5-1-24(第383話) キメルム達の奇襲後
少し時間が経ち、
「さて、」
俺が話しを始めようとした時、
ぐ~~~。
どこからか、大きいお腹の音が鳴った。
「おいルリ、いくらお腹が空いているからって、」
「ルリじゃないよ~」
と、ルリが拗ねたような声で返事してきた。
(ルリ、じゃないのか?)
そういえば、ルリがいた方向とは異なる方向から聞こえてきたな。となると、ルリではないのか?周囲を見てみると、ある者が手をゆっくり挙げた。
「わ、わたし、だ・・・」
「お前かよ・・・」
手を挙げた者の正体は、ジャルベだった。
「お兄ちゃんひどいー!」
「悪かった」
俺はルリに謝罪する。勝手にルリと思い込み、非難しかけたからな。
「それじゃあ、夕飯ホットケーキにしてくれたらいいよ~♪」
「・・・分かった」
夕飯にホットケーキか。なんか物足りない気がするが仕方ないか。
「「「・・・」」」
・・・なんか大量の視線を感じる気がするが、気のせいか?俺は周囲を見渡すと、何故かジャルベ達は俺を見ていた。もしかして、アイテムブレスレットからものを取り出したことが珍しかったのか?確かにこのアイテムブレスレットは黄の国でも見かけなかったからな。多分希少なんだと思う。どれくらい希少なのかまでは分からんが。
「そんなに見てどうしたんだ?」
まさか、俺ではなく俺の後ろにいる誰かを見ていたのか?だとしたら恥ずかしいな。俺は後ろを見てみる。・・・後ろを振り向いてみたが、俺の後ろには誰もいなかった。どうやら俺の後ろにいる誰かではなく、俺を見ていたようだ。そんなに俺が珍しいのか?それとも、俺の存在がよほどおかしいのか?聞いてみるか。
「俺がそんなに珍しいのか?それともおかしいのか?」
そう聞くと、ジャルベ達の視線はある一点に集中している事が判明した。その一点とは、
「・・・もしかして、このホットケーキを見ているのか?」
俺がアイテムブレスレットから取り出したホットケーキだった。この料理、そんなに珍しいのか?確かにイブ達は最初この料理を見た時、珍しそうに見ていたが、この料理はどの国にもないのだろうか。
するとジャルベ達の内の一人が、
「あれ、すんげぇ美味いやつじゃん!また食いてぇ!」
と、言ってきた。
・・・はぁ。
「なら、お前達もまた食うか?」
俺がジャルベ達に提案すると、
「「「えええ!!!???いいの!!!???」」」
シンクロした声で聞き返してきた。
「別にいいさ。後で聞きたいことがあるし、その情報料ってことで。みんなもいいか?」
俺は確認のため、周囲に視線を送り、反対意見の有無を確認する。・・・反対意見はないようだな。
「さて、」
俺のアイテムブレスレットの中にどれくらいホットケーキの在庫があっただろうか。かなりあったと思うが、ジャルベ達全員を満足させる量はなかったはず。
(ホットケーキそのものはないが、ホットケーキを作る材料はまだまだあるな。なら、クロミル達に手伝ってもらうか)
そう考え、クロミルにお願いしようとしたら、
「ご主人様、力不足ではありますが、ホットケーキ作りに私をお使いください」
「・・・おお。お願いするな」
俺がお願いする前に、クロミルが志願してきた。
クロミルさん、実は俺の心を既に掌握しているのではないかと勘ぐってしまう。
「ルリも作って食べるー♪」
「クロミルさんやルリさん、アヤトさんも作るなら、私も作ります」
「アルジンの料理、どれも美味しいですからね。知識として加える為、調理工程を観察させていただきます」
「であれば、ご飯の準備を始めますか」
「賛成です!お腹空きましたー」
「…私も手伝う。味見したい」
ルリ達も手伝ってくれるそうだ。ジャルベ達、かなりいるからな。人手は出来るだけ確保したかっし、手伝ってもらうとしよう。
「みんな、頼む」
「「「はい」」」
こうして俺達は、ジャルベ達のためにホットケーキを作ることになった。
次回予告
『5-1-25(第384話) キメルム達の奇襲後~その2~』
ホットケーキを作ることになった彩人達は、ジャルベ達の協力を得て完成させ、完成品をみんなで食べ始める。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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