5-2-61(第448話) 白の国に残ったジャルベとシーナリ
「・・・で、本当にここに残っていて良かったのかね?」
グードは彩人達を見送った後、シーナリに話を振る。
「・・・今の私にはやるべきことがあります」
シーナリは小さな子供達を自身に引き寄せる。
「この子達の将来を守るため、良い方向に導く必要があります。なので少なくとも、この子達が成人するまで、私はここを離れるわけにはいきません」
「そうかね?別に私はアヤト殿のところに行っても構わなかったのだが?気になっていたのだろう?一人の男として」
「!!??そ、そんなことは・・・!!??」
シーナリはグードの言葉を聞き、顔を真っ赤にする。
「わ、私は・・・!?」
「分かっている。君にはまだやるべきことがあって、そのために残ると決めたのなら構わない。だが・・・、」
グードはシーナリに近づく、肩に手を置く。
「それで後悔はしないでほしい。シーナリ、君の人生は、君が決めていいのだから」
「グード教皇・・・、」
シーナリは考える。
ここに居続ける事が最善なのか。
自分は本当に、彩人のところに行きたいのか。
そして、
(それは、目の前のこの子達を見捨ててまで、私はアヤトさんのところに行きたいの?)
自問自答した結果、
「・・・やはり私は、この子達のことを放っておいてまで、アヤトさんのところに行きたいとは思いません」
「そうか」
「ですが、このままここに居続ける気もありません。いずれ、いずれは・・・、」
シーナリは将来の事を考えて、さらに顔を赤くする。
「・・・そうか」
グードは、彩人の背中を笑顔で見送った。
(アヤトさん、私はいずれ・・・、)
シーナリは彩人に対する想いを胸に秘め、
「さぁみなさん、今日も頑張りますよ!」
今日も、自身が住んでいるゴーストタウンのために頑張る。
また彩人に来てもらうために。
「ヴァーナ、随分クロミルの姉御と仲が良かったが、ついて行かなくてよかったのか?」
「いえ。私はここで親分を支えていくと誓っていますので」
ジャルベはヴァーナに話を振る。
「・・・親分こそ、もっと大親分を引き留めなくてよかったのですか?」
「・・・何が言いたい?」
「親分、大親分のことを本気で・・・、」
「それ以上は言うな。俺だって、」
「なら・・・!」
「俺はこいつらを見捨ててまで、大親分のところに行こうだなんて思わない」
「それだと、親分の幸せが・・・、」
「俺はもう、俺自身の幸せなんてどうでもいい。この命、俺は全てこいつらのために使う」
そう言いながらジャルベは、子供達を見る。
「まさか親分、この子達のために生涯をささげるおつもりですか?」
「ああ。これが俺なりに考えた結果だ」
「なら、いい方法があるわよ」
ジャルベとヴァーナの会話に、ピクナミが割り込む。
「・・・なんだ?」
「大親分が創った国に、全員引っ越せばいいのよ」
「・・・大親分、建国するなんていつ言ったの?」
ピクナミの案に、スララカがツッコミを入れる。
「言っていなくても、いずれ大親分は建国する、それほどの器を備わっていると、私は思うわ」
ピクナミの考えに、
「・・・確かに、そうかもしれないわね。大親分、何か色々知っていたし、もしかしたら・・・、」
「・・・」
ジャルベは、ピクナミの案、スララカの言葉を聞き、
(もし本当に、大親分が建国したら俺は・・・、)
「?親分、どうかなされたのですか?」
「なに、ちょっと考えただけさ」
ジャルベは改めて、見えなくなった彩人の背中を見る。
「大親分が創る国って、一体どんな国なんだろうってさ」
ジャルベはゴーストタウンに目を向け、彩人の背中から視界を完全に外して歩いていく。
互いの道を歩もうと、進みを再開したのであった。
次回予告
『6-1-1(第449話) クリム、イブ、リーフの旅と特訓』
彩人達よりも先に魔の国に向かったクリム、イブ、リーフの3人は、魔の国に到着し、イブの両親である魔王夫妻と出会う。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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