと、してくれるなよ?」

「・・・」

 駄目だった。どうやら俺はこれから、魔王と戦わなくてはならないらしい。

(俺、今すぐこの場から逃げ出したい。魔王、すごく怖い)

 一国の王とは思えないほどの感情をこちらに向けて。


 一方、

「アヤト、どうして急に魔王さんの悪口を言ったのかしら?」

 クリムは、どうして彩人が魔王を貶したのか分からず声に出す。

「さぁ?」

 ルリはクリムの質問に答えられず、共に考え始める。

「・・・おそらく、ご主人様なりに気を遣ったのでしょう」

「気を?どういうことなの?」

 クロミルの答えに、ルリは再び疑問を抱く。

「ご主人様は、魔王様が思う存分戦うことが出来るよう声をかけたのでしょう。ですが・・・、」

「…ん。完全に逆効果。アヤト、やり過ぎ」

「ですね。アヤトなりに気を遣ったのでしょうが、言い過ぎです。加減というものを知らないのでしょうか?」

「アルジン、たまにやり過ぎますからね。きっと今回も言い過ぎたのでしょうね。アルジン、死なないといいですが」

「えと・・・とにかくアヤトさんは、魔王さんに悪意があって悪く言ったわけではない、ということが分かって良かったです。そしてアヤトさん、どうか死なないでください」

 モミジが必死に祈る中、

(…本気で怒っているとは思わないけど、かなり激情している気がする。アヤト、無事でいて)

 彩人と魔王、ゾルゲム=デビルが闘い始める。

次回予告

『6-1-17(第465話) 訓練場での戦い~【黒色気】を使った魔王~』

 彩人は、魔王へ挑発をすることで、魔王が気兼ねなく戦えるようにしたかった。

 だが、挑発のし過ぎで逆効果となってしまう。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