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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 魔道具であるレンカの黄朽葉な心
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4-3-14(第344話) アイテムレーダー

 発見した道に、特に大きなギミックは無かった。なので俺達は、気を付けながらも無事、ひらけた場所に到着した。

「どうやらここが行き止まりらしいな」

「みたいだな。レンカはこの場所に来て何か思い出すことはないか?」

「・・・いえ、特にありません」

「そうか」

 おそらく、レンカがここに来るのは初めてなのだろう。それにしても、レンカの創造主?は一体何の目的でこの隠し部屋を作ったのだろうか。

「それより、この部屋を漁って、何か手掛かりがないか探そうぜ」

「だな。レンカも探すぞ」

「はい!」

 こうして俺達は、レンカの創造主?の手掛かりになる何かを探し始めた。


 手がかりを探し続けた結果、

「結局、これだけかよ」

 一枚の紙らしき平べったい何かと、丸い何かの計2つである。

 紙らしきものは、何か書いているのだが、解読出来ない。字が凄く汚いのか、俺が読めない文字で書かれているのかは不明だが、とにかく読めない。俺が書いた文字も結構汚いが、ここまでじゃなかったはず。ここに書かれていることは読めないからな。俺が書いた文字はまだ読めたからな。

 後はこの丸い何かだな。これは・・・何?本当に分からない。なんでこんなものがここにあるのだろうか?用途が不明過ぎて怖い。

(あ)

 丸い何かにはどうやらスイッチっぽいボタンがついている。これを押して・・・あ。押しちゃった。

(!?)

 すると、何か点が7つ現れた。7つあるうちの1つは、この中央にあるみたいだ。他の6つは、中央に映っている1つの点とは異なる場所にあるらしく、距離が離れているように見える。

(あれ?)

 俺がこの丸い何かを持ちながら考えつつウロウロしていると、中央にある点と、6つ集中している点との距離が近くなったり遠くなったりした。まさかこれ、中央で光っている1つの点は、俺の現在地を示しているのか?

(試してみるか)

 俺はまず、ひらけた部屋の端に行く。次に、端から端へ移動する。この際、丸い何かに表示している点の位置を常に確認する。

(やっぱり)

 この中央に位置している1つの点はおそらく、この丸い何かを示している。後の6つは推測だが、この丸い何かと同様のものを示しているのだろう。

「お前はさっきから何をしているんだ?」

「さきほどからアルジン、おかしいです」

 俺がウロウロした後に考察していると、ザッハとレンカが俺の近くに寄ってきた。そこで俺は2人に、自身が得た情報と、情報を元にした推測を話す。

「・・・なるほどな」

「確かに。流石はアルジンです」

 2人は俺の推測を肯定的に受け取ってくれた。

「それで、この6つの点が集中している個所がどの場所にあたるのか教えてくれないか?」

 俺は、6つの点が表示している個所を2人に見せる。

「俺の記憶が正しければ、ここには何もなかったはずだ」

「レンカはどうだ?」

「私もザッハさんと同意見です、アルジン」

「何もない、か」

 それじゃあ何故、何もない個所に6つの点が位置しているんだ?何も無いなら点なんて映らないはず。いや、まてよ?ザッハやレンカにとって何もないとしても、これを作った創造主?にとっては何かあるのかもしれない。何かについてはよく分からないが。

「それで、そっちはどうだった?」

 俺は、今ザッハが持っている紙みたいな平べったい何かを指差す。

「ああ。何かの使い方が記載されていたぞ」

「何か?何かってなんだ?」

「何かに関する記載はなかったが・・・、」

 ザッハは、何やら答えを言いきらなかった。何か言いたそうにしているが、何故言い切らない?

