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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 魔道具であるレンカの黄朽葉な心
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4-3-28(第358話) 冒険者達の黙らせ方

 あれから十日近く経過した。俺の体力は全回復したので、リーフ達に集まってもらい、今後の予定を話した。今後の予定というのはもちろん、白の国に行くことだ。

「「「分かった」」」

 全員、俺の予定に賛成してくれた。良かった。これで、

“は?なんでこの私がおめぇ如きの予定に合わせなきゃいかんのじゃ!?”

 なんて切れられ、俺の目の前からいなくなってしまったら、俺はもう立ち直れず、この黄の国に永住を即決していたことだろう。俺のメンタル、弱いな。

 それはさておき、今後の予定が決まったので、白の国に向かうための準備をしようとしたところ、みんなに呼び止められ、再び座らされてしまう。

「?みんな、何かあったのか?」

 と、俺が聞いたところ、

「「「あの洞窟で何があったか、聞かせて???」」」

と、俺を心理的に追い詰めようとしている目をしながら質問された。なので俺は、

「な、なんにもなかったよ~?ちょっとこけて怪我しちゃったけど、何もありませんでした~」

 と、俺は何もなかったと嘘をついた。この嘘は誰にもばれやしない!

「「「嘘でしょ???」」」

と思っていた時期が俺にもありました。どうやら俺の嘘は簡単に見抜かれたらしい。自信あったのな。残念だ。よく考えてみたら、あの場に俺だけでなくルリ、クロミル、ザッハもいたわけだから、嘘だとばれるのは当然か。俺って馬鹿だな。嘘がばれてしまったので、俺は正直に話すことにした。

 あの森の洞窟で、ヌル一族がいたこと。そのヌル一族と共闘し、今回の犯人を捕まえたこと。今回の犯人がヌル一族であったこと。レンカの製作者がヌル一族の一匹、デベロッパー・ヌルだったこと。デベロッパーが作った魔道具が白の国のどこかにあるかもしれないこと。それらを話した。

「「「・・・」」」

 みんな、何か思い、悩んでいた。最終的には、

「それなら、仕方ありませんね」

「出来ればあの時に一言言って欲しかったですけどね」

「…あの時は仕方なかったと思う。あの時のアヤトには、断言出来る確証がなかったから」

「私がもっと強ければ、ご主人様を援護出来ましたのに。私の実力不足で迷惑をかけてしまい、申し訳ありません」

「ルリにも分かるように言って欲しかったな~」

「で、でも!無事に戻ってくれて私は嬉しかったですよ!?」

「アルジンって、独りでなんでもやろうとして心配になってしまいます」

 それぞれ、俺に対する愚痴を含みながらも、なんとか許してもらえた。

(そういえば)

ゴーレムが複数体で俺に襲い掛かってきた時、ルリ、クロミル、ザッハに助けてもらったんだよな。この場にザッハはいないが、お礼は言っておこう。ということで、俺は二人にお礼を言った。

「いえ。ご主人様に仕える者として当然のことを行ったまでです」

「あのくらいならルリでも勝てたのに~」

 クロミルは当然かのように謙遜した。ルリには文句を言われた気がした。ルリよ。言っておくが、ヌル一族の強さはあのゴーレム以上だからな?だから、俺の魔法でもしばら拘束し、動けないように出来たのだと思う。もしあのゴーレムがヌル一族並みに強ければ、俺の魔法なんて意味を成さなかったことだろう。あのゴーレム、デベロッパーが言うには、ヌル一族の強さを再現した、とか言っていた気がするけど、完全再現までは出来なかったみたいだな。出来てなくて俺はよかったけどな。

 今後の予定を話したので、次の目的地である白の国に向かう準備を進める事にした。その準備を始めるうえで、ギルドに挨拶をすることになった。俺、結構ギルドで依頼を受けていたからな。俺がこの首都から離れる事を残念に思う人が多くいる事だろう。

「クロミルちゃん、もうこの国から出ちゃうの?」

「ルリちゃん!ここに美味しいお菓子があるから、俺達と一緒にパーティー組まない?」

「リーフさん?俺達の専属受付嬢になってくれない?そしてあわよくば・・・」

「クリムちゃん!その筋肉を我らのパーティーで活かさないか?!」

「イブちゃんのその知恵、我がパーティーでこそ活かすべきなのだ!」

「モミジちゃん、我らの癒しになってくれないか?」

 ・・・もしかしたら俺は、この国で嫌われているのかもしれない。同業者で話が分かるはずの男からは憎まれ、女性冒険者からは嫌われているようだ。俺、何でそんなに嫌われているの?俺、泣いちゃうよ?俺が切なくなっていると、

「お前、報われないな」

「フォッフォッフォ。なんとも不思議な光景じゃのう~」

 ザッハとギルドマスターが人知れず近づき、慰めてくれた。俺、本当に人望無いんだな。あれだけ依頼をこなしてきたのに残念だ。俺が自身の人望のなさにうなだれていると、

「貴様にリーフさんを渡すわけにはいかない!俺と勝負しろ!」

「俺だって、こいつがクリムちゃんを連れて行くのは納得できない!この筋肉に賭けて勝負だ!」

 なんて輩が出てきた。なんで俺が…なんて考えていると、「俺はルリちゃんを守る!」や、「なら私はモミジちゃんを守ってみせるわ!この杖に賭けて!」なんて言葉がさらに出てきた。なんでみんな、俺以上に人気なの?美少女だからか?美少女だからなのか!?そんな美少女達を連れ出そうとしている俺は悪なのか!!??なんか悲しくなってくる・・・。

「それならここにいるアヤト殿とみんなで、模擬戦をしてみるのはどうかね?」

 と、ここでギルドマスターがふざけたことを言ってくれた。なんで俺がこの目の前にいる冒険者達と模擬戦をしなくちゃならないのか。わかせぬ。

「勝った者が、ということでどうかね?」

 ギルドマスターがそんな事を言うから、他の冒険者達が興奮し、俺が勝つんだと豪語し始めた。俺、勝てるかね?

