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色を司りし者  作者: 彩 豊
第ニ章 鉛白な国の中にある魔道具と漆黒の意志
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5-2-18(第405話) 事前に知りたい事

 朝食を食べ終えた俺は、みんなと集合場所を決めてからみんなと離れ、ある場所に来ていた。

「ここだな」

 俺は、町の中心にそびえたつ建物、教会の前にいる。

 何故俺が教会の前にいるのかと言うと、この国がどんな宗教を崇拝しているのか気になったからである。

地球にいた時の俺は、神という存在に興味なんてなかった。理由は簡単。神なんていないと思っていたからだ。もし神がいたら、きっといじめられていた俺を助けてくれただろう。それなのに、俺は何日、何カ月、何年もいじめられ、ボッチだった。だから、この世界に救いなんてなく、神といういるかどうか分からない存在に縋るなんてバカバカしいと考え、そしてゲームに、娯楽にのめりこんだ。

(・・・なんか、嫌な記憶がよぎってしまったな)

 結局、昔も今も変わっていないのかもな。住む世界が変わっても、相変わらず俺はボッチだし。

(建物は、俺が地球でよくみかけていた教会みたいだな)

 日本の寺みたいな和風ではないな。もしかして、この世界には寺とか仏壇がないのか?あったところで何かするわけではないが。

(・・・お祈りくらいはしておくか)

 この世界に来られたことを感謝するか。異世界に来ても相変わらずボッチな俺だが、ルリやクロミル、モミジ、レンカのような、大切な存在が出来たからな、

 ・・・だいぶ話が逸れてしまった。

 俺はこの世界の宗教をまったく知らないので、少しでも知った方がいいと思い、こうして教会まで足を運んだのである。

(ここに扉があるから、ここから入っていくんだろうな)

 今も数多くの人が出たり入ったりしている。

(なんか、正月の参拝を思い出すな)

 テレビでしか見たことはないが、あんな感じに人が多い。こんなに参拝客が多いのは何故だろうか?毎日神に縋りたいほど生活に困っているのだろうか?

(どの世界も生き辛いものだな)

 ・・・ふと、地球での辛い出来事を思い出してしまった。出来るだけ思い出さないようにしよう。

 俺は参拝する為、人の行列に紛れ込み、順番を待つ。本当は参拝するまでの待ち時間で、色んな人に話しかけて情報を集めたいところだったが、出来なかった。

 え?どうしてかって?

 答えは簡単。

 俺が長年ボッチで、初対面の人と話すことが大変、大変苦手だからである。決して、出来ないわけではない。俺のちっぽけな意地のために言っておくが、決して、決して出来ないわけではないからな!・・・俺は一体誰に言い訳しているのだろうか・・・。

 だが、情報収集は欠かさず行っていた。

 別に、人と話すことでしか情報を得られるわけではない。人の話に耳を傾ける事でも、情報を得ることが出来るのである。

(・・・なるほどねぇ)

 おかげで、色々な情報を耳から得る事が出来た。

 まず、目の前に建っている教会は【(しき)(きょう)】という宗教を崇拝しているらしく、色神という神を信仰しているらしい。

(なるほどね・・・)

 クロミルやレンカから、必要最低限の情報しか聞いていなかったから、教皇が崇拝している宗教の名称なんて知らなかったわ。

 そして、色神が何の神なのかも又聞きだが聞いた。

 なんでも、色魔法を司る神らしい。その色魔法を司る神、色神は俺達に色魔法を広めていったのだとか。なので、この国の人達はその色神を崇拝しているのだとか。

 そんな話を聞き、俺は一言。

(ふ~ん)

 以上である。

 この世界に来てから俺はたくさん色魔法を使ってきたが、色魔法を司る神になんて興味はない。

 例えるなら、ゲームが好きだから、ゲームを作ったクリエイターに興味があるとは限らない。

 そんな認識である。

(だからといって、何も感謝しないのは違うかもしれないな)

 俺が全色魔法に適性があったことは、もしかしたら神が関わっているのかもしれない。まぁ、俺が今まで全色魔法に適性がある人物に巡り合っていないだけかもしれないが。

(それにしても、色神ってどんな容姿なのだろうか?)

 きっとこの列の最前線に、色神の彫刻があるだろう。そこで容姿を確認することが出来るが、出来るまで多少の時間があるので、今の内に想像してみるか。

(やはり白髪で、長い髭をたくわえた老人だろうか?)

