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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 魔道具であるレンカの黄朽葉な心
353/546

4-3-22(第352話) 戦闘中に聞いた言葉

「それにしても、あの男は一体どこから発掘したのかね?」

 彩人とゴーレムが戦っている間、デベロッパーとメイキンジャー、パラサイダーは話をしながらお互いの杖、足をぶつけ合っていた。戦闘の最中にも関わらず、3匹は雑談をするように話し始める。

「発掘も何も、我らと敵対し、戦った憎き敵ですよ」

「そうパラね。不遜な態度で、パラ達に剣を向けてきたパラ」

「・・・ふむ。傾聴したところ、何故貴様らがこうして組んでいるのか謎なのだが?」

「利害の一致、といったところです」

「利害の一致、だと?どういうことだ?」

 メイキンジャーが言う利害の一致の意味について、デベロッパーは質問する。

「デベロッパー、あなたはキハダでやり過ぎたのです」

「キハダ?・・・ああ、あの小さな町のことか」

「そうパラ。お前はあの町で盗みを働いていたらしいパラが、その犯人の居場所を特定されたんパラよ」

「何?粗相はしていないはずだ。それなのに何故?」

「そんなことは知りません。ですが、あの者がここに来た。それが事実です」

「!?またあの男か!?本当に何なのだ!!??」

 デベロッパーは、メイキンジャーとパラサイダーが連れてきた男、彩人に激昂する。

「流石に隙だらけパラよ」

 パラサイダーは、激昂していて注意力が散漫しているデベロッパーの体に前足で思いっきり殴りつける。その衝撃でデベロッパーは吹っ飛ぶ。

「ち。流石に乱し過ぎましたな」

 デベロッパーはぶつかった壁から体を離し、態勢を立て直す。

「それにしてもあの男、本当に我が主、そして我々と同じ力を有していると断言できるのか?」

「そのようですね。私、パラサイダー、そしてあの男の3人であの【条件結界】を破ったのです。あなたがあの【条件結界】を展開したのであれば、あなたが誰よりも分かっているはずでしょう?」

「!?何故あんな男が・・・ん?」

パラサイダーは彩人の方を見る。するとデベロッパーは、彩人の指についているリングが視界に入る。

「まさか・・・?」

 デベロッパーは静止する。その様子に、メイキンジャーとパラサイダーも止まり、デベロッパーの様子を窺う。

「ふ。あーはっはっは!まったく!今日はおかしなことがよく起こる日であるな!」

「・・・何がおかしいのですか?」

「気でも狂ったパラか?」

 急に笑い出したデベロッパーに目キンジャーとパラサイダーは憐れみを含んだ視線を送る。

「狂乱しても仕方がないじゃないか!何せあの人間が身に着けている指輪は、私が捨てた指輪を身に着けていたんだからな!」

 その時、ゴーレムと戦っていた彩人は戦っているにも関わらず、動きを止める。

「!?」

 動きを止めたせいで、彩人はゴーレムからの攻撃を直撃し、壁に直撃する。その後、自身の体に出来た生傷を気にせず、彩人はデベロッパーに質問する。

「お前、それはどういうことだ!?」

「どういう事も何も、言葉が成す意味のままだが?」

「!?」

 彩人は戦闘中にも関わらず、動きを完全に止め、戦闘相手のゴーレムを視界から完全に消していた。彩人の様子が変化しても、ゴーレムは彩人に攻撃しようと構え、彩人をぶん殴る。そして、彩人は再び吹っ飛び、壁に激突する。

