表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色を司りし者  作者: 彩 豊
第5色 白の国 第一章 人間と魔獣が混ざり、鈍色なキメルム
361/546

5-1-1(第360話) 会話を盗み聴く者

 白の国のとある町。否、かつては町だったと言うべきだろう。建物がやっと建っている状態であった。町の中には畑や水田があったのだが、以前みたいに実りが豊かとはとても言えなく、地面をむき出しにしたまま幾千もの月日の経過を感じる。人っ子一人住んでいないように見えたのだが、人型の影が複数見える。

「親分!僅かですが、複数の話す声を確認しました!」

 親分と言った者は、親分という者に報告する。親分と呼ばれた者は呼ばれた声に反応する。双方とも外套を身に着けており、フードを深く被っているせいか、顔の特徴が詳細に拝見出来ない状態となっている。

「それで?」

「あまりにも遠いので分かりませんが、白の国に向かってくるかと推測します」

「そうか。もしかしたらこの町の近くを通るかもしれないな」

「後、一人だけですが、人の名前っぽい単語が聞こえました」

「人の名前?なって言っていた?」

「確か・・・、」

 親分と呼んだ者は自分の耳と記憶を探り、聞いた人の名前っぽい単語を口にする

「アヤト、だったかと」

「アヤト、か。覚えておくとしよう」

「・・・」

「他に何かあったのか?」

「い、いえ!何でも!」

 この時、親分と呼んだ者は嘘をついた。

 本当は他にも単語を聞いていた。だが、ここでは言わなかった。というより、聞いた単語の意味を理解出来ず、報告出来なかった。

(ホットケーキ、美味しい~♪なんて言っていたから、ホットケーキと言うのは食べ物だろうが、どんな食べ物なんだ?)

 それは、彩人達が食事している最中、よく食べているメニューの事である。

 きっとどこかの大食い王女と大食い魔獣娘が、

「…今日もホットケーキ、ウマウマ♪」

「やっぱりホットケーキは最高だよ~♪」

 と、語らいながら食していたのだろう。その会話の断片を聞いたと思われる。

「それでアヤト、という奴らは当たりなのか?」

 ここで親分と呼ばれた者は、親分と呼んだ者に質問する。

「当たり、みたいです」

 質問に対し、親分と呼んだ者は肯定した。

 この2人が言う当たりとは、食料を保有しているかどうかである。つまりこの2人の会話で、彩人達が食料を保有している、という情報を共有したことになる。

(ホットケーキだけでなくカレー?という食べ物?について話していたし、多分持っているはず)

 ただ、親分と呼んだ者は、聴力に自信はあったものの、今まで聞いたことが無い料理名だったので、心の中の不安が徐々に増大していたのだが、本人にしか知りえない信条である。

「そうか」

 親分と呼ばれた者は短く返事をし、立ち上がる。

「同胞に連絡を入れてくれ」

「同胞に?ということは、やるのですか?」

「ああ」

 親分と呼ばれた者は、町の外を見据え、

「アヤトとかいう奴らの食料を奪う」

 高らかに宣言した。

 宣言直後、向かい風が吹く。向かい風によって、親分と呼ばれた者の外套がめくれる。めくれた中には、人間とは思えないほど太い強靭な腕が一瞬露出した。

次回予告

『5-1-2(第361話) ファーリを黄の国に置いていった理由』

 白の国に向かう途中、イブは彩人に、ファーリを黄の国に置いていった理由を聞く。だがイブは、その理由を分かっていた。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