6-1-7(第455話) 魔の国に到着
神色剣のことについて色々試行してみたものの、ほとんど成果がなかった日から数日経過。
(あれから結局、神色剣について何も分からなかったな)
分かったことといえば、この神色剣に何かしらの【付与】が施されていて、この神色剣に関する伝承・・・いや、噂か。そういう話が広まっていること。
(この神色剣に関する噂が世界各所に広まっていたのに、どうして赤の国のあの店に会ったんだ?)
これほど凄い剣なら、どこかの国が保有していてもおかしくないのに、どうしてあの店でこの剣を売っていたのだろうか。
(まさか、この剣が神色剣じゃない、とかか?)
だが、クロミルやレンカは先日、この剣を神色剣と認識していた。となれば、この剣が神色剣じゃない可能性はないだろう。
(となると、俺が入ったあの店が、実は物凄く権力や金を持っていて、それらを駆使して神色剣を入荷したのか?それとも、周囲の国は、この剣の価値を見抜けないほど間抜けなのか?)
・・・俺が入ったあの店が優秀だった、ということにしておくか。
(これ以上、この神色剣について考えていても先に進まなそうだな)
別の事に思考を割くとしよう。
(そういえば、リーフ達と一度も会っていないな)
もしかして、リーフ達は俺達より早くこの道を歩いているのか?だとしたら、今はどの辺にいるのだろうか?
(もしかして、もう魔の国に着いていて、戦闘訓練しているのか?)
・・・いや、まさかな。だとしたら、この通りをかなりの速度で走り抜けないと出来ないんじゃないか?
(もしかして、【色気】を使って移動しているのか?)
確かに【色気】を使えば驚異的な速度で移動出来るので、俺達と会わないのも納得だ。だが、
(あの三人が一日中、【色気】を使い続ける事が出来るのか?)
俺だって一日中【色気】を使い続ける事が出来るのかどうか不明だし。それに俺の記憶だと、あの三人が【色気】を使い始めたのは最近だ。最近使えるようになった魔法を一日中使うなんて無茶、するのだろうか?
(・・・リーフ達はきっと、この道中も訓練をしていたのだろう)
その訓練の一環として、【色気】を一日中発動させ続けた。そういうことかもしれないな。だとしたら追いつけないのも納得だ。
(俺もリーフ達を見習い、【色気】を使って移動するか?)
いや、辞めておこう。俺だけならまだしも、ルリ達にかなりの負担がかかるからな。
それじゃあ引き続き、【色気】を使用しながら魔力制御の特訓をしようか。
(この特訓方法なら、より魔力制御の技術に磨きがかかっている・・・と思う)
あくまで個人の感覚なので、断定は出来ない。俺の個人的な見解に過ぎないのだから。
そして再び俺は、先日までと同じような特訓方法で己を鍛え続けた。
その数日後、
「・・・ご主人様、そろそろ見えてきます」
「そうか」
今の俺達の目的地である、魔の国に到着する。
(結局、ここまで一度も見なかったけど、リーフ達はこの国にいるのだろうか?)
【魔力感知】でリーフ達の魔力を探してみるか。幸い、長い間リーフ達と一緒にいたから、リーフ達の魔力はなんとなく分かる。
(さっそく発動しよう。【魔力感知】)
・・・発動してみた結果、リーフ達はこの国にいる事が分かった。
(この場所、間違いじゃなければ魔王城じゃないか?)
「・・・どうやらリーフ様達は、あの城にいるようです」
クロミルは、俺が【魔力感知】で感知した場所と一致していた。
「なら、早速行ってみるか」
「うん!」
「承知しました」
「ルリさん達、無事だといいですね」
「分からないですよ~もしかしたらイブ殿の父君に、なんていう場合も・・・、」
「レンカさん!?」
レンカとモミジのくだらないやりとりを聞きつつ、俺達は、イブの家族のいる場所、魔王城へ向かう。
次回予告
『6-1-8(第456話) 再会の突撃』
魔王城の厳重な警備の中、彩人達は楽々と入城し、リーフ達と再開する。
その後、彩人はある誘いを受ける。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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