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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 赤青交わる戦争
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1-2-14(第40話) 赤の国と青の国の戦争 ~南編~

彩人メイン回です。

北の方角で四人が戦い始めたころ、南の方角でも戦いが始まろうとしていた。


俺は、目の前の光景を見て唖然としている。


「さてと、あの動いているのが全部青の国の軍勢なのか?」


鎧やローブを着ている人がこれでもかというほどたくさんいる。全員青で統一しているから、荒野に青い絨毯が敷かれているみたいだ。


「いっちょ派手にやりますか」


 俺は今更ながらこの作戦が無謀だったのではないかと思っている。そりゃ約五千を相手に一人二人と少人数で挑もうとしているのだから。それでも、俺が作った銃型魔道具や罠を使えば、多少は有利になると思っていた。どうして今更そんなことを考えているかというと、


「相手はたかが一人だ!突撃するぞ!」

「「「おぉーーー!!!」」」


この銃型魔道具の魔力砲があまり聞いていなかったからだ。おそらく相手はこの魔力砲を魔力障壁みたいな何かで防いだのだろう。くそ、魔術師を甘く見すぎていたのか。今は後悔よりこの状況をどうするかだ。あんな広範囲に【毒霧】は使えない。だったら、


「これでどうだ!?」


 俺は先陣に向かって特性のアイテムボックスから大量の小麦粉が入った袋をたくさん投げる。その袋は地面に当たると袋が破け、大量の粉が空に舞う。そんなことが何回も起こり、気が付けば先陣が見えなくなるほど景色が真っ白だ。

「よし、これでいけるな」


おれはそこですぐに投げられるような形で火の玉を掌に出現させる。


「これで終わりだ」


そして俺は火の玉を相手先陣へ投げつける。

どがあああぁん!!!

 瞬間、広範囲で爆発が起きている。

 粉塵爆発である。原理さえわかれば対策もわかるかもしれないが、いきなり爆発したら動揺するよな。


「ま、まさか【爆炎】を使ったのか!?」

「そんなはずはない!あれを使えるのはエン公爵しか使えないはずなのに!?」

「まさかあいつがエン公爵のものだというのか?」


 ん?なんか聞きなれない単語があるがこの際無視するとして、まだ倒れていないのか。さて、次は地面から棘でも出して相手を串刺しにでもするか。

 そう考えながら、俺は地面に手をつき、魔法をイメージしていると、


「な、なんだあれは!?」

「あれ?」


 俺は不意に空を見てみる。もちろん俺が空を見た瞬間に斬られたり、魔法で不意打ちされたりされないように【結界】を張っている。

 そしてその影は近づいているのか、だんだん大きくなっている。そして、その影の正体は、


「久しぶりっす、兄貴」

(久しいです、わが友よ)


 黒竜帝と白竜皇だった。


「おい黒竜帝。なんか話し方変わってないか?」

「そうっすか?今はそんなことより伝えたいことがあってきたっす」

「伝えたいこと?」


 俺が聞き返すと、黒竜帝と白竜皇はある方向を指さす。


(あそこの方角に強大な力を感じます。どうか気を付けてください)

「あそこの方角はたしか」


 東だ。つまりヒュドラのいる方向から強大な力を感じるということだ。


「あっちにはヒュドラがいるから、そのせいじゃないか?」

(いえ)

「は?」

「ヒュドラの姉御よりも強大で恐ろしい力を感じるっす」


 それってつまり、ヒュドラよりも強い何かがいるってことか?それじゃ、


「ヒュドラが危ない!!」

(いえ。その何かはしばらく動く気配がなさそうなので、少しくらいは大丈夫かと)

「それより兄貴!今は急いでいるのでは?」


 確かに、今はその強大な何かについて考える時間も余裕もない。


「一刻も早く西側に言って、イブ達のフォローをしないと!」

「それなら、ここはおいらに任せるっす!」


 そう言って、黒竜帝はあるのかないのかわからない胸を張る。だが、


「いいのか?おまえらには関係ない戦いだぞ?」

「あるっすよ。それを兄貴が伝えてくれたじゃないですか?」

「何を…」


 そう言えば、黒竜帝は怪我していたが、本人にはまったく覚えがないとか言っていたな。でもそれは、


「あくまで推測だぞ?間違っていることも」

「それでもっす。それでも兄貴にお世話になったので、恩を少しでも返させてくださいっす」


 黒竜帝の目は真剣そのものだ。どうやら俺が何言っても無駄だな。


「わかった。お前にここを任せるよ。全員殺しちゃってもいいから」

「はいっす!」


 本当は一人残して尋問しようと思っていたが、まぁあの魔王夫妻なら気を利かせて尋問する人を一人か二人確保するか。スレッド国王は…うん、無理だな。期待できない。


(私はアヤト殿をお送りします。先ほどおっしゃっていた西側に行かれますか?)

「あぁ!よろしく頼むぞ、白龍皇!」


 そう言って、俺は白龍皇と共に南を後にした。



「さてと」


 黒竜帝は一息つくと、急に周りを威圧する。まるで積年の恨みを晴らすかのようだ。


「た、たかが幼竜一匹ごときでひるむな!かかれぇー!」

「「「おおおぉぉぉーーー!!!」」」


 幼竜なら勝てると思っているのか、青の国の軍勢は少し戦意が削がれていたものも復活し、襲いかかろうとする。だが、その指揮官は黒竜にとって言ってはならないことを言ってしまった。

 黒竜帝は確かに小さい。その原因を作ったのは彩人である。だが黒竜帝自身彩人がしたことには怒っていない。暴走した自分を止めてくれたので、感謝こそするが、怒るのはお門違いだと思っているからだ。それでもあの指揮官は行ってしまった。

 黒竜帝のことを幼竜だと。自分のことを格下に見ているのだと。あいつになら勝てると。その言葉を聞いたとき、黒竜帝は元々放っていた威圧をさらに強くする。


「図になるなよ人間!貴様ら全員八つ裂きにしてくれるわ!!」


 その後、小さい黒竜帝はその小さい身体を生かし、縦横無尽に空を舞いながら、鋭く磨かれた爪と牙で青の国の軍勢を引き裂き、噛みちぎった。荒野が兵士達の血で赤く染まっても、兵士達が一人でも生きている限り、黒竜帝はその攻撃をやめなかった。

今回、彩人だけでなく、黒竜帝や白竜皇も登場です。

人(今回は竜ですが)に恨まれるようなことをすると、後でどんな仕返しがあるか、溜まったものじゃありません。

注意しましょう。

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