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色を司りし者  作者: 彩 豊
第6色 魔の国 第一章 朱と交わり赤くなった者達同士の戦い
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6-1-15(第463話) 訓練場での戦い~クリム、イブ、リーフが闘った理由~

 三人が起きるまで時間がかかると思い、俺は魔王達に話を切り出す。切り出す内容は、どうして三人が俺と戦おうとしたのか、だ。

 結果として、教えてくれなかった。

 どうして教えてくれなかったのかというと、

「私達から話しますよ」

「…そっちの方が理にかなっていると思う」

「私達の気持ちも聞いて欲しいですし」

 すぐに三人が目を覚ましたからである。たった一撃だけとはいえ、【六色気】での攻撃の後にすぐ目を覚ますなんて、かなりタフなんじゃないか?

「それで、どうして急に俺と戦いたくなったんだ?戦闘狂になった、とかじゃないよな?」

「!?違いますよ!!??誰がクリムみたいな戦闘狂になるものですか!?ねぇ、イブ?」

「…ん。激しく同意」

「・・・二人ともひどくない?」

 どんまい、クリム。

「・・・私は、私達は、アヤト達より弱い、じゃないですか」

 そんなことない、と言いたいところだが、先ほど勝った俺が言うのは違うか。

 でも、これだけは言いたいので言わせてもらおう。

「強さは何も戦闘力だけじゃない。知識だって立派な力だと思うぞ?」

 俺はこの世界で生まれたわけじゃない。地球という星で十数年生き、死んでからこの世界に来た。そして、この世界に来てから俺は、まともに勉強していない。色々本を読んだことはあるが、基礎的な知識がほとんどないのだ。それに対して、リーフ達はこの世界で生まれ、この世界で育っている。つまり、この世界の基礎知識は俺より保有している、ということだ。さらにイブみたいな王族は、この世界の歴史や魔法に関する英才教育を施されている事だろう。クリムは・・・物理的な英才教育?を受けていると考えるか。

 何が言いたいかと言うと、俺以外の人達は、俺よりも知識が豊富である、ということだ。だから俺自身、みんなに色々教えてもらっているので気にしていないし、力になっていると思う。

「確かに知識も力の一つだと思います。ですが力がないと、何も守れないですし、助けられません」

「そんなことないと思うぞ?」

 俺は何度もリーフ達の魔獣等の知識に助けられたと思う。だから気にしなくていいと思うのだが、本人は気にしているのか。

「・・・緑の国では、私は捕まってしまい、アヤトに無茶をさせてしまいました」

 そのリーフの言葉に、イブとクリムもリーフと同じくらい凹む。

(あれは事故みたいなものなのだから気にしなくていいと思うのだが・・・?)

 俺も無茶をしないと勝てなかったくらい弱かったし、そもそも捕まえる側が悪いと思う。

「黄の国ではなんとか冒険者達を倒す事は出来ましたが、白の国では、ルリちゃん達を助けようにも結局私だけでは勝つことが出来ず、ジャルベちゃん達も手伝ってもらい、ようやく助ける事が出来ました。そして・・・、」

 ここでリーフは俺を見る。

「この魔の国で特訓すれば、少しはアヤトに近づけると思ったのですが、全然近づけず、自身の弱さを実感しただけでした」

「・・・」

 ・・・自身の弱さ、か。

(正直、なんて言葉をかけたらいいのか分からないな)

 俺から何か言ったところで、嫉妬させてしまうだけではなかろうか。でも、このまま何も言葉をかけないのもまずい気がするな。

 ・・・よし、これでいくか。

「俺はリーフ達に勝った時、【六色気】で勝った。つまり、複数の【色気】を使って勝ったんだ」

「?・・・何が言いたい?」

 イブが困っているので、俺は更に言葉を続ける。

「もっと言うと、一つの【色気】だけじゃあ、三人に勝つことが出来なかったんだ。だから誇っていい。みんなの【色気】は、俺の一つの【色気】に勝ったんだって。強くなったんだって」

「・・・ですが結局、アヤトには負けてしまいましたわ」

 クリムが珍しくお嬢様口調で呟いた。

「なら次勝てばいい。時間はまだあるし、みんなはまだまだ強くなれるのだから」

「・・・本当、ですか?」

「ああ」

 俺は、自信が感じられない三人に対して、自信を持って断言する。

「俺が保証するよ。三人はまだまだ強くなる」

「私も断言致します」

 俺の言葉の後に、クロミルが続く。

「ご主人様の【色気】は、ご主人様の色魔法の適性とご主人様特有の感覚により成し得た唯一の技だと思っています。なので、ご主人様のように強くなるのは難しいかと思います」

 ・・・褒められている、という認識でいいんだよな?俺だけの感覚、か。なんか特別感があって少し誇らしいな。

「それに対し、リーフ様方は一種類の色魔法の【色気】を極めておられました。その練度はおそらく、ご主人様と同等、もしくはそれ以上かと思います。なので御三方は、ご主人様とは別の強さを持っている。私はそう思います」

 ・・・なんか、クロミルが言うと説得力があるな。俺と同じような事を言っていると思うのだが、俺の言葉が薄っぺらいなと感じてしまう。

「そうだよ、お姉ちゃん!」

 ここに来て、クロミルだけでなくルリも言葉を発してくる。

「お姉ちゃん達、白の国よりずっと、ず~っと強くなっていたよ!ルリが言うんだもん!だから、お兄ちゃんに近づいている!絶対、弱くない!!」

「…ルリ・・・、」

 ルリの、純粋で真っすぐな言葉が三人に向けられる。

「みなさん、本当に強くなったと思います。凄いです」

「モミジちゃん・・・、」

 一音一音重みのあるモミジの言葉が三人に贈られる。

「そもそもアルジンが強い理由と言うのは、常に死と隣り合わせだからですからね。御三方がその方法を真似する必要はないと思います。というかアルジン、毎回毎回六つの【色気】を重ね掛けするのは出来るだけ控えて欲しいです。いつか死にますよ?」

「!?確かにそうです!アヤトさん、私、いつも心配で心配で・・・!」

「ルリだって、お兄ちゃんが心配だよ!いっつも赤いの流してボロボロで・・・!」

「モミジ様、ルリ様、これを」

「・・・あれ?どうして三人の励ましが俺への愚痴になっているんだ?」

 いつの間にか俺が責められている、だと!?

「・・・確かに、アヤトはちょっとずるいですよね」

「そうです!クロミルちゃんやモミジちゃんみたいに、複数の色魔法に適性を持つ者なんてほとんどいないというのに・・・!」

「…アヤトは全色魔法に適性がある。なんて理不尽」

「えぇ・・・」

 そんなこと俺に言われても困るのだが?

「さて、話は済んだかな?」

「・・・あぁ」

 一瞬、誰が話に割り込んだのかと思ったが、ここに住んでいる魔王か。不審者かと思ったぞ。

「それでは、次は俺とも戦ってもらおうかね」

 この魔王の言葉に、

「・・・は??」

 俺は疑問を抱くことしか出来なかった。

次回予告

『6-1-16(第464話) 訓練場での戦い~魔王への挑発~』

 3人と戦い終えた彩人に待っていたのは、連戦を見て自身も戦いたくなった魔王、ゾルゲム=デビルだった、

 だが、連戦し終えた彩人に申し訳なさを覚える。

 そこで彩人は。魔王を挑発することで戦いやすくしようと考える。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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