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色を司りし者  作者: 彩 豊
第ニ章 鉛白な国の中にある魔道具と漆黒の意志
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5-2-36(第423話) リーフから聞いた言葉、カラトムーガ

 ブラグ教皇との戦いから数日が経過した。

 俺の方の怪我はほとんど治った。

ルリの方は完治していた。完治後なのだが、みんなに謝罪をしていたのだとか。

(ルリのせいじゃないから、別に謝る必要なんてないと思うのだが・・・)

 元凶はブラグ教皇だからな。ブラグ教皇が、俺を含めた全員に謝罪をするべきだと思う。

 そしてクロミルだが、ちょっと危なかったらしい。一時期、生死をさまよっていたとかなんとか。そこで、この町で売っている回復をふんだんに使い、生死の境目から脱却したとのこと。今ではほとんど問題ないらしいのだが、念のため、安静にしているのだとか。

(つまり、クロミルが最も重症だった、ということか)

 ブラグ教皇の不意打ちを受けた後、俺達と戦ったのだ。むしろ、よく死なないでくれたな、と褒めてやりたい。

「・・・ひとまずはこれくらいです」

「・・・そうか。リーフ、わざわざありがとうな」

「これくらいなんでもないですよ。それに、これから決めることがかなりありますからね」

「・・・デベロッパー作の魔道具と、ブラグ教皇の処遇か?」

「それだけではありません」

「え?それだけじゃないのか?」

 俺的には、主にその二つだと思っていたのだが違うのか?

「司祭達が当事者のあなたと話をしたいと言ってきましてね。私達の方でなんとか話し合いを延ばしたのですが・・・、」

「なるほど」

 いきなり教皇が町の外に行き、意識を失って町に戻ったのだ。どういうことかと聞きたくもなるか。

「分かった。レンカ、モミジなら詳しい事情を知っているだろうし、その二人に話してもらった方がいいんじゃないか?」

 俺がルリ、クロミルと戦っている間に、何か新しい情報を得ているかもしれないし。

「そういえば、あのブラグ教皇という人は、気になることを言っていたんですよ」

「気になること?」

 一体何が気になるのだろうか?は!?まさか俺の息子の・・・そんなわけないな。

「て、アヤトは今安静にしていなくてはなりません!ほら、早く寝てください!」

「いや、話を途中で切られ手も困るから!気になって眠れないから!」

「・・・仕方がありませんね。でもちゃんと、体を横にして聞いてくださいね?」

「ああ」

 俺は体を横にする。そういえばここはどこだ?なんか学校の保健室みたいな場所だな。まさか、先生とかいないよな?いたら反射的になぐ・・・らないな。俺、そこまで乱暴者じゃないからな。

「これは私だけでなく、モミジちゃん、レンカちゃんも聞いたことなのですが・・・、」

 ごくり。おっと。おもわず生唾をのんでしまった。まさかこのまま、怖い話にもっていくとかしないよな?ここで怪談とか笑えないぞ。

「カラトムーガ、という言葉に心当たりありますか?」

「カラトムーガ?何それ?食べ物?」

 もしかして美味しい料理か何かか?

「それが分からないのです。戦っている最中、あのブラグ教皇が様付きで呼んでいたので、アヤトは何か知っていると思っていたのですが・・・、」

「いや、俺は何も・・・お?」

 カラトムーガ。カラト、ムーガ・・・。

(もしかして・・・?)

 黄の国でそんな話を聞いたな。確か・・・ザッパが言っていた気がする。昔の文献に出てきた神聖な・・・神聖!?

(まさか・・・!?)

「これはあくまで私の推測なのですが、教皇という立場でありながら様という呼称をつけて呼ぶ。ということは、カラトムーガという者は、教皇より上の立場の者、ではないでしょうか?」

「例えば神、とかか?」

「!?まさか、カラトムーガが誰なのかご存知なのですか!?」

「いや、まったく知らん。知らんが、黄の国でこんな話を聞いたんだ」

 俺は、黄の国でザッハから聞いた話をリーフに話す。

 ザッハの父親はザーガの趣味が古い文献を漁る事。

 古い文献から、カラト、ムーア、ムーガという単語を探し当て、それらの単語が神聖なものである事。

 そして、その単語の中に、神色剣が含まれていた事。

なお、それらの単語がザッハ達の名前に使用されていることは内緒にしておいた。あの話は、俺とザッハだけに留めておこう。

「・・・なるほど」

 俺の話を聞いたリーフは真剣な顔で何か思考している。

「教皇より立場が上且つ神聖で、神色剣と何か関連がある・・・。もしかしたら、そのカラトムーガ、という言葉は神様の名を表しているのかもしれません」

「・・・そうなの?」

 神、ねぇ。地球ではどんな神がいただろうか?俺、神話関連の知識がほとんどないからしらねぇや。俺ってかなり知識が偏っているな。今度、神話について勉強し直し方がよさそうだな。

「もしかしたら、神じゃなくて天使、という可能性もあるんじゃないか?」

 俺の質問に、リーフは首を横に振る。

「いえ。天使より神様の方が、可能性は高いかと」

「どうしてだ?」

「確かに、天使なら教皇より上の立場かもしれませんが、神色剣とは何も関連がありません。ですから、神様の名前、もしくは神様に関連する単語だと思います」

「そうか」

 確か神色剣って、神の色の剣とかなんとか言っていたよな。だからか。

「ちなみに、レンカやモミジには同じ問いをしたのか?」

「してみましたが、なにも知らない、とのことでした。ですが、アヤトがさきほどくれた情報を踏まえてもう一度話せば、何も思い出すかもしません」

「そうだな」

 もしかしたら、今まで忘れていたことを思い出すかもしれないしな。再度話してもらうか。

「それと、司祭達との話だが、俺が完全に回復してからでいいか?」

「それはもちろんです。それと・・・覚悟、しておいてください」

「?何の覚悟なんだ?」

 まさか、俺がボッチだから、人と話す事は命懸けであると、そう言っているのか!?だから覚悟が必要であると。

(なるほどなそう言う事なら納得だ)

「・・・何を考えているのか分かりませんが、多分違いますよ?」

「え?」

「覚悟というのは、司祭から発せられる非難の数々です」

「非難?どういう・・・ああ。俺達がブラグ教皇をぶっ倒したからか」

「それもありますが、町の一部、それも教会の一部を壊してしまったわけですから」

「え?ああ・・・、」

 そういえば壊したかもしれないな。誰かは分からないが。

「それじゃあ、あまり長居するといけませんが、今日はここまでにしますね。また明日、様子を見に来ますね」

「ああ。また明日な」

 リーフは一礼し、退室していった。

「カラトムーガ、ねぇ・・・、」

 そういえば、色教は色神を信仰している宗教、だったよな?もし、ブラグ教皇が色神を信仰しているのであれば、カラトムーガは色神ということになる。もしくは、ブラグ教皇は色教の教皇でありながら、別の神を信仰していたことになる。

(これって不味いんじゃないのか?)

 そんなことを考えながら、俺は再び眠ることにした。

次回予告

『5-2-37(第424話) 突然の司祭の来訪』

 彩人が静養していると、突如何者かが、彩人がいる部屋に来訪する。その来訪者は、彩人に敵意を向けていた。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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