 俺はある仙人を想像する。勝手なイメージだが、杖を片手に装備している仙人みたいな老人を想像していた。

 そして、俺の番となった。

(・・・俺の想像とまったく違ったわ~・・・)

 像はあった。おそらく、地球でもよくテレビで見ていた石膏の像だろう。その形は・・・、

(これ、どう見ても若者、だよな・・・)

 俺が思い描いていた仙人とは程遠く、どこの誰かまったく分からない若者だった。

(見たところ、ぜい肉があまりついていなさそうだな。筋肉の盛り上がりも見える。顔もイケメンだな~)

 架空の人物かもしれないが、見たところ、かなりいい肉体に見える。顔も申し分ないし、生きていた時はとても人気だったことだろう。・・・非常にリア充の香りがするな。もし周囲に人がいなければ、この像を破壊していただろう。リア充死すべし!慈悲はない!!

(・・・ん?)

 なんかこっちを見ている人がいるような気が・・・?俺の気のせいか?もしかして俺、自意識過剰か?

(・・・気のせい、か)

 一応周囲を見てみたが、誰も俺のことなんか見ていなかった。

(当たり前か)

 誰が好き好んでこんなボッチを見るのだろうか。そんなの、よほどの物好きか、脅されて仕方なく見ている人くらいだろう。・・・自分で思っておいてなんだが、悲しくなってきた。もう帰って寝て現実逃避したい・・・。

(て、いかんな)

 さっさとお祈りを済ませて戻るとするか。ひとまず、知りたいことを知ることが出来たし。

(あの教皇はこの宗教、色教を崇拝している、と)

 聞いたところ、色教はそこまで過激な宗教ではなさそうだ。

(それがどうして、あんな危険な魔道具を持っているのだろうか)

 いや、もしかしたら、あの教皇は、今自身が持っている魔道具が危険な物であると認識していない可能性があるな。そう考えると、教皇と話し合いをして、魔道具を俺に渡してもらうことも可能か?

(・・・いや、無理だな)

 初対面の男にいきなり、

“その魔道具は危険だから、こちらに引き渡してくれ”

 なんて言われて、素直に従うとは思えない。俺だったら絶対に反発するからな。やはり、無理矢理にでも破壊するしかないか。

(本当はしたくないな)

 人のモノを勝手に壊すことは当然悪いことだ。

 だから、俺がこれからする行いに対して、純粋に褒められたものではない。だが、誰かがやらないと、この国に、何十、何百、何千もの死人が簡単に出来てしまう。

(むやみやたらに死人をだすわけにはいかないからな・・・、)

 そんなことを考えながら、集合場所に足を向けようとすると、

「あ、あの!」

 誰かが声をかけてきた。

(誰だ?というよりどこからだ?)

 俺の耳が確かなら、たった今背を向けた教会の方から聞こえたような気が・・・?後ろを振り返ってみると、女がいた。

(・・・誰?)

 俺の知り合いなら、声をかけられたことに納得がいく。

 だが、目の前にいるこの女性に心当たりなんてない。俺が覚えていないだけか?それとも、本当に初対面の女性なのか?だとしたら、この町に来てから数日しか滞在していない俺に一体何の用が・・・?

「これから少し、よろしい、でしょうか?」

 女は申し訳なさそうに聞いてきた。

(まさかこの女・・・!?)

 俺達が密かに計画している作戦がどこからか漏れたのか!!??いや、そんなはずはない。そんなヘマをするわけ・・・、

(・・・いや、もしかしたら・・・、)

 俺がヘマをしでかした可能性が・・・。そうだとしたら、この女を暗殺する必要が・・・、

「あ、ああ」

 俺は、自身の動揺を隠すように小さく返事する。

「ありがとうございます。であれば、この教会の奥の部屋にどうぞ」

 そう言い、女は俺に背中を向けて歩き出す。

(こいつの目的は一体・・・?)

 俺は、目の前の女の目的を色々推測しながら、女の後ろをついて行った。

次回予告

『5-2-19(第406話) 教会に属している初対面の女』

 彩人は白の国でどんな宗教があるのか教会に行き、調べた。そして祈りを捧げた後に帰ろうとすると、彩人にとって初対面の女から話しかけられる。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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