表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 赤青交わる戦争
46/530

1-2-20(第46話) 戦争後の狸寝入り

「…と。お…」


 ん?何かが聞こえてくる。けど、何を言っているのかわからない。


「あや…。…きて」


 まだだめだ。もう一回夢の世界へ、


「アヤト!起きて!!」

「へぶぅ!?」


 行けなかった。

 だが、


「あ、もう…駄目だ。三途の川でおばあちゃんが手を振っている…」

「ア、アヤト!アヤト!」


 三途の川が見えました。そしてまた、俺は気を失う。


 結局、きちんと目を覚ましたのは、俺が倒れた次の日だった。


 あれからどうなったのかは覚えていない。だが、俺を城まで運んでくれた白竜皇や黒竜帝から話を聞いた。

 とりあえず、あの黒い一つ目巨人(サイクロプス)は死んだらしい。らしいというのは、俺が倒してから白竜皇達が来るまでに、黒い一つ目巨人(サイクロプス)の体が無かったらしいのだ。なので、生死は不明ということなのだ。もし、まだ生きているとしたらと思うと…想像したくないな。

 だが、戦争自体は終わった。いつの間にか捕まえていた青の国の兵士達を、魔王夫妻が自分の国にお持ち帰りしてごうも、尋問してくれるらしい。そんなことを依頼しても大丈夫なのかと思ったが、次の言葉で解決した。

「依頼の報酬はアヤトの作る料理でいいからな。あと、赤の国と魔の国は同盟を結んだからな」


 …もうなにか、おなか一杯だよ。

 まず、俺は一日しか寝ていなかったのに、どういういきさつがあって、同盟にまで発展するんだ? そして、同盟国同士で依頼したり、されたりするのはいいのだが、依頼の報酬に俺を使うことはやめてほしい。そんでもって、俺が起きた後、料理作るのは確定なのか。

 

 …なんかまだ嫌なことが起きそうな気がする。狸寝入りでもしているか。

 そんな訳で俺はきちんと目を覚ましたにも関わらず、俺はばれないようにまた眠る。


「「「アヤト((さん))…」」」

「(…)」


 イブ、クリム王女、リーフさんは俺のことを本気で心配しているらしく、全身にひどい怪我をしていたにも関わらず、俺を介抱してくれている。一方、白竜皇や黒竜帝は俺の気持ちを察してくれているのか、俺が本当は目を覚ましていることを黙っている。ありがとう。

 だが、そんなささやかな眠りは小さな少女によって消されてしまう。


「あれ?お兄ちゃん!なんで寝たふりなんかしてるの?一緒にご飯食べよう?」

「「「!?」」」


 あ!ヒュドラ!なんで空気読んでくれないの!そんな自称妹なんか知らないからな!

 ぐぅ~。

 そんななか、俺のお腹は空腹に耐えきれなかったのか、イブ達がいる目の前で大きくお腹が鳴ってしまう。俺のお腹も空気を読んでくれなかった。


「「「アヤト((さん))?」」」


 やばい!!もしかしてこいつ起きているのでは?的な目線を俺に送る。この状況を乗り越えるためには、これしかない!


「ぐ、ぐぅ~」


 そう!寝言にしてしまえばいい!そうすればきっと、


「ね、寝言ですか~」

「てっきりすでに起きていて腹を空かせているのかと思いました」

「びっくりした」


 ふ。どうやら俺はリーフさん、クリム王女、イブ達を見事騙せたようだ。俺の狸寝入りもなかなかのものだ。今後ともこれを使っていこう。

 みんな席を立ち、俺の元から離れようとしている。

 良かった。これで俺の安眠が…。

 シュッ。

 不意に、俺に向かって攻撃されそうな気がし、俺は慌ててベッドから起き、その攻撃をかわす。そして、俺がいた場所に弾丸が貫いたような跡が残っていた。


「おい!危ないだろ!気を付けろ…」


 俺が怒っているというのに、三人は俺より怒っている感じだった。

 どういうことだ?なんで攻撃をされた俺より攻撃したイブ達が…。

 ここで、俺がしていたことを思い出す。

 …もしかして、俺の狸寝入りがばれたのか?

 そう思った瞬間、俺の体から冷や汗が流れる。

 そして、


「そんな狸寝入りでごまかせると?」

「アヤトさん?どういうことです?」

「…アヤト、ほんと?」


 この言葉で確信へと変わった。

 やべ。逃げないと。

 だが、体力が十分に回復していない今の俺では、三人から逃げることができず、すぐに捕まってしまう。

「さぁ、何故狸寝入り(こんなこと)をしていたのですか?」

「アヤトさん?ちゃんとした理由、話してくれますよね?」

「…アヤト、覚悟する」

「いーーやーー!」


 これでやっと、海原彩人に日常?が訪れるだろう。


次の話は魔王一家が登場すると思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