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色を司りし者  作者: 彩 豊
第ニ章 鉛白な国の中にある魔道具と漆黒の意志
401/546

5-2-13(第400話) 樽の中から妹登場、そして同乗

ついに『色を司りし者』が400話に突入しました。

まだまだ話は続きますが、400話記念として、あとがきに短編をつけさせていただきます。

後書きも気楽に読んでみてください。

「それにしても、まさか樽の中にルリが隠れていたとはな・・・」

 なんで今の今まで気付かなかったのだろうか。相変わらず俺はどこか抜けているな。

「えへへー♪」

「・・・言っておくが、褒めていないからな?」

 まったく。だが、今更戻ってルリを置いていく気になれないし、このまま連れて行くか。

(・・・あれ?ここにルリがいるということは、あの街の守りが手薄ってことなんじゃ・・・?)

 ・・・結構やばくないか?

 キメルム、リーフ達の力を信じていないわけではないが、ルリがいないとやばそうだ。ならここは無理にでもルリをあの街に戻した方がよさそうだな。

「レンカ、いったん来た道を戻ってくれ。勝手についてきたルリを置いていくから」

 俺がそう言うと、

「えぇ~?やだ~。ルリも行く~。だから連れてって~」

 ルリが俺に抱きついてきた。こいつ、俺に甘えればうやむやに出来ると思っているのだろうか。

「駄目だ。ルリは万が一、キメルム達では太刀打ち出来ないような相手と戦ってもらうための切り札なんだ。だからルリがあの場を離れるわけにはいかないと考えているんだ」

 ルリなら大抵の相手に勝つことが出来るだろう。だから、あの街に置いていったのに。

 俺はそのことをルリに伝えると、

「それなら大丈夫だよ。あの街に蛇ちゃんを置いていったから」

「蛇ちゃん?」

 ルリが使役しているあの蛇か。

「うん。あの街に何かあったら蛇ちゃんが私に教えてくれるから、もしも何かあっても大丈夫だよ~♪逆に、ルリに何かあったら蛇ちゃんがリーフお姉ちゃん達に教えるようになっているから♪ね?だからいいでしょう?」

「う~ん・・・、」

 ルリの言う事が本当なら、ルリを連れて行っても問題ないだろう。

「・・・みんなはどう思う?」

 俺は自身独りで決めていいのか分からなかったので、みんなの意見を求める事にした。独りで決められない優柔不断な男と思わないで欲しい。

「いいんじゃないでしょうか?ルリさんがいれば心強いですし」

「私はご主人様の意見に従います」

「ルリ殿の言葉を信じるなら、連れて行っても問題ないかと思います」

 モミジ、レンカは賛成で、クロミルは俺の考えに賛同する、と。聞いた限り、反対意見はなさそうだ。

(あっちがピンチでもすぐにルリが知らせてくれるなら・・・問題ないか)

「分かった。ルリ、一緒に来てくれ」

「うん!」

 俺の言葉に、ルリは嬉しそうに返事をした。俺に頼られるのが嬉しいのだろうか。そんな訳ないか。

「それにしても、帰ったらルリ、色々と覚悟しておいた方がいいぞ?」

「え?なんで?」

「なんでって、リーフ達の断りなく、勝手に来たんだろう?怒られる未来が俺には見えるが?」

「え・・・?」

 ルリの顔色がだんだん悪くなっていく。もしかして、リーフ達に怒られる可能性を考えていなかったのか?まさかこいつ、本能の赴くままに行動しているのではないだろうか?まぁルリは魔獣だし、それでも問題ないかもしれないが。

「お兄ちゃん、庇ってくれる、よね?」

「え?いや、無理だが?」

 俺、何にも非がないし、ルリにしか非がない。下手にルリをフォローして、こっちに飛び火したらたまったものではないからな。

「ひ、ひどい!?ならクロミルお姉ちゃんは!!??モミジお姉ちゃんは!!??」

 ルリの訴えに、モミジとクロミルはルリから目を逸らした。

(まぁ、自分から厄介事に首を挟もうとは思わないよな)

