4-3-21(第351話) デベロッパー・ヌル
「屁理屈だと!?て、今はそんな短小なことはどうでもよい!!」
そう言うと、デベロッパー・ヌルは俺を指差す。
「こいつは一体何者なのだと聞いている!!??」
何故か激昂しながら聞いてきた。
(何者と言われてもな・・・)
正直、自分でも答え辛い質問内容だ。う~ん・・・。
「ただのボ、冒険者だ」
思わずボッチ、と答えてしまいそうになったが、咄嗟に冒険者と答える事がなんとか誤魔化すことが出来た。危なかった。
「そんな嘘を見抜けぬほど、我は無知ではないぞ!?」
俺の言葉に、デベロッパーはもっと激昂した。
(ええ・・・)
そんなことを言われても困るのだが。じゃあ自分の事をどう言えばこいつらは納得してくれるんだ?素直にボッチです、とでも言えばいいのだろうか?
「その通りです。奴はただの冒険者ではありません」
そんな時、メイキンジャーがヘルプしてきた。俺はただの冒険者だと思っているのだが、違うのだろうか。
「奴は我が主、そして我々と同じ力を秘めた冒険者です」
「そうパラ。だからこそ、あの【条件結界】を突破することが出来たパラよ」
(え?何故ここで【条件結界】の話が出てくるんだ?)
なんとなく、【条件結界】で定めた条件が、俺の力と関係してくると察しはつく。けど、俺にそんな驚くような力があるのか?とても思えないんだよな。
「くそ!まさか我らと同じ力を秘めている者がいるとは・・・!」
デベロッパーは俺を見て悔しそうにしていた。
「だが、お前らがここまで来たからと言って、我が貴様らの言葉を信じ、素直に従うなんて迷信、信じているわけではあるまいな」
「相変わらず、主の言葉しか信じない猿ですね」
「ほんっと、そういう屁理屈で融通がきかず、主の言葉を直接聞かない限り動こうとしない頑固な性格、嫌いパラ」
「なんとでも言え。我は主の命に従い、魔道具の製作に集中しているだけである」
「・・・本当に主の口から出た主の言葉以外信じませんね」
「パラ。だからパラ達は毎回、こういう方法をとるしかなくなるパラ」
「・・・はぁ。毎度毎度力で無理矢理連れて行こうとするなんて。なんて野蛮なのでしょう」
えっと・・・?つまりこれから、俺、メイキンジャー、パラサイダーの1人2匹と、デベロッパー1匹の戦いか。ゴーレム型の魔道具は見たところいなさそうだし、かなりこっちが優勢だな。
「・・・相変わらず学びが無いのか?これだから無学な者どもは」
デベロッパーはため息をつきながら、白衣みたいな衣服のポケットを漁り始める。そして、取り出した何かを投げた。
「こい!我が魔道具よ!」
そう言うと、何かが大きくなり、ある形を成してく。俺はその形に見覚えがあった。
(あれ、レンカだよな?)
見た目はレンカそのものだ。つまり、ゴーレム型の魔道具という事だ。メイキンジャーとパラサイダーの言っていたことは本当だったんだな、別に信じていなかったわけではないけど。
「あの時と同じように、この魔道具で貴様を思う存分叩きのめし、我と貴様らの違いを講義してやるわ!」
ゴーレム型の魔道具は、メイキンジャーとパラサイダー目掛けて拳を振り下ろし始めた。二匹は、何も動こうとしていなかった。理由は簡単だ。
「ふん!」
俺がゴーレムを吹っ飛ばすと確信しているからだろう。確信しているから、無駄に動かないようにしたのだろうな。
「まあまあの速さですね」
「少し遅いパラ」
人が助けたのに文句言いやがって!これが終わったら文句の一つでも言ってやる!
「こっちは、俺がなんとかする!だから、十分でなんとかしてくれ!」
俺は目の前のゴーレムから目を離さず、二匹に大声で伝える。
「十分ですか。いけますか?」
「パラ。まったく問題ないパラ。むしろお釣りでお茶を沸かせるパラ」
上等だ。
「ははは!!単なる人間如きにあの我がゴーレムを止められると?」
デベロッパーは高笑いを始めた。俺、そんなにおかしいことを言ったのかね。笑いのセンスが分からん。
「そのゴーレムは、我の力を出来るだけ再現したものなのだよ。貴様如きが相手出来るなど思うなよ?」
「!?」
な、なんだと!!??このゴーレムが、メイキンジャーとパラサイダーと同等の能力を秘めているというのか!?
(無茶苦茶だろ!?)
前、洞窟で戦った時、尋常じゃない再生能力が厄介だった。今回は再生能力だけでなく、戦闘能力も尋常じゃないくらいにやばいのか。
(でも、やらなきゃな)
ここまで何もしてこなかったわけじゃない。【色気】を多少極めたし、ザッハとの特訓のおかげで、【色気】の発動時間が延びたんだ。無様に負けるつもりはないぞ!
「【四色気・赤青黄緑】!」
さぁ!今の俺が出せる最強の【色気】で、このゴーレムを凌駕してみせる!
「行くぞ!」
俺はゴーレムに剣を向け、ゴーレムに急接近した。
こうして、俺とゴーレムの戦いは始まった。
次回予告
『4-3-22(第352話) 戦闘中に聞いた言葉』
彩人が魔道具と闘っている中、メイキンジャーとパラサイダーはデベロッパーと話をしていた。その話のある内容に、彩人は激怒する。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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