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色を司りし者  作者: 彩 豊
第ニ章 鉛白な国の中にある魔道具と漆黒の意志
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5-2-32(第419話) ブラグ教皇との戦い~VSブラグ教皇その3~

「まさか、あなたみたいな小娘の相手をすることになるとは思いませんでしたよ」

「あなたこそ、私の大切な人達を傷つけて、ただで済むと思わないことですね」

 ブラグ教皇は、死者を蘇らせ、死者の軍団を作る。

「その杖の魔道具によって、この死者達が現れるそうですね」

「だとしたらなんなのです?まさか安直に、これを破壊しようと思っているのですか?」

 ブラグ教皇は、自身が持っている杖を掲げる。

「その対策は既に行使済みですが?」

 死者共の軍団は、ブラグ教皇の壁となって立ちはだかる。

「いえ、確認したかっただけです。それに、もう手は打ってくれていますので、私が引き継ぐだけです」

「?どういう意味です?」

「それは・・・、」

 リーフは、【緑色気】で強化した身体能力を使用し、死者共を一掃する。

「こういうことです」

 リーフの行動に、ブラグ教皇は一切動じない。

「・・・それがなんなのです?いくら殺したところで・・・、」

 ブラグ教皇は杖を掲げる。すると、死者共の軍団が再誕する。

「こうして蘇らせれば問題ありません。あなたの行動は全て無駄だったのですよ」

 リーフを嘲笑う。その笑いは、勝利を確信しているからこその笑いである。

「分かっていないのはあなたの方です」

 リーフは再度、死者共の軍勢を一掃する。

「あなたが蘇らせる度に、私は全員倒します。そしてあなたは、また死者の軍勢を呼ぶ」

「?あなたは一体何をしたいのです?」

 ブラグ教皇は、リーフの奇怪な行動に不気味さを覚えつつも、再び消えていった死者共を呼び出す。

「そちらこそ、まだ分からないのですか?」

 そしてまた、死者共の軍勢を一掃する。

「そういえば、その魔道具に内包している魔力量、少なくなっていませんか?」

「なに?」

 ブラグ教皇はここで、自身が持っている魔道具を見る。

「言われてみれば・・・まさか、お前・・・!?」

「さぁ?なんのことでしょう?」

 リーフはとぼけていたが、ブラグ教皇は確信していた。

(この女、何度も死者を蘇らせて、この魔道具の魔力を枯渇させるつもりか!?)

 リーフの狙いを理解したブラグ教皇はなおも笑い、死者の軍勢を呼び出す。

「そんなこと、出来るものならやってみなさい。この大量の死者を倒せるならね!」

 死者の数は、さきほどよりかなり多く、倍以上いた。

「何度でもやってやるわ。何度でも、何度でも!」

 リーフはまたも死者共の軍勢を一掃する。そして、ブラグ教皇は死者の軍勢を蘇らせる。

 そんなやりとりが何回、何十回も続く。

「おやおや?もう限界ですか?私の方はまだまだいけますが、そちらは大丈夫なのですか?」

 先に限界を迎えそうなのは、

「・・・まだ、分かりませんよ?弱っていると見せかけて、という作戦かもしれませんよ?」

(まさか、十回以上死者達を蘇らせるなんて・・・。モミジちゃん達が何回も倒していたから勝手に後数回だと思っていたのですが、とんだ見当違いでした)

 リーフだった。言葉ではブラグ教皇を煽っているものの、内心、自身の思い違いに後悔していた。

「ほう?その割には、魔力が不安定に見えるのですが、私の気のせいでしょうか?」

「・・・気のせいではないですか?」

 ブラグ教皇の指摘に、リーフはすぐに返信出来なかった。ブラグ教皇の指摘の言う通り、まだ完全に習得出来ているわけではない上に疲労している為、【緑色気】の魔力が不安定だからである。

(まだ倒れるわけには・・・!?)

 あまりの疲労と、魔力制御失敗による痛みがリーフを襲い、思わず膝をついてしまい、【緑色気】が解除されてしまう。

「やはり、ただの虚勢でしたか。ですが、これでようやく殺すことが出来ます」

 さきほどから見せている黒い笑みに、より黒が濃くなる。

「これで、カラトムーガ様もさぞお喜びになることでしょう」

「・・・その、カラトムーガ、とは何者なのですか?」

 リーフの問いかけに、ブラグ教皇は哀れみながら答える。

「まさかカラトムーガ様を知らないとは。やはり救済が必要ですね」

 ここでブラグ教皇は、今も五体満足なリーフに向けて手をかざし、魔力を溜めていく。

「死という救済がね!」

「!?」

 リーフに向けて、魔力の塊が放出される。咄嗟に受け身を取ろうとしたものの、まともにくらってしまい、ふっとんでしまう。その際、地面に強く叩きつけられてしまい、小さくない傷を体に負ってしまう。

「おや?まだ死には至っていないようですね。とどめをさして差し上げましょう」

 ブラグ教皇は、再び魔力を掌に集中させていく。

(あの魔力量、今の私では、まともにくらって生きていられるかどうか・・・、)

 リーフは己の命について心配する。

(それでもやらなきゃ!勝って、モミジちゃんのために。レンカちゃんのために。アヤトのために・・・!)