 彩人にとっては激痛のはずだが、痛みを気にせず、パラサイダーに質問する。

「つまりお前はレンカを、あのゴーレムをあの洞窟で放置したというのか!?」

 この彩人の質問に、パラサイダーは高笑いしながら答える。

「ああそうだ!心なんて非効率的な機能を搭載してしまったおかげで、精神的気苦労が絶えなく、いちいち細かいことを指摘してきたからな!」

「・・・」

 彩人はデベロッパーの笑い声と共に発せられた言葉の内容を理解した後、

「ぐほ!?」

「てめぇ、いい加減にしろよ」

 デベロッパーを思いっきり、力の限り殴り、吹っ飛ばしていた。


 気づかないうちに俺は、あのデベロッパーを殴っていた。

(やべ)

 あの二匹にゴーレムを止めておくよう言われていたのに、つい手をだしてしまった。ちょっと聞き捨てならない言葉が聞こえてきて、頭に血が上って感情的に行動してしまった。

(今の内に)

 俺はさきほどまで対峙していたゴーレムを拘束するため、【空縛】を発動させる。これでしばらくは動けないと思う。だが心配だな。さらに俺はゴーレムを水の中に入れ、その水に【粘性】を幾重にも【付与】し、粘性を強める。これで動けたとしても、強い抵抗により、ゴーレムの動きがかなり鈍くなったはずだ。出てきた時の場合を考慮し、火の牢、氷の牢、樹木の牢、雷の牢で閉じ込める。

「こいつ、少しだけ俺が相手してもいいか?」

 俺は二匹の目を見ずに質問する。駄目と言われても我慢出来るか分からないが。

「殺さなければ問題ないので構いません」

「やり過ぎないようにするパラよ。こっちは楽でいいパラ」

 おそらく、俺を止めるのが無駄だと判断したのだろう。それはありがたい。

「さて」

 俺は改めてデベロッパーを見る。猿から進化した魔獣だからか、メイキンジャーと違い、かなり服装が簡素だ。原始人みたいだ。

「レンカ。今の話は本当か?」

「嘘です!」

 レンカは指輪の中から出てきて、強い否定をした。

「だって、私の創造主は人間で、魔獣じゃありません!」

 ?どういうことだ?レンカの言う通りなら、デベロッパーはレンカを作った、という発言が虚偽ということになる。

「・・・ふむ。そういえば、この顔で貴様の前に出ていなかったな」

 デベロッパーがそう言うと、何かバッジみたいな魔道具を取り出すと、顔が変わった。猿みたいな顔が、仙人みたいな、初老のジェントルマンみたいな男性に顔が変わった。顔って魔道具で変わるんだな。今はどうでもいいが。

「う、嘘!?そんな・・・まさか!!??」

 デベロッパーの顔が変わったかと思うと、レンカの顔色も変わる。本来、レンカの顔は不定形で、変わるのは声色ぐらいだと思っていたのだが、まさか顔の造形、色まで変わるとはな。

「そうだ!心を搭載したことで精神状態が一定せず、常に最善の力を発揮できなくなる。それが貴様の欠陥なのだ!」

「う、ううぅ・・・」

 これはボッチな俺でも分かる。レンカは、受け入れきれない現実に絶望しているのだ。

 自分は捨てられたという現実を受け入れられず、今もこうして涙を流している。

 心があることで欠陥だと?

 道具として欠陥だと?

「・・・レンカ、力を貸せ」

「え?でもアルジン、私みたいな欠陥品が手を貸したところで、」

「お前は欠陥品なんかじゃない。それを今から証明してやる」

 心があることで欠陥だというなら、心の力を見せてやる!

 気合いを入れ直して、俺はデベロッパーに剣を向ける。

「覚悟しろよ、デベロッパー。今からお前をぶっ飛ばしてやる」

 俺は【四色気・赤青黄緑】を発動させたまま、デベロッパーに全力で向かう。

「人間如きが、このデベロッパーに敵うと思うなよ!」

次回予告

『4-3-23(第353話) 心を持った魔道具、レンカ』

 彩人が魔道具と闘っている中、デベロッパーの言葉に激怒し、殴りつける。その後、メイキンジャーとパラサイダーに許可をもらってから、デベロッパーの相手をし始める。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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