 クロミルだって、急にモミジと話を始めたようだし。何の話を始めたのか気になるな。

「レンカお姉ちゃんは!!??助けてくれるよね!!??」

「・・・ルリ殿。怒られることは幸せなことなのですよ。なので、しっかりと怒られてください」

「そ、そんな~・・・」

 レンカの言葉で、ルリは怒られることを察したらしい。これを機に反省し、今後、自分勝手な行動を控えて欲しいものだ。俺も人の事は言えんが。今までボッチだったため、単独行動が多いからな。

「それじゃあレンカ、白の国の首都、シロネリまで頼む」

「はい。数日経たずに着きますので、それまでゆっくりしていてください」

 さて、それじゃあ俺はシロネリに着くまで昼寝・・・はせずに、魔力制御の練習でもしますか。

(まずは指先に魔力の塊をイメージして、そこから細かい糸状にして、狙った場所に向けて・・・動かす!)

 このまましばらく動かし続けるか。慣れてきたらもっと2本3本と、指の本数を増やしていくとしよう。


 一方、

「ルリちゃんのことは分かりました。それでは、私は私で出来る事をしますか」

 リーフはジャルベに近づき声をかける。

「ジャルベちゃん、今いいですか?」

「?別にいいが、なんだ?」

「お願いしたいこと、教えて欲しい事があります」

「そんな畏まった話し方なんてしなくていいが、なんだ?俺に出来る事ならなんでもするぞ?」

「私に【色気】を教えて欲しいのです」

 リーフは、ジャルベに【色気】を教えてもらおうとお願いしたのであった。

「・・・いいのか?分かっていると思うが・・・、」

「覚悟の上、です。もっと強くならないと、私が守りたい大切なものを守れないので」

 そう言い、リーフは蛇を見る。

「???」

 蛇はどうしてこちらを見ているのか分からず、首をかしげる。

「そうか。分かった。俺が出来る範囲で教える。後はリーフ姉さん次第だ」

「よろしくお願いします」

「何々?どうかしたの?」

「…これから何かするの?」

 リーフとジャルベの異変に、イブとクリムが声をかける。

「あの蛇ちゃんの件は大丈夫なのですか?確か今はクリムの時間だったはずですが?」

「う!?・・・い、今はそんなことより、二人が一体何を話していたか、ですよ!?気になりますよね、イブ!!??」

 クリムがイブとの距離を近づけながら必死に話しかける。

「…確かに気になる。一体何を話していたの?」

 言いたいことはあったものの、イブはリーフとジャルベ二人の会話内容に興味をひかれ、イブも二人に質問する。

「【色気】を教えてもらおうと頼んでいたところです」

「「!!??」」

 クリムとイブはリーフの発言内容に驚く。

 何せ、【色気】という魔法は、とても繊細な魔力制御の技術を要しており、少しでも間違えれば内側から体が破裂する様な魔法である。それ故、一般的には使用を禁じられている魔法なのである。

「そんな危険な魔法、別に使えなくてもいいじゃないですか!?リーフは十分強いわよ!」

「…正気?」

「ええ。危険は覚悟の上です。だって、強くないと、自分の身も守れないし、大切な人を助けられないじゃないですか」

「「大切な人・・・」」

 クリムとイブはある人物を中心とし、様々な人物を想像する。おそらく、想像している人物は一致しているだろう。

「…なら、私にも【色気】を教えて欲しい」

「!?イブまで何を血迷って・・・!?」

 イブの発言にクリムは驚く。

「…確かに、普通の人達が相手なら、【色気】を使わなくても勝てると思うし、アヤトやルリ、クロミル達がなんとかしてくれる」

「なら・・・、」

「…それだと、私は守られてばかりになる。そんなのは嫌だ。もう、守られるだけの王女になりたくない。どれだけ強い奴らが相手だろうと、アヤト達の助けになれるよう強くなりたい。あなたは違うの?」

