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色を司りし者  作者: 彩 豊
第ニ章 鉛白な国の中にある魔道具と漆黒の意志
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5-2-37(第424話) 突然の司祭の来訪

 翌日。

「・・・なんか、よく寝たな」

 久々に半日以上寝た気がする。休日に惰眠を貪った気分だ。

「誰が来ても、惰眠を貪るとするか」

 否、これは惰眠ではない。体を休めるのに必要な睡眠。そう、俺は今、静養しているのだ!だから例え、誰かがこの部屋に来て、俺を起こしに来たとしても、眠り続けるとしよう。決して、起きるのが面倒くさくて寝る、なんてことではない!断じて違うからな!!

 ・・・俺は一体誰に言い訳をしているのだろうか。

(まぁ、本音を言うならば、面倒くさいのは確かだ)

 リーフの話によると、司祭達と話をしなくてはならないとか。もうね、嫌な予感しかしないわけですよ。

「はぁ、知らない人と話するの、嫌だなぁ」

「ですが、きちんと話し合いに顔を出さないと駄目ですよ。アルジンは私同様当事者なのですから」

「だよな~。こういう時はやっぱ惰眠もとい、静養のため欠席しますと・・・、」

「・・・」

 あれ?今、会話が成立していなかったか?俺は恐る恐る、声が聞こえた方角を見る。そこには、呆れ顔のレンカがいた。

「げ!?れ、レンカ!!??どうしてここに!!??」

「・・・人の顔を見るなり、げ、なんて言っては駄目ですよ。印象を悪くしてしまいます。後私は監視のためにいます」

「監視?何のために?」

 出来れば監視なんて物騒な言葉を言わないでほしい。まるで俺が悪いことをして捕まっている囚人みたいじゃないか。

「アルジンがいつ目覚めるか分からないので、不眠不休で活動出来る私が、アルジンの近くで看病していたわけです。が・・・、」

 今度は、レンカが呆れ顔になった。

「その必要はなかったようですね・・・、」

(やっべ。狸寝入りのこと、根に持っているな)

 どうしよう。何か言い訳を考えないと・・・。

(こういう時に限って、何も思いつかん)

 ここは作戦変更だ。褒めて褒めて褒めまくって、誤魔化すとしよう。うん、そうしよう!

「レンカ、お前凄いな。不眠不休で活動出来るなんて、俺、そんなこと出来ないよ。流石はレンカだ」

「・・・まさか、私を褒めちぎって誤魔化そうと思っているのですか?」

「う!?そ、そんなわけない、じゃないか」

「・・・アルジン、こういう時に嘘なんてつかないでください。バレバレですよ?」

「・・・すいません」

 この後、俺はレンカから小言と説教を言われ、リーフが戻って切れ、小言を言われてしまった。俺は先日まで重傷者だったと思うんだけどな。まぁ小言くらいは受け入れると思う。

「それでアヤト、そんな姑息なことを考えられるくらいの余裕があるなら、明日にでも話し合いの予定を入れても大丈夫ですよね?」

「まだもう少し寝ていたい・・・あ、いえ、明日で大丈夫です。頑張ります」

 リーフの威圧に負けてしまい、思わずうなずいてしまった。まぁ、いずれは話し合わないといけないわけだし、しょうがないか。そう考えるしか・・・、

(?)

 何か、遠くから足音が聞こえてこないか?この足音、もしかしてだけど、この部屋に近づいてきていないか?

「・・・アヤト、レンカちゃん、警戒して。私達じゃない誰かが、来る」

 リーフ、かなり警戒しているな。レンカの方も同じくらい警戒している。俺の方も何かした方がいいのだろうか。

「貴様、ここにいたのか!!」

 入室してきたのは、太りに太ったおっさんだった。両指には金色ピカピカの指輪をはめていた。

(・・・誰?)

 俺の事を貴様、とか言うから俺の知り合いかと思ったのだが、俺、こんなおっさんなんて知らないぞ?もしかしたら、相手が一方的に知っているだけかもしれないな。

「・・・この人、リーフの知り合い?それとも、レンカの知り合い?」

 自身だけで考えてもまったく身に覚えがないので、俺は二人に聞く。

「私は知らないです。なので、リーフ殿の知り合いかと」

「先ほど言った司祭の方、デーブン司祭です」

「はぁ」

 やっぱり知らん。

「貴様が我がブラグ教皇を傷つけた屑男か!!??」

「いえ、違います」

 俺は何もしていません。したとすれば・・・モミジかレンカか?そこのところはまだ詳細に聞いていなかったな。後でレンカに聞くとしよう。

「違うだと!?嘘を言うな!!??貴様のような屑男がやったのだろう!!!???」

「だから違うって、」

 この人、どうしてこんなに怒っているの?血管ブチ切れて脳内出血で死ぬぞ?

