1-2-17(第43話) 赤の国と青の国の戦争 ~東編その2~
まだまだ続きます。
少女はすぐに変身し、踏みつけようとする。だが、一つ目巨人が拳を握り、変身した少女を殴る。
変身した少女が飛ばされた。
少女は困惑していた。まるで珍生物が目の前に現れたかのように驚いていた。
(なんで!?まさか、あいつの方が強いっていうの!?)
それもそうだ。少女はあまりにも強すぎたため、祠で眠っていたのだ。強さに関しては、自他ともに認めている。だが、その強さは黒い一つ目巨人に一切通用しなかったのだ。
(どうする!?何をすれば勝てるの!?)
いつの間にか変身が解かれた少女は勝つための方法を必死に探す。だが、探している最中でも、相手は一切容赦してくれない。
(まさかもう攻撃するの!?)
最早、少女には一人で生き残れる可能性はない。少女はそう悟ったとき、頬に涙が流れていた。
「そうか、これが絶望するってことなんだね」
少女は目を閉じる。こんな現実を拒絶するかのように。黒い一つ目巨人が拳を振り上げる。
「でも、わがまま聞いてくれるなら、もう一回だけ会いたかったなぁ。夢の中でちゃんと会えるかな?」
その少女は実にメルヘンチックな願い事をする。だが、その願い事はもうしばらくあとになるだろう。
がきぃぃぃぃぃぃぃんんんん!!!!
突如、金属同士がぶつかり合うような音が荒野に響き渡る。
「え!?」
少女はすぐに目を開ける。その目には、さっきまで会いたいと思っていた男が映っていたのだから。
「ちっ!こいつ、どんだけ力あるんだよ!おい!ぼさっとしてないで早く…」
その言葉が最後まで言い終えることはなかった。今まで一つ目巨人の攻撃を防いでいたなにかが破壊され、男と少女は吹っ飛ばされる。
だが、少女の目には絶望が無かった。
「お、お兄ちゃん!」
「ようヒュドラ。待たせたな」
一番会いたいと思っていた人に会えたのだから。
彩人がまたも来ました。
戦いはまだまだです。