5-2-34(第421話) ブラグ教皇との戦い~VSクロミル&ルリその5~
「あれが本当に、ルリの姉御なのですか・・・!?」
ジャルベは改めて魔獣化したルリを見る。その顔には、驚くの感情しか露呈していない。
「ええ。前にも見ましたが、前よりかなり小さいですよね?」
「…ん。だけど、魔力量や強さは桁違い。一人で相手なんて出来ない」
ジャルベの独り言に、クリムとイブは返答する。
「クリムの姉御とイブの姉御は見ていてください。今は、この俺達がなんとかします」
「無茶よ!どんな人も、今のルリちゃん相手に善戦なんて出来るわけないわ!」
ジャルベの言葉に、クリムは反論するが、イブはジャルベの言葉に違和感があった。
「…俺達ってどういうこと?今あなたは一人でしょう?」
「・・・本当は、俺だけ来るつもりだったんだ。だけど、みんな、大親分を助けたいと自ら名乗り出てくれたんだ」
その時、イブ達の後方から何かの音が発せられる。その音は次第に近くなり始める。
「ぐおおおぉぉぉ!!」
ルリは、後方に向けて氷のブレスを放つ。氷のブレスが地面に直撃する直前、何かが地面から上空に飛び出す。
「みんな、今よ!」
瞬間、何者かがルリに向けて飛び出していく。
「「「ルリの姉御!!!」」」
そして、ルリに攻撃を加え、後退させた。
「俺、ルリの姉御のために、頑張る!」
「クリムの姉御、大丈夫ですか!?」
ルリに攻撃を加えたのは、ドーカリ―、ゴダムをはじめとした、様々なキメルム達だった。
「あなた達、どうして・・・!?」
「私がみんなを連れてきたのよ」
そう言ってきたのは、馬車の形をしたスララカだった。スララカは、自身を馬車から人型へと変形させる。
「流石に、親分やヴァーナちゃんより遅くなったけど、多くの家族を連れてきたわ」
「いくわよ、みんな!まずは私で、ルリの姉御の足を緑魔法で拘束するわよ!」
「「「はい!!!」」」
さらに、ピクナミの指示のもと、複数のキメルム達が緑魔法を発動させて、ルリの足に植物を絡ませていく。
「何かあったか分からないけど、ルリの姉御が大変で、助けるんでしょう?」
ピクナミはイブ、クリムに問いかける。
「私達がなんとかルリの姉御を止めておくから、早くなんとかして!あまり長くもたないわ!!」
ピクナミは二人にそう言った後、すぐに他のキメルム達に指示を送り始める。
「ドーカリ―!とにかくあなたは動き回って、ルリの姉御をかく乱して!ゴダムはその隙に腕で思いっきり殴り続けて、少しでもルリの姉御の体力を削って!」
「分かった!」
「やってやる!」
ドーカリ―は、自前の翼を広げ、ルリの周囲を動き始める。ゴダムは、ルリの足に向けて、大きな腕を使って殴り続ける。
「俺もいく!だから、後は任せるぞ!」
ジャルベは、他のキメルム達に遅れないよう、ルリの元へ向かい、攻撃を動きながら攻撃していく。
「みんな、行ってしまいましたね」
「…ん。まさかみんな来てくれるとは思わなかった。予想外」
クリムとイブの二人は、お互いの顔を見合わせながら立ち上がる。
「ここで期待に答えなくちゃ、漢がすたるってものですよ!」
「…一応言っておくけど、私達は女。決して、男じゃない」
「あら~?そんな胸でよく言えたものですね~♪」
「…人のこと、言える?」
「・・・言えませんでしたね。この言い争いは無駄そうなので辞めません?」
「…ん。それより、さっきの魔法、もう一度出来る?」
「さっきの?・・・ええ、出来ますよ」
「…ならこっちも、全力の一撃をくらわすのみ」
クリム、イブはそれぞれ魔力を集中させ、目に赤、黒を集約させる。
「【赤色気】」
「【黒色気】」
そして、それぞれの【色気】を発動させる。
クリムは拳を握りしめ、赤く染めていく。
イブは杖を握りしめ、黒く染めていく。
「一人が駄目なら・・・、」
「…二人で。一斉に行く!」
「ええ!」
二人同時に、同じ速度でルリに急接近する。
「【炎拳・轟々】!」
「・・・!!」
クリムとイブの攻撃が、ルリに直撃する。
「!?」
ルリは吹っ飛ぶも、気絶はしなかったらしく、
「ぐおおおぉぉぉ!!」
大きく叫んでいる。
「・・・あれ、効いているように見えます?」
「…効いているとは思う。けど、最低十発以上打つ必要がありそう。余力、ある?」
「あると思います?さっきの、全力だったんですよ?」
「…私もそんな余力はない」
二人は再度、拳や杖に魔力を溜めようとする。が、魔力がないのか、魔力がほとんど集まらない。
「魔力池、余っている?」
「…ない。けど、【黒色気】ならなんとか」
イブは【黒色気】を再度発動させる。
「奇遇ですね。私もほとんど魔力は残っていないのですが、【赤色気】なら出来ます、よ!」
クリムもイブ同様、【赤色気】を発動させる。
「これでなんとかするしかない」
「…同意」
クリムは【赤色気】、イブは【黒色気】でそれぞれ攻撃を再開する。だが、ルリにはあまり効いていないようで、イブ達に攻撃を仕掛け続ける。
「氷のブレス、来るわよ!みんな避けて」
「俺達は今の内に接近するぞ!」
「おう!」
「おおおぉぉぉ!」
ルリが広範囲で攻撃して来るも、イブ達はその攻撃を躱す。
イブ達がルリに攻撃を仕掛けるも、ルリを気絶するに至らない。
互いに拮抗しているような状況に思えたのだが、
「みんな、大丈夫か!?」
彩人の登場と、
「みんな大丈夫!?加勢に来たわよ!」
「親分達、大丈夫ですか!?」
「状況はどうなっているの!?」
リーフ達の登場により、状況は大きく変化する。
次回予告
『5-2-35(第422話) ブラグ教皇との戦い~VSクロミル&ルリその6~』
ブラ部教皇を倒したにも関わらず、未だ元の状態に戻らないルリ。その状況を見た彩人は、イブ、クリム、リーフ、モミジ、レンカ、そして、助っ人としてきたキメルムのみんなと協力して、ルリを正気に戻そうと動き始める。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。