「ちなみにザッハは参加するかね?」

「辞めておこう」

 何故か、俺と冒険者達との模擬戦が始まることになった。別れの挨拶をしにきただけなのに、どうして戦う事になったのだろうか。仕方がないので、俺は冒険者達と模擬戦をすることになった。

 結果、俺の圧勝だった。

 模擬戦が始まった直後、半分近くの冒険者が俺に突撃し、もう半分の冒険者は、俺に魔法を打つべく、魔法の準備をしていた。まず俺は、突撃してきた冒険者達を止めるため、【反射障壁】を展開した。そのおかげで、突撃してきた冒険者達全員を食い止めることが出来た。突撃してきた直後、後衛で魔法の準備をしていた冒険者達が俺めがけて魔法を放ってきた。だが、俺が展開していた【反射障壁】によって反射され、冒険者達に被弾していった。

(【空縛】)

 その間に俺は【空縛】で冒険者達を拘束した。だが拘束出来たのは、俺に突撃してきた冒険者達だけだった。後ろで追撃しようとしている冒険者達は再び魔法を撃とうと準備し始める。

(【毒霧】)

 俺はその後ろの冒険者達が動けなくなるよう、強い痺れ毒をイメージし、【毒霧】を後衛の冒険者達めがけて発動させる。すると、続々と倒れていった。倒れていく様はまるでドミノのよう。倒れていった冒険者達も【空縛】で拘束し、戦闘不能な冒険者達を生産していった。ちなみに、【空縛】で拘束している冒険者達全員、空中に浮いているような状態になっている。従って、俺は下から覗くように女性の下着を見ることが出来る。冒険者の中には、ミニスカートを履いている女性もいるからな。おそらく、機動性を重視してミニスカートをチョイスしたのだろう。ふっふっふ。これで堂々と下着を拝めるぜ。まぁしませんが。したらジェントルマンな俺が俺でなくなるからな。下心は隠すものだ!・・・俺は戦闘中に何を考えているのだろうか。もう勝ったと確信しているからだろうか。俺は降参を勧めたのだが、

「まだよ!」

 魔法使いっぽい恰好をしている女性冒険者が、俺に向けて【火球】を繰り出してきた。俺も同じ【火球】で相殺したところ、まだ足りないのか、さきほどより大きな【火球】を用意してきたので、氷で形成した槍を全員の首に突きつけ、

「まだ、やるか?」

 と言ってやった。全員俺の【空縛】で一切動けないので、降参するしかないだろう。

「「「・・・はい」」」

 俺が思った通り、全員降参してくれたので、氷の槍を制御から外す。すると氷の槍は地面に落っこち、粉々に散った。その後、俺は全員をゆっくり地面に足がつくようおろし、【空縛】を解除した。ほとんどの冒険者が諦めていたのだが、一人だけ、元気だけいい冒険者が俺に襲い掛かってきた。

「死ねー!」

 なんて物騒なことを言ってきたので、

(【結界】)

「ふんげ!?」

 相手の膝くらいに【結界】を展開した。声だけ聞く限り、相手は【結界】につまずき、転んだのだろう。俺はもう一度氷の槍を形成し、

「これ以上やるなら血を見る事になるが、どうする?」

 相手に槍先を向け、脅す様な形をとってしまった。

「悪かった」

 俺はこいつの名前を知らないし、どうでもよかったので、これ以上何もしないことにした。そしてそのまま、競技場を後にしようと行動した。

「フォッフォッフォ。お主も酷なことをしたのう」

「お前、かなり手、抜いていただろう?魔法しか使っていないし」

 ギルドマスターよ。酷な事とは一体何の事だろうか?それにザッハ。俺は手を抜いていないぞ?確かに魔法しか使っていなかったが、手を抜いたわけではないからな。口に出すつもりだったが、口に出すのも面倒くさいと思い、口に出さなかった。そして無言のまま、冒険者ギルドを後にした。

 その後、俺達は食材を買い込んでいった。道中、食材に困らないようにするためである。

(おでんもどきに必要な食材は買っておくべきだな)

 道中、おでんを大量に作って食べよう。あれ、美味かったなー。おでんに合いそうな食材も必要以上に買い込んでおこう。

「お兄ちゃーん!こっちに美味しい果物があるよー!」

「…やはり、肉は必須」

 食いしん坊な二人は、市場を走り回り、食材を確保していった。買い過ぎることがない程度に購入してくれよ。

次回予告

『4-3-29(第359話) 出国と別れ』

 彩人は白の国に向かうため、黄の国に別れを告げる。そんななか、彩人はある事をザッハ達に提案する。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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