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色を司りし者  作者: 彩 豊
第5色 白の国 第一章 人間と魔獣が混ざり、鈍色なキメルム
378/546

5-1-18(第377話) キメルム達の奇襲~アヤトVSジャルベその5~

 彩人とジャルベの闘いが始まってから、ルリ達に対する攻撃が止んだ。ジャルベは目の前にいる殺すべき相手、彩人に集中しているためである。

(((頑張れ!!!)))

 ルリ達だけでなく、キメルム達も彩人を応援している。彩人が親分であるジャルベに勝利し、正気を取り戻してくれると信じているためである。

 2人が拳をぶつけ合い、ジャルベが彩人の命を奪おうとする。彩人は自身の命を守るため、そしてジャルベを助けるため、ジャルベの攻撃をいなしつつ、反撃に臨もうとする。

「貴様・・・!何故貴様は俺と同じように、宙に浮ける!!??」

「それをいちいちお前に言う必要があるのか?」

 この彩人の言葉に、

「なんだと!!??」

 ジャルベは激昂する。

(まったく!自前の翼とか羨まし過ぎるんだけど!!??)

 ジャルベが自前の翼で空中を飛んで彩人に襲い掛かってくる。彩人もジャルベに対抗するかのように、空中を飛んでジャルベに向かっていく。

 どうして翼の生えていない彩人が宙を舞うジャルベと戦えているかというと・・・。

(やっぱ空中戦は慣れないな)

 彩人は透明な【結界】を足場として使い、移動時には緑魔法で風を足から噴射させることで移動していた。

「死ね!」

 ジャルベは、自身の体毛一本一本を彩人に向けて放つ。

「神色盾!」

 彩人は神色拳を盾の形に変形させ、ジャルベの体毛を自身の身から防ぐ。

「さっきからその変形する武器はなんだ!?うざいんだよ!!!」

 ジャルベは自身の鱗を体から外し、彩人に向けて発射する。

(ち!)

 全方向から彩人めがけて鱗が襲い掛かろうとしている。彩人は内心舌打ちしながらも対策を考え、講じていく。

「【結界】!」

 彩人は【結界】を展開し、鱗の進行を食い止める。だが、一時的だった。

(くそったれが!)

 彩人は自身の背中から魔力で形成した腕を無数に生やし、殴り飛ばして【結界】に刺さっていた鱗を外に飛ばす。

(まだ闘う気なのかよ!?)

 彩人は半ば諦めているが、言葉での説得を試みる。

「もういいんじゃないか?いい加減、周囲の視線、気持ちに気付いたらどうだ?」

「周囲の視線?気持ち?何を言っている?」

 彩人の問いかけに、ジャルベは呆れを全身で体現する。

「そんなの、あいつらが俺を裏切った。それだけだろう?」

 ジャルベの言葉に彩人は反論する。

「何を言っている!?そんなわけないだろう!?こいつらは今もお前を助けようと・・・!」

「助けるためなら裏切っても問題ないと?」

「だから裏切ってないと・・・、」

「ふざけるな!!」

 ジャルベは自身の掌の上に大量の魔力を集約させていく。

「滅べ、滅べ、滅べ。この光は俺の願いを、意志を体現させる光なり。この光を以て、我が願いを世界に知らしめ給え・・・」

 そして、呪文のようなものを口から発していく。呪文を唱えていけばいくほど、集約させている黒光りの球体は大きくなっていく。

(嫌な予感しかしねぇ!)

