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色を司りし者  作者: 彩 豊
第6色 魔の国 第一章 朱と交わり赤くなった者達同士の戦い
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6-1-13(第461話) 訓練場での戦い~【緑色気】のリーフ~

「はぁ!」

「ふん!」

 俺とリーフは、必死に剣を打ち合い続ける。

(この剣術、前よりキレがあるんじゃないか?鋭さが増しているというか・・・、)

 剣で防いだりいなしたりしているのだが、剣を貫通し、そのまま俺の体を貫通してしまうのではないかと錯覚してしまうくらいの衝撃だ。前にリーフと模擬戦で戦った時、ここまで重い一撃はだせていなかったはずだ。

(となると、この突きの、剣の鋭さはリーフの成果か)

 一振り一振りが重くなっている。もしかしたらこの重みは、特訓の成果だけでなく、【緑色気】の影響もあるのかもしれないな。

「風よ!」

 瞬間、リーフの周囲に風が舞い起こる。

(風によって俺の動きを阻害するつもりか?)

 なら、俺がリーフ以上の風を起こせば、この風の妨害を打ち消すことが出来るはず。

「まだです!」

「何!?」

 リーフはいきなり宙に浮いた。その様子はまるで、空を自由自在に動き回る翼竜である。

「アヤトは雨粒一つ一つ、全て躱しきることが出来ますか?」

「・・・え?」

「【風弾雨(ふうだんう)】」

 瞬間、俺の頭上に風が吹き荒れ始め、風が俺に直撃する。

(嫌な風だ)

 その風はやがて、雨粒のような形状となり、威力が増していく。

(やばい!?)

「【魔力障壁】!」

 【魔力障壁】を展開した直後、風がぶつかっているとは思えないほど衝突音が鳴り響き始める。

(まるで豪雨だな)

 【魔力障壁】を展開していてよかった。生身で受けたらひとたまりもないな。

「この程度で終わると思わない事ですね」

 リーフの奴、何言っているんだ?

「はぁ!」

 急に突きを放ったな。だが、何もない箇所に突きを繰り出したところで意味なんて・・・!?

「!!??」

 なんだ!!!???【魔力障壁】にさっきまでと比較にならない衝撃が襲い掛かってきた、だと!!??

(どういうことだ!!??)

 まさか、さっきまで手を抜いていたのか?

 けど、そんなそぶりはなかった・・・と思いたい。それか、俺が何か見落としていたのだろうか?

「どんどん行きますよ!」

「!?ち!」

 リーフのさっきの魔法に直撃したらひとたまりもないな。

(なら、やるべきことは一つ!)

 くらわないようにするだけだ!その具体的な方法は、

(リーフの攻撃する箇所や軌道を予測して躱す。それが出来なかったら【魔力障壁】で上手いこと受け流す)

 これくらいしか思いつかないな。けど、やるしかない!

(リーフをよく見て、攻撃を予測する!)

 ・・・改めて見ると、どうしてリーフは浮いているんだ?

「はぁ!」

 うわ!?

 リーフの突きが俺めがけて放たれた直後、俺は自身の身を案じ、その場から離れる。すると、さっきまでいた場所に大きな窪みが出来上がる。

(・・・そうか。分かったぞ)

 おそらく、リーフのあの突きが魔法の威力に関係しているだろう。リーフの突きが、さっきリーフが言っていた魔法、確か【風弾雨】、だったか?その魔法の威力を上げているんだ。【風弾雨】の勢いに突きの勢いを加えた、といったところだろうか。

そもそも、あの【風弾雨】という魔法はどんな魔法なんだ?雨のように何かが上から降ってきたのだが、何が降って来たのか分からない。リーフは緑魔法に適性があるから、木・・・はないか。空気を弾丸みたいな形状にして降らせているのだろうか?推測の域をでていないので正確なところは分からない。いや、正確なことなんて分からなくていい!

(推測さえ出来れば、その推測に対して策を練り、実行するだけだ!)

 相手が突きによって勢いを加えたのなら、こっちは加えた勢いを超える勢いで減衰させるだけだ!

