4-3-19(第349話) 【条件結界】を破る鍵
時刻は少し前に遡る。
「ふぅ。やはり隠し通路はありませんか。そちらにはありましたか?」
「こっちはないパラ。そっちもないパラか?」
「ええ」
「ということはつまり、」
「この【条件結界】を突破するしかない、ということになりますね」
「はぁ」
メイキンジャー・ヌルとパラサイダー・ヌルは最初、目の前で展開している【条件結界】を強行突破しようとしたのだが、出来なかった。なので方法を切り替える事にした。
それは、抜け道を探し、【条件結界】を破らずとも奥に入ることである。そして2匹は抜け道を探していたのである。
「それで、どうするパラか?」
「力で破ろうにも、時間がかかり過ぎてしまいますし・・・」
「かかり過ぎるというより、破れないんじゃないパラか?」
「…そんな細かいことはどうでもいいのです。今はこの【条件結界】をどうにかすることが最優先事項です」
「…分かったパラ」
パラサイダーは、メイキンジャーの言葉に違和感を覚えつつ、現状をどう乗り切るか考え始める。
「そういえば、無魔法に適性がある者は、本当にパラ達以外、いないパラか?」
「ええ、そのはずです。何せ、無魔法に適性を持つには、生半可じゃない孤独を受け続ける必要があるのです」
「そんな者がいるなんて、主やパラ達以外いるわけ・・・、」
そこでパラサイダーは、ある人物を思い出す。
その人物は、緑の国で戦った青年。自身との戦いで負けはしなかったが、どこか他の人物と異なる何かを感じていた。
「?どうかしましたか?まさか、心当たりがあったとでも言うのですか?」
「…それに近いものはあったパラ」
「?どういうことですか?」
「実は・・・、」
パラサイダー。ヌルは、緑の国で戦った青年について、メイキンジャー・ヌルに話す。
「・・・なるほど」
そしてメイキンジャー・ヌルも、ある人物を思い出す。
その人物は、青の国で戦った青年。【色気】を使わず、油断していたとはいえ、自身を窮地に追い込んだ人物であった。
「・・・ん?」
メイキンジャー・ヌルが青の国での戦いを思い出した時、青年が手にしていた剣を思い出す。その剣はとても特徴的だったので思い出せたのである。
「もしかしてその青年と言うのは、神色剣を持っていなかったか?」
「神色剣?・・・そ、そうパラね!なんで・・・まさか!?」
「ええ。あなたと私で、同じ人物を考えているようです」
そして、メイキンジャーとパラサイダーは気づく。互いが考えている人物が同一人物であることに。
「あ奴ならもしかしたら、」
「そうパラね。いけ好かない奴だったパラが、最も可能性が高いパラ」
「ですが、この周辺に来る、なんて都合のいいこと・・・、」
「起きているパラよ」
「何ですって?」
「さっき【寄生】していた魔獣達の視界を共有してみたところ、あいつに似た背格好の人間達がこの近くに来そうなことが分かったパラよ」
「そうですか。そうなると、あの者を上手く利用すれば、」
「パラ。もしかしたら、主の手を煩わせることなく、あの偏屈猿を主の元へ連れ出せそうパラ」
「その案でいきましょう」
「パラ」
時間経過。
「そろそろ頃合いパラね」
「そのようです」
パラサイダーとメイキンジャーの視界に、彩人達が映るようになった。
だが、2人は不満を抱いていた。
「あ奴以外は邪魔ですね」
「そうパラね」
「ご退場願いますか」
メイキンジャーが一言言うと、
「分かったパラ」
パラサイダーはメイキンジャーの言葉に納得した。そして、ある青年が歩き始めたところで、青年本人に強い殺気を送る。
少し時間が経過。青年は強い殺気でやばい何かが森の奥にいることが分かり、青年以外の人物を引き上げさせた。
「どうやら、私達の意図を汲んでくれたようです」
「あいつにも考える知恵、力の違いを認識する能力が備わっているようで安心したパラ」
そして青年は、目を赤くして足に力を入れる。
「ほぉ?あの者は【色気】を使えるのですか。あの目から察するに【赤色気】ですね」
「緑の国で見た【色気】より洗練されているように見えるパラ」
青年は有無を言わさずメイキンジャーとパラサイダーの前に到着し、
「よぉ」
と言う。2匹はそんなことを言う目の前の青年に対し、
「ええ」
「やっときたパラか。遅いパラよ」
まるで旧友のように声をかけたのであった。
次回予告
『4-3-20(第350話) 2匹からの提案』
彩人はメイキンジャーとパラサイダーに意図せず再開する。彩人は2匹に戦闘態勢をとるが、2匹からは、彩人が想像していないことを提案される。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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