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色を司りし者  作者: 彩 豊
第ニ章 鉛白な国の中にある魔道具と漆黒の意志
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5-2-12(第399話) シロネリへ出発

 さらに日は経過。

「それじゃあ行ってくる」

 俺達は準備を済ませ、みんなに挨拶をする。

「アヤト、私は心配です。強さではなく、アヤトの性格上、何かやり過ぎてしまうのではないかと、心配になってしまいます。何事もやり過ぎはいけませんからね?」

「・・・クロミル、アヤトのことは任せた」

「私、その教皇という人と戦いたかったなー」

 ・・・どうしてみんな、俺を危ない人、みたいな扱いをするのだろうか。そしてクリム、その思考は完全にバトルジャンキーだぞ?

「ヴァーナ、色々教えてくれてありがとうな」

「・・・いえ、私は大親分の為に行動しただけです。なので気にしないでください」

(相変わらず俺の事は大親分と呼ぶんだな)

 慣れるしかないと思っていても、違和感を覚えてしまう。クロミルみたいに割り切らないとな。気にしない気にしない。

「それじゃあみんな、行ってくる」

 俺達は、みんなが用意してくれた荷物をアイテムブレスレットに入れた後、牛車に乗る。

「それでは出発しますね」

 その牛車を、レンカが引っ張り始める。

(少なくなったな)

 すぐこのゴーストタウンに戻るとはいえ、今この場には俺、クロミル、モミジ、レンカの4人しかいない。クリム、リーフ、イブ、ルリはお留守番だ。あの街はキメルム達にとって大切な街だ。

(俺達全員が離れた隙に、騎士共があの街を壊滅させない、とは限らないがな)

 シロネリに帰した騎士共が何か余計な事を言いふらし、キメルム達がいる街を襲撃しない、とは言い切れないからな。ルリがいればそうそう遅れをとることはないだろうし、クリム達もかなり強い。ルリ達でも手におえなかったら・・・どうしよう?

(ま、なんとかしてくれるだろう)

 それほどの強敵となると・・・ヌル一族か。

(まさか・・・!?)

 ヌル・デベロッパーが何か仕掛けてくる可能性も考えた方が・・・!?

(・・・いや、だからこそルリをあの街に留めたんだ。気にしちゃ駄目だ)

 ルリなら、あのヌル一族とも戦えるだろう。以前、ルリはヌル一族にやられていたが問題ない。あの時より魔力制御に関する技術は上達している。

(でも、もしあいつらが【色気】を使ってきたら・・・、)

 使ってこないことを願うしかないな。ルリの事を侮り、【色気】を使わずに対峙したところ、ルリの一撃でヌル一族が気絶する。そのシナリオが現実となればいいが。もっと欲をいうなら、この件にヌル一族が関わってこないで欲しい。それなら、あの街が滅びルリ達がやられる、なんて可能性はないだろうからな。

「・・・アヤトさん、ちょっと聞きたいことがあるのですが、よろしいですか?」

「ん?あ、ああ。もちろん構わないぞ」

 こんな可能性の事をいつまでも考えていても仕方がない。こんな思考はひとまず破棄して、モミジの質問に答えるとしよう。

「アヤトさんが用意したあの樽の中に何が入っているのですか?」

「え?」

 俺は、モミジが指差した方向の先に、確かに樽がある。だが、俺が驚いているのは、牛車の中に樽がある事ではない。

「この樽って、モミジが用意したんじゃないのか?」

「え?私じゃないですよ?」

 俺の視界に入っている樽を、モミジが用意したものだと思っていたからだ。確かに本人に聞いたわけじゃなかったけどさ。

 となると・・・、

「この樽はクロミルが?」

「いえ、私ではありません。私もてっきり、ご主人様が何かの案のためにご用意成されたのかと思っておりました」

「それじゃあレンカか。レンカ、この樽何?」

「え?私ではありませんよ?私もアルジンが用意したのだと思っておりましたし」

「え?じゃあこの樽、何?」

「「「・・・」」」

 俺の質問に誰も答えない。

 無理もない。何せ、みんな自身に思い当たる節がないから、答えようがないのだ。

 ガタン。

「「「「!!!!????」」」」

 沈黙の時に、樽がひとりでに動く。怪奇現象を間近で目撃するって結構怖いな。下手に動けん。

「ぷはー。やっと出られたー」

 俺達は、樽から出てきた者を視認し、驚いた。

「お、お前は・・・!?」


 同時刻。

「・・・あれ?」

 リーフは周囲を見て、ある異変に気付く。

「…どうかした?」

 リーフの様子を見たイブは声をかける。

「ルリちゃんがいません。さっきまで私達の近くにいたと思ったのに・・・、」

 リーフはイブの質問に答えつつ、ルリの姿を目視出来るよう周囲を見渡す。

「あれ?この子、ルリちゃんとよく一緒にいる蛇ちゃんじゃない?」

 クリムのこの声で、リーフとイブは振り向く。

「しゃー」

 すると、蛇が音を出し、己の存在をアピールする。

「…確かに」

「ですね。ですが肝心のルリちゃんが・・・、」

「しゃー、しゃー」

 ここで蛇はさらに自身の存在をアピールする。そのアピールによりリーフは、蛇に何かかけられていることに気付く。

「これは・・・?」

 リーフは、蛇がかけられているものをよく見る。

 蛇にかけられていたのは、ただの板だった。だが、その板には無数の傷跡があり、その傷跡が文字を模っていた。

「・・・はぁ。まったくあの子は。一体誰に似たのでしょうかね~」

 リーフは呆れた声でため息を漏らす。

「…何か分かった?」

「これに全て書かれているわ」

 イブの質問にリーフは、蛇にかけられている板を指差す。

「・・・なるほど。本当、誰かさんに似ている」

「ですね~」

「?さっきから何を話しているのよ?」

 イブとリーフの対話に、クリムが割り込む。

「この板の文字を読めば、全て分かりますよ」

「…まさか、読めないの?それくらいの教養もないの?」

「!?馬鹿にしないで!!これくらいどうってことないわ!!」

 クリムも、リーフとイブ同様、板に記載されている乱雑な文字を解析する。

「いいな~。私も行きたいな~。行っていい?」

「「駄目」」

「ちぇ~。そうしたらルリちゃんと共闘出来たかもしれないのに~」

 クリムは自身の感情のまま提案したところ、リーフとイブに却下されていじけてしまう。

「後、この子のお世話は私達3人が交代で見ていこうと思っているけど、問題ない?」

「…ん」

「異議ナーシ。それで、この子の様子が少しでもおかしくなったら即報告、ですよね?」

「ええ。」

「…ん。この子に何かあったら、ルリの身に何かあった、ということらしいから」

 その後、3人はどの順番で蛇の世話をするか決め始めた。

 蛇にかけられている板には、こう書かれていた。


“ルリはお兄ちゃん達と一緒に行ってきます♪この子のお世話、お願いね♪もし助けがが必要ならこの子に言ってくれれば、すぐルリ達が助けるよ♪そして、この子に何かあった時、ルリの身が危険に晒されているかもしれないから、助けに来てね?”

次回予告

『5-2-13(第400話) 樽の中から妹登場、そして同乗』

 本来、アヤト、クロミル、モミジ、レンカの4人で向かうはずだったが、ルリが樽の中に潜んでいたことにより、急遽ルリも連れていく事になった。一方、ゴーストタウンに残っているリーフは、ジャルベからある魔法を教わろうとしていた。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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