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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 赤青交わる戦争
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1-2-16(第42話) 赤の国と青の国の戦争 ~東編~

赤の国と青の国の戦争もいよいよ大詰めです。

赤の国の東側でも戦いが始まろうとしていた。

そこには、一人の少女がいる。少女は何をする訳でもなく、ただただ仁王立ちしていた。青の国の兵士と魔獣達が見えると、その少女は少しずつであるが怒りを露わにし始めていた。もちろんその対象は青の国の兵士達だ。


「やっときたか。遅ぇよこのうすのろ共が」


普段とはあまりにも違いすぎる喋り方である。もし近くに彩人がいたら、「お前誰だよ!?」と、つっこまれるのではないかと疑うほどである。


「これで、やっとお返しができる。ふふ、覚悟しろよ」


これでもか!っというほど待っていたのか、自然と笑みがこぼれていた。その笑みはどこか森の奥で薬を作る魔女を彷彿とさせる。ちなみにその薬は紫色だ。その内、笑い声が「キヒヒッ」とかにならなければいいが。

瞬間、少女の様子が激変する。少女だったものはだんだん大きくなり、首がいくつにも分かれる。その様子に、青の国の兵士達は驚き、戸惑っている。


「な!?なんなんだあいつは!?」

「まさかあのガキ、人じゃないのか!?」


 兵士達の目にはまだ死んでいない。それそのはず、青の軍には、冒険者最高ランク「白」の冒険者でも倒すのが難しいとされている魔獣が多くいる。その数は、東京の某スクランブル交差点を使う人数に匹敵する。普通の冒険者なら、この光景に全力で戦略的撤退をするだろう。だが、その少女だったものは怯えもしない。何故なら、


「こんな雑魚に興味はない。さっさと死ね」


そうつぶやき、魔獣を踏み潰していく。踏み潰された魔獣はその力に耐えきれず、全身の骨を粉々にされ、死んでいた。


「嘘だろ!?「アリサン」がこんな簡単にやられなんて!?白ランクの魔獣なんだぞ!?」


決して、この兵士がふざけているわけではない。


アリサン。それは自分の強力な酸を身に纏っている蟻で、その強力な酸とボディーで、ほとんどの魔法や物理攻撃によるダメージを減らし、その酸を飲むことで自分を回復できる。

まさに、攻撃・防御・回復を全部一匹でこなせる、非常に厄介な魔獣だ。

その魔獣の酸を気にせず普通に踏みつけ、なおかつ一踏みで殺したのだ。驚愕しない方がおかしいだろう。兵士達の中には既に絶望している者さえいた。その人達に気づいたのか、少女だったものは、


「安心しろ。貴様らにはきちんと絶望を与えてから、殺してやる」


 はっきりとした声で言った。

 そこから、少女だったものの蹂躪が始まった。一歩歩くだけで、何十もの魔獣が息絶え、どんなに攻撃しても、少女だったものの皮膚には傷一つつかず、平然と攻撃を続ける。時には足で踏み、口から猛毒のブレスを吐き、魔法で相手を凍り付けてから踏みつけ、さらに太い尻尾で相手を吹き飛ばす。そして次第に、あれほどいた魔獣はほとんど死に、残っていたのは、いつの間にか氷で作られた鎖で縛られた兵士達だけだった。また、少女だったものは少女に戻り、その凶悪な笑みを兵士達に向け、ゆっくりと歩いて近づいていく。


「あ、あれほどいた魔獣が全滅だと!?」

「あ、ありえねぇ…」

「助けて!ママー!」


マザコンも含めた青の兵士達は最初、勝利を確信していた。

それはそうだ、 今確認されている「白」ランク冒険者は赤の国にいないはずだ。そう、「黒の殲滅者」と「黒の妖艶」の二つ名を持っている二人組以外は既に確認していた。それなのに、ある一人?の少女によって魔獣が死んだのだから。

 ちなみに、その「黒の殲滅者」と「黒の妖艶」は、実は魔王夫妻が王になる前、冒険者だった時の二つ名だったりする。もし、このことを彩人が知ったら、彩人は魔王夫妻をからかうだろうが、それはまた別の話だ。

 

「やっとだ。これでようやく」


 少女は積年の恨みを晴らすかのようだった。


「き、貴様!青の国の兵士である私を拘束するなど無礼だぞ!今すぐ開放するなら見逃してやるぞ!」

「………」


 少女は国の関係や事情など知ったことではない。

 少女が戦う理由は至ってシンプルだ。

 復讐である。

 だから、殺す。

 ただ殺すだけじゃない。

 絶望をあじあわせてから殺す。

 それから、青の国の兵士達は地獄を味わった。何をされたかの詳細は省くが、兵士達の近くに様々な液体が飛び散っていることだけは言っておこう。


「やっと…、これで良かったんだよね…」


ぞわぁぁ!!

 その少女の背筋に氷のように冷たい感覚が走る。


「な!?これはどういう!?」


 瞬間、目の前に魔力が集まっていく。その魔力はやがて人の形を形成し、やがて、ある魔獣となる。


「黒い一つ目巨人(サイクロプス)か…」

まだまだ東編は続きます。

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