「うるさい!わびとして死ね!全財産私によこしてから死ね!!」

 ・・・まさかこいつ、俺の金が目的か?俺を殺して、俺の金を根こそぎ奪おう。そんな考えを持っているのか?

(だとしたら馬鹿過ぎないか?)

 仮に今俺がここで死んだとしても、顔も名前も知らない奴に財産を残すわけないのに。まぁ、ボランティア団体に寄付するという変人なら話は別かもしれないが、俺はそんな変人ではない。自分のお金は自分で使う。そんな常人なのだ!・・・こんな考えを持っているから、俺は日本の社会に馴染めなかったんだろうな。

「デーブン司祭、このような話はまた日を改めてと何度も・・・、」

「うるさい!死ねーー!!」

 デーブン司祭と呼ばれた男は、どこからか杖を取り出し、何か呪文を唱えていると思ったら、火の球が俺に向けて飛んできた・・・て!?

(呑気に見ている場合じゃねぇよ!?)

 俺は自身の呑気さに突っ込みつつ、【魔力障壁】を展開する。火の球は【魔力障壁】にぶつかり、霧散してしまった。

(あの火の球、弱かったな)

 クロミルの拳の方が何倍、何十倍も強かったぞ。あの程度の威力だったら何発でも耐えられそうだ。

「くそがーーー!!!」

 今度はどこからか、剣を抜いて俺に襲いかかってきた。俺、完治したとはいえ、病み上がりなんだぞ?急に激しい運動なんて・・・。

「!?」

 瞬間、デーブン司祭が膝から崩れ落ちた。崩れゆくさまは、今まで繋がっていた糸が切られたマリオネットのようだ。

「大切な人が傷つけられそうな時、私が何もせず、ただ見過ごすと思いましたか?」

 どうやらリーフのおかげで助かったらしい。

(凄いな)

 もはや職人芸だな。見ていて惚れ惚れしてしまいそうだ。

「まったく。このような暴挙がないよう、再三注意しましたのに・・・、」

 リーフは少し大きめのため息をつく。

「明日の話し合い、少し荒れるかもしれませんね」

「・・・ちなみに、こんな人が数多くいるのか?」

「いない、と思いたいです」

「そうか。分かった。いざとなれば、奥の手を使うよ」

「奥の手、ですか?」

「ああ、奥の手だ」

 正直、使いたくないのだが、使う時は躊躇わないつもりだ。

「・・・ちなみに、奥の手がどういうものか聞いても?」

「聞かない方がいいと思うぞ?」

 奥の手というのは、簡単に言うと脅迫・・・間違えた。圧だ。

 ほら。食材に圧力を加えると柔らかくなるだろう?それと同じ要領で、人に圧力をかけたら、固い人間も柔らかい人間になること間違いなしだ!・・・そんなわけないと思うが、圧をかけることは本気だ。もうね、俺にはこれくらいしかないから。俺にもっと話術があれば、別の道があればよかったんだがな。

「そう、ですか。であれば、アヤトに奥の手を使わせないよう頑張らせてもらいますね」

 その後、それなりに小言を言われた後、リーフは退室した。

(・・・まぁ、気持ちは分かるんだけどな)

 良薬は口に苦いというが、小言も良薬に入るのだろうか。

「それにしてもアルジン、狸寝入りはよくないですよ。そもそもアルジンは・・・、」

 まさか、レンカからも小言を言われてしまうとは。小言がうるさいのでまた狸寝入りしようかとも考えたが、レンカは俺のことを想って色々言ってくれていると思うので、甘んじて受け入れるとしよう。

(そういえばクロミル達は大丈夫なのだろうか?)

 最初に起きた時、全員無事だという話はリーフから聞いていたが、今何をしているのかさっぱり知らん。出来れば変なことをしていないといいのだが・・・。

次回予告

『5-2-38(第425話) 聖域へ』

 日にちをまたぎ、レンカがある場所に彩人を案内する。レンカが案内する場所は、聖域という場所で、ある効果が施されていた。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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