 周囲にいる大切な人達のために戦おうと、決意を固めて立ち上がる。その手には、魔銀製の細剣が握られていた。

(この剣で上手く切り刻めば、直撃しても大丈夫かも)

 リーフは僅かな可能性をひねり出し、剣を構える。

「絶対死なない。生きて、これからも・・・!」

 リーフは強くかみしめる。

「これで終わりです」

 ブラグ教皇から、魔力の塊が放出される。

(今この時だけ、力を貸して、アヤト!!)

 リーフは心の中で、アヤトの顔を思い描きながら、今も向かってくる魔力の塊の動きを読み始める。

「「【双雷】」」

「!?」

 突如、魔力の塊の真上から雷が落ちる。それと同時に、死者達の頭上にも雷が落ちる。

「今よ!」

「早く!」

 その言葉が誰の者かすぐに分かったリーフは、迷うことなくブラグ教皇へ突進する。

「終わりです」

「ちょ・・・!?」

 リーフは、ブラグ教皇の言葉を最後まで聞くことはなかった。リーフの細剣が、ブラグ教皇の体を何か所も貫いていった。貫通したからなのか、細剣の剣先には、血がネットリとついており、その血を払うように、剣を思いっきり振る。すると、剣先に付着していた血が払われ、魔銀特有の光沢が見られるようになった。

「・・・まさかあなた達までこの場に来ているとは思いませんでしたよ。ですが、今回ばかりはとても助かりました。ありがとうございました」

「・・・別に構わないわ。これで少しでも、リーフの姉御に恩を返すことが出来たのだから。ねぇ、サキュリ?」

「そうね、サキュラ」

 いきなり現れてリーフを助けたのは、先日までリーフと共にゴーストタウンにいたキメルム、サキュラとサキュリだった。

「それにしても、どうしてあなた達まで・・・、」

「細かい話は後にしない?それよりやばいのは・・・、」

「あっちでしょう?」

 サキュリはある方向を指差す。その方向は、彩人達がいる場所だった。

「あっちにはイブ、クリムが向かっていたはずです」

「それに、私達の親分も向かっているわ。なので大丈夫だと思いたいのだけど・・・、」

「何か嫌な予感がするわね。私達もすぐに向かった方がよさそうね、サキュラ」

「ええそうね、サキュリ。でも・・・、」

 サキュラとサキュリは、近くで倒れているブラグ教皇を見る。

「モミジちゃん、レンカちゃん。悪いけど、あれを見張っておいてくれないかな?」

「それなら、ちょうどいい魔道具がありますよ。確かモミジ殿のアイテムブレスレットに保存されていたかと」

「私のこのアイテムブレスレットに、ですか?」

「ええ。あの魔道具がちょうど役に立つと思いますよ?」

 レンカとモミジは二人で会話をし続ける中、周囲の人々は一体何の会話をしているのか分からず困惑する。

「・・・これ、ですよね?」

「ええ。ではこれに、私とモミジ殿が魔力を注入して・・・、」

「?」

 モミジとレンカがある魔道具に魔力を注入していく。

「・・・これで、十分な魔力が溜められましたね。後は、あの人の近くに置いて、と」

 レンカが、四角い魔道具をブラグ教皇の近くに置く。すると、少し時間が経過してから、魔道具に変化が起きる。魔道具からゆっくりと植物がのびはじめ、ある形を形成していく。その形はまるで、ブラグ教皇を閉じ込める牢獄のよう。

「これなら、この者もそう簡単にでられないはずです。みんなで、アルジンを助けましょう」

「「「・・・はい」」」

 みんな、レンカの行動に驚いたものの、今色々追求するより、この事態を収拾させる方が優先だと思い、何も言わずに行動し始める。

(・・・念のために、植物さん達にもお願いしておきましょう)

 モミジは誰にもばれないように、植物に魔力を譲渡して話しかける。

(あの人が動いたら、私に教えて?)

 植物達は、モミジのお願いに快く返事する。返事を確認したモミジは、みんなの後を追う。

(アヤトさん、どうかご無事で・・・!)

 そして、モミジ達は彩人達と合流する。

次回予告

『5-2-33(第420話) ブラグ教皇との戦い~VSクロミル&ルリその4~』

 リーフ達のところに、サキュラとサキュリが助っ人として現れた頃、彩人達の場にも助っ人が現れる。その助っ人達の協力の元、彩人達はクロミル、ルリと戦い続ける。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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