「【水壁】!」

 俺は自身とリーフの間に水の壁を複数発生させる。

「今更その壁を複数並べた程度で、私の魔法を止められると思っているのですか?」

「ああ」

 まぁ、完全に止められなくてもいいのだが。この魔法を発動させた目的は、リーフの【風弾雨】の勢いを少しでも減衰させることだからな。

「私の魔法を、全力を舐めないでください!【風弾雨】!」

 リーフの強力な突きが複数放たれる。そして、目に見えない何かが俺に向かってくる。

(きちんと【水壁】に向かっているな)

 なら大丈夫だ。

「え?どうして?私の魔法がただの水に止められるはずが・・・、」

 リーフが驚くのも無理はない。だって俺も内心驚いているのだから。

「俺の魔法、【水壁】に使用した水はただの水じゃない」

「ただの水じゃない、ですって?それじゃあどんな水を・・・、」

「高粘度の、ドロドロの水を魔法に使ったんだ」

 この水なら相手の動きを阻害出来るだろう。現に、リーフの魔法を止める事が出来た。

「ですがまだ・・・、」

「これ以上好き勝手にやらせると思うか?」

 即座に俺はリーフの関節に【水球】を発動させる。

「こんな水の・・・!?」

「その水は、さっき俺が言った、高粘度の水だぞ?更に、と!」

 俺は【空縛】を発動させ、リーフの四肢を拘束する。

(【空縛】で拘束した上に、拘束を解いても【水球】の抵抗力でかなり動きづらいはず)

 だけどまだだ。この状態だとまだ、俺に攻撃出来る手段がある。それを完全に潰さないとまずいな。

「・・・なるほど。アヤトの【空縛】とこの水の球で私の動きを完全に封じたと。甘いですね」

「甘い、か」

「ええ。何せ私にはまだ、魔法があるのですから!」

(アヤトは自身の前に【水壁】を展開している。。なら横から、【水壁】がない個所から魔法をアヤトにぶつける!)

 リーフは風の刃をアヤトに向けて放つ。その魔法は、【水壁】を避けてアヤトに向かっていく。

「ああ。それくらい、俺でも分かる。だから・・・!」

 リーフの魔法に対し、俺自身の周囲を覆うように【水壁】の範囲を拡大させる。そして、拡大させた【水壁】の一部にリーフの魔法が直撃し、魔法の勢いが完全に消滅する。

「こうなったら・・・!」

 リーフは風で【水壁】を吹き飛ばそうと俺に向けて強い風を送り始める。

「無駄だぞ?」

 俺はリーフよりも強い風を起こし、リーフの魔法をかき消す。

 そして、氷の槍をリーフ周辺に複数本発生させる。

「これで終わり、でいいか?」

 俺はリーフに負けを促す。

「・・・そう、ですね。これは確かに私の負けですね」

 俺は、リーフが負けを認めたので、拘束を解き、リーフを地面に下ろす。

「これで終わり、だよな?」

 ・・・何故だろう?自分で終わりだと言いながら、終わりじゃないと思っている自分がいる。

「そうですね。やはり私達一人一人では、アヤトに敵わないようですね。残念ながら認めるしかありません」

「ですが、まだアヤトには戦ってもらいますよ?」

「え?」

 ここで俺は、クリムが俺達に向かって歩いていることに気づく。

「…ん。アヤトには連戦で疲弊しているかもしれないけど、付き合ってもらう」

 否、クリムだけじゃない。イブもクリム同様、俺達に向かって歩いている。

「付き合ってもらうって、何にだ?」

 正直、ある程度予測出来る。予測出来るが、聞かずにはいられなかった。

「最後に、私達三人とアヤト一人で戦ってもらいます」

 やはりそうきたか。

「私達一人一人では敵わなくても、」

「…力を合わせ、協力すれば、」

「一人で敵わなかった相手、アヤトに勝つことが出来る!」

 ・・・正直、今すぐこの戦いを放棄したい。

 なんなら逃げ出したい。

 けど、今逃げたらリーフ達の気持ちを踏みにじることになる。それは避けたい。

(なら、覚悟を決めるしかない、か)

 三人ともやる気満々みたいだし。

「・・・本当に、戦うのか?」

 俺は確認の為、三人に聞く。

「はい!」

「…ん。そのために今まで頑張ってきた」

「出来れば戦ってもらえると嬉しいです。戦ってくれますか?」

 そう言われたら断るわけにはいかないじゃないか。

「・・・これで最後、だよな?」

「ええ」

「…これが私達の集大成」

「私達でアヤトに勝ってみせます!」

「そうか」

 なら、三人の気持ちに応えて見せようじゃないか!

 俺は気を引き締め直し、三人と相対する。

「それでは、行きます!」

 これから、俺独りとクリム、イブ、リーフ三人の戦いが始まる。

次回予告

『6-1-14(第462話) 訓練場での戦い~【色気】を発動したクリム、イブ、リーフ~』

 リーフとの戦いの次は、【色気】を発動した3人との戦いが始まる。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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