 彩人は【結界】を展開する準備を整える。

「お兄ちゃん!なんだか嫌な予感がするよ!?」

「ご主人様、助力が必要でしょうか?」

「アヤトさん・・・」

 ルリ、クロミル、モミジが彩人のことを心配する。その3人だけでなく、クリム、イブ、リーフ達も心配する。

「「「・・・」」」

 言葉には出さないものの、レンカやキメルム達も彩人のことを心配する。そんな心配を吹き飛ばすかのように、彩人はたった一言言葉を発する。

「大丈夫だ」

 彩人はそれ以上言わず、体内に保有している魔力を掌に集める。

「【反射障壁】」

 ジャルベを囲むように【反射障壁】が展開されていく。

「みんなに心配をかけるわけにもいかないし、怪我をさせるわけにもいかないからな」

 彩人は独り言を呟く。

「お前の魔法じゃあ、ここにいる誰一人殺せねぇ。いや、殺させねぇぞ!」

 彩人はさらに【反射障壁】を展開する。追加で展開した【反射障壁】は再びジャルベの周囲を囲んでいる。

「我が光は世界を浄化させん!」

 ジャルベの黒光りしている球はさらに光を増していく。

「【滅光(めっこう)】!」

 黒光りした球から黒い光が拡散していく。その黒い光に呑まれた植物は枯れ、散っていった。

(あの光に触れると腐るのか?それとも破滅するのか!?)

 彩人はジャルベの魔法、【滅光】の効果に関して考察しながら力む。

「!!??」

 ジャルベの【滅光】と彩人の【反射障壁】がぶつかり合う。

(反射、しやがれ!!)

 彩人はジャルベの【滅光】を反射させようと、【反射障壁】に魔力を注ぐ。

「この光に、呑まれろ!」

「!?」

 ジャルベの【滅光】の光がさらに強みを増していく。まるで、ジャルベの強い殺意がより強くなったかのように。彩人はジャルベの殺意の強さに少し後ずさり、汗が流れる。

「大丈夫」

「ご主人様、私達がいます」

「ルリ、クロミル・・・」

 そんな時、彩人を後ろから支えてくれたのは、ルリとクロミルだった。

「「「・・・」」」

 ルリとクロミルを後ろから支えるように、イブ達が2人の背中を支える。イブ達を後ろから支えるように、ジャルベの魔法に押し負けないように。

「みんな・・・」

 彩人は気づく。

 自分には、これほどの味方が、仲間がいるのだと。

(ありがとう)

 彩人は口に出さず、心の中で感謝の言葉を発する。

「はあああぁぁぁ!!!」

 彩人は【反射障壁】に魔力を注ぎ、壊れないようにする。

「死ね!俺の邪魔をする奴は全員死ね!!」

 ジャルベの強い殺意はさらに強くなり、【滅光】が発する光も強くなる。

 彩人の【反射障壁】とジャルベの【滅光】が拮抗し、ぶつかり合った結果、

「き、消えた、のか?」

 二人の魔法が同時に消滅した。ジャルベの【滅光】が彩人達を襲う事はなく、彩人達の【反射障壁】がジャルベの周囲を囲んでいることもない。

「ふう」

 彩人は一息つき、すぐに気合いを入れ直す。そして、ジャルベを探す。

「あれ?」

 そこで彩人は気づく。いつの間にかジャルベは視界から消えている事に。彩人はジャルベの行方を探そうと、自分の視界を動かし、ジャルベの姿を視界に入れようとする。

「いた」

 彩人はジャルベの存在を把握した。ジャルベは上空に位置している。ジャルベの目は遠くから見ても、未だ消えぬ強い殺意を感じる。

「もう許さない」

 その言葉を発したジャルベは元々強かった殺意をさらに強くする。

「俺を否定するお前も、俺を裏切ったお前らも死ねばいい。この町ごと消してやる!」

 ジャルベの強い殺意は新たな魔法となって顕現する。

「何、あれ・・・?」

「あれが親分の魔法?」

 キメルム達は、ジャルベの魔法に恐怖している。

「…アヤト。あれ、止められる?」

「さぁな。あれ、今も大きくなっているし」

 ジャルベは両手を宙にかざし、大きくて黒い球を成形している。大きくて黒い球は今も大きくなっており、その黒光りしている様子は黒い太陽のよう。

「殺してやる。俺の目の前にあるもの全て、何もかも!!!」

 ジャルベの殺意や態度から、ジャルベは本気で彩人達や町を消すつもりだった。

「これで、この【隕黒滅(いんこくめつ)】で全部消してやる!!!」

 ジャルベの目には、もう大切なモノは映っていない。

次回予告

『5-1-19(第378話) キメルム達の奇襲~アヤトVSジャルベその6~』

 彩人はルリ達、キメルム達と協力し、暴走しているジャルベと再度戦いを始める。その戦いは、ジャルベを救うための戦いであり、死ぬことが許されない戦いでもあった。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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