「おそらく、それの使い方かと思います」

 レンカは、俺が今持っている丸っこい何かを指差す。これの使い方を記した紙。さしずめ、取扱説明書、とでも呼称しておくか。

「なるほど。それで、なんと書いてあるんだ?」

「はい。それではこれに記載していたことを伝えますね、アルジン」

 そして俺はレンカから、取扱説明書に記載していた内容を聞き出す。ところで、よくあの文字を解読出来たな。

 レンカから話を聞くと、取扱説明書には、この丸っこい何かにある固有名称がつけられているらしい。

 その固有名称とは、【アイテムレーダー】。設定次第で色々な魔道具を探すことが出来るらしい。

「これによりますと・・・今示している8つの点は、このアイテムレーダーを作った方の魔道具を示しているらしいです。いずれもお手製のものを表示しているらしいです」

 どうやら、このアイテムレーダーの持ち主はこのアイテムレーダーの他にも6種類魔道具を作っていたらしい。となると、何故このアイテムレーダーだけここにあるんだ?普通、8つ全部持っていくんじゃないのか?まぁ、これだけここに置いておかないといけない事情でもあったのかもしれないが。ちなみに、設定次第で別の魔道具を表示させることも可能、という記載はあったらしい。だが、設定を変える具体的な方法が記載しておらず、現在、設定を変更することは不可能に近いとのこと。

「他には何か書いていたか?」

「いえ。アイテムレーダー以外のことは特に記載していませんでした」

「分かった」

 となると、手がかりはこのアイテムレーダーだけ、ということだな。

 ・・・ん?

「ちょっと待て」

「どうかしましたか、アルジン?」

「今さっき、8つの点って言わなかったか?」

「はい、言いました」

「これ、7つしか表示していないんだが?」

 俺はレンカとザッハにアイテムレーダーに表示している全ての点を見せる。

「・・・あれ?おかしいですね」

「確かに変だな」

 う~ん・・・。どういうことだ?

 ・・・駄目だ、分からん。こういう時は現実逃避だな。ひとまず、残り1つの点に関しては保留だ。

「とりあえず、首都に戻ってリーフ達と合流しよう。詳しい話はそれからだ」

「分かりました、アルジン」

「分かった」

 こうして俺、レンカ、ザッハは洞窟を抜けてルリ、モミジと合流する。洞窟の出入り口から魔獣が襲いかかってこなかったあたり、2人はきちんと仕事をしていたのだろう。てっきりルリがノンビリキノコ鍋でも食べているだけかと思ったが、そんなことはなかったらしい。

「あ、お兄ちゃん!おかえり~♪」

「アヤトさん、お疲れ様です。成果はありましたか?」

 2人は洞窟前で待っていた。おそらく、洞窟内に魔獣が侵入しないための位置どりなのだろう。

「お二人は一体、何をしているのです?」

「ん~?美味しいお鍋を作る準備~♪」

「アヤトさん達はきっと、お疲れでしょうから、私達でご飯の準備をしていたのですが、ご迷惑だったでしょうか?」

 それも、ご飯の準備をしながら。ご飯の準備はおそらく始めたばかりだろうな。なので、ご飯の準備に気を抜いてうっかり魔獣を洞窟内に入れてしまった、なんてことはない。だって、俺達はここまで魔獣に遭遇していないのだから。そして、ルリとモミジは俺達のことを思い、ご飯の準備をしてくれた。これを喜ばずして、何を喜ぶべきなのか。

「ありがとな。ルリ、モミジ」

 俺は2人に感謝を伝える。

「えへへ~♪」

「い、いえ!?私はただ、アヤトさんのことを思って・・・!?」

 ルリは照れ、モミジは挙動不審になる。

「それで、これからどうするつもりだ?」

 どうする、か。確かに、ザッハの言う通りだ。これからどうするかね。

 ひとまず、ここで休憩と称し、2人が作ってくれた鍋でもいただくとするか。俺がそう提案すると、

「そうか」

「アルジンがそう言うのであれば、私はそれに従います」

 相談した結果、ここにいる全員で一度、キノコ鍋を食べてから戻ることにした。それにしても、2人が作ってくれたキノコ鍋、美味かったなぁ。ちゃんと出汁の味が出ていたし。

次回予告

『4-3-15(第345話) 調査結果の報告』

 調査を終えた彩人達はギルドに戻り、リーフ達と合流し、互いの調査結果を共有する。そこで彩人は、リーフ達からある報告を受ける。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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