4-3-12(第342話) 再びの崖登り
翌日。
俺達は2手に分かれて行動を始めた。
リーフ、イブ、クリム、クロミルの4人は、町に残って情報収集してもらうことにした。主に、レンカを作った職人に関する情報である。
それで俺、ルリ、モミジ、レンカ、ザッハはというと、
「本当にこれをお前らは登ったのか?」
「ああ」
「うん!」
「アヤトさんのおかげです」
レンカを見つけた崖の前にいる。
俺達は、レンカを見つけた洞窟に再度向かい、レンカを作った創造主?に関する情報が残されていないか調査するためである。
「この崖、ほとんどの人が登れないことで有名なんだぞ?」
「え?そうなの?」
俺とモミジで難なく登ることが出来たんだけど。俺とモミジで、足場に大量の植物を生やし、それをエレベーターのようにすることで、俺は難なく登ることが出来た。こんな崖を魔法無しで登るとか、どれほどのクライミング技術が必要なのだろうか。だが、そんな心配はない。今の俺には魔法という、ロッククライム技術以上に便利なものがあるのだ!今の俺には、安全安心にこの崖を登ることが出来るのである。
「だがまぁ安心しろ。俺とモミジがいれば、この崖を簡単に登ることが出来るぞ?」
「はい!アヤトさんと一緒に頑張ります」
「・・・お前って、色々出来るのな」
「?そんなに出来ないぞ?長年ずっと独りだったし、多くの人は俺をいじめるくらいだったからな」
そもそも、俺が何でも出来たら、友達作りに苦労しなかったことだろう。
「お前をいじめるって。そいつら、相当の馬鹿だな」
「お兄ちゃんをいじめた奴なんて、全員死ねばいいのに」
「アヤトさん・・・お辛かったんですね。私もその気持ち、よく分かります」
ザッハはきっと、今の俺をいじめていた、と勘違いしているのだろう。