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色を司りし者  作者: 彩 豊
第ニ章 鉛白な国の中にある魔道具と漆黒の意志
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5-2-22(第409話) 作戦決行の合図となった色

(少し言い過ぎたかもしれない)

 シーナリとの話を終え、教会から出た後、俺は若干後悔していた。

(最後の一言で、俺が戦いを引き起こすと宣言しているようじゃないか)

 あのブラグ教皇と戦う気なんてない。ただ、ブラグ教皇の持っている魔道具が危険だから人知れず破壊したいだけだ。その破壊のせいで戦いに発展するかもしれないので忠告したつもりなのだが・・・。

(今からでも訂正するべきか?)

 だが、今訂正したところで、余計怪しむのではないだろうか?じゃあどうする?

(・・・放置、しかないか)

 人、これを思考放棄と言う。もう考えるのはやめよう。あいつの行動を制限なんて出来ないからな。

「だが、あいつと話せてよかったかもな」

 ブラグ教皇に怪しい面がある事を知ることが出来たし、あの女、シーナリが協力してくれることも分かった。

(まぁ、協力と言っても、何も出来ることはないんだけどな)

 避難、しただろうか。少なくとも、シーナリの近くにいたあの子供達・・・ナナ、だったか?あいつらに一切被害が出ないようにしないとな。

「被害が出ないように、ねぇ」

 自分で思っていて自覚する。

 俺はいつから、周囲の人々を心配するようになったのだろうか。

 前はいつも、自分のことで手一杯だったというのに。いや、今もそうだ。今も自分のことだけで手が足りず、仲間の力も借りている。とても周囲のことを気にしている場合じゃないというのにどうして・・・?

「・・・もしかして・・・?」

 この世界に来てから、俺は少しずつ変わってきているのだろうか。

 そういえば、ブラグ教皇が信仰している宗教を知るためとはいえ、俺が神に祈ったんだもんな。地球にいた時、三が日ですら神社に行ったことのない俺が、だ。

「変わった、のか・・・?」

 ふと、緑の国の出来事を思い出す。

 フォレード達に毒を食わせたあの出来事を。

「・・・うん、変わっていなかったわ」

 よく考えてみれば、シーナリにあのような警告をしたのも、単に邪魔されたくなかっただけかもしれない。そう考えると、俺って全然変わっていなかったな。

「さて、早くルリ達のところに戻るか」

 俺の心境の変化なんてどうでもいいこと考えるなんて時間の無駄だ。俺はルリ達の元へ足を歩ませていった。

「あ、いたいた」

 歩み始めてから数分。ルリ達の姿が見え始めた。

(ん?)

 みんな、何か食っているな。何かの果物っぽいが、どんな味なのだろうか。俺も食ってみたい。

「よぉ」

 俺はみんなに声をかける。すると、全員が俺の方を向いてくれた。

「あ、お兄ちゃん」

「ご主人様、ご用事は済みましたか?」

「アヤトさん、この食べ物、美味しいですよ。食べますか?」

「アルジン、それでどうでしたか?やりたいことは出来ましたか?」

 俺の声掛けに、各々返事してくれる。

「ああ。やりたいことは出来た。これでもう心残りはない」

 そして、クロミルとレンカの問いかけを返す。その後、俺もみんなと同じものを店から買い、口に運ぶ。

(うま)

 果物みたいな見た目だと思っていたが、食べてみてもやはり果物だな。見た目は林檎に近いが、味は林檎じゃないな。けど、どこかで食べたことがあるような・・・?

(あ。これ、梨だ)

 梨なんて食べた記憶があまりなかったから忘れていたわ。地球では梨なんていつ食べていたっけ・・・?確か夏に食べていた気がする。

「予定通り、やるぞ」

 俺は残りの梨を大きくかじり、今日の予定を宣言するぞ。もちろん、細かいことは言わない。この公共の場で、ブラグ教皇の魔道具を破壊するぞ、なんて言えるわけがない。

(さて、楽に壊させてくれると嬉しいのだが)

 何事もないようにするのが最善だが、相手が何も仕掛けてこないと嬉しいな。

 ま、例え何も仕掛けてなくても、警戒は常にするのだが。

(頑張ろう)

 この後、俺は作戦決行の時間まで、綿密に打ち合わせを行い、周囲が黒に染まり始める。

 その黒こそ、俺達の作戦決行の合図である。

次回予告

『5-2-23(第410話) 作戦に向けての移動開始』

 いよいよ、デベロッパー・ヌル作の魔道具を破壊する作戦を決行する時が来た。

 彩人達は作戦決行の為、魔道具がある場所に向けて動き始める。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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