「・・・」

「あなたは、ただ筋肉を鍛えるだけの王女なの?その筋肉を使って、アヤト達を助けようと思わないの?それとも、今のままでこれからも通じると思っているの?あなたは、どうしたい?」

「・・・私は・・・、」

 クリムは悩む。

 クリム自身、自分はそれなりに強いと思っていた。

 赤の国で数多くの兵士と模擬戦をしてきて、連戦連勝。その勝利の数が、自身の自信の源となっていた。

 だが、アヤト達との旅で、その自信は何回もへし折られてきた。

 何回にも及ぶヌル一族とアヤトとの戦い。

 そして、緑の国で自身が拘束され、屈辱的なことをされた事件。

 いずれも、守れ、助けられはしたが、自分一人では何も出来なかった。

(私にもっと、力があれば・・・、)

 クリムは力を欲し始める。

「…あなた程度の魔力制御では、【色気】なんて使えるわけがない・・・、」

「私、やるわ。【色気】を習得して、アヤトの力になれるような、対等な関係になりたい!」

「…ジャルベ。私達3人に【色気】を教える事って出来る?」

「・・・ああ。俺も、姉さん方の気持ちは分かるし、覚悟も分かった。俺でよければ力になるよ。ヴァーナ」

「は。何用でしょうか?」

 突如、コウモリが現れたと思いきや、そのコウモリは球に形に覆われ、ヴァーナが姿を現す。

「このルリ姉さんの蛇の面倒を見ておいて欲しい。何かあれば俺に言ってくれ。面倒は・・・ヴァーナに一任する」

「承知しました。それではいきましょう」

「しゃ♪」

 ヴァーナは蛇を連れてこの場を去る。

「これなら思う存分【色気】の習得に励めるな」

「「「ありがとうございます」」」

 ジャルベ、ヴァーナの心遣いに三人は感謝する。

「これくらいなんてことはない。それより辛いのはここからだ」

 ジャルベは息を整える。

「それじゃあいくぞ」

 こうして、リーフ、イブ、クリムの三人はジャルベから【色気】を教わるのであった。

次回予告

『5-2-14(第401話) 依頼しながらの情報収集』

 シロネリに着いた彩人達は冒険者ギルドに向かい、依頼に関する情報を聞きつつ、シロネリの情報を受付嬢から聞いていく。


今回の登場人物

リ=リーフ

ク=クリム

イ=イブ

ジ=ジャルベ

異世界版ことわざ(慣用句)

~青は藍より出でて藍より青しについて~

ジ「それじゃあ、【色気】について教えていくぞ」

ク「はい!ジャルベちゃんくらい、いや、それ以上に【色気】を使いこなせるようになってみせるわ!」

リ「まさしく、赤は紅より出でて紅より赤し、ですね」

ク「・・・リーフはいきなり何を言っているの?」

イ「…弟子が師匠を越えることを言う。まさかだけど、知らないの?」

ク「・・・私、勉強そっちのけでひたすら自身の体を鍛えていましたから。勉強より戦闘です!」

ジ「・・・俺も知らない」

イ「ジャルベは、学ぶ機会がほとんどなかったと思うからしょうがないけど、王女のあなたがそれでいいの?だから筋肉おばけなんて呼ばれる。筋肉おばけ」

ク「!?そいういうイブこそ、常に食べる事しか考えていないじゃないですか!?私が筋肉おばけなら、イブは食欲おばけです!」

リ「まぁまぁ二人とも。ここはいったん落ち着いて・・・、」

ク&イ「「うっさい!おっぱいおばけ!!」」

リ「・・・いいでしょう。【色気】を教わる前に、決着をつけるとしますか」

ジ「(これ、いつ終わるんだろう?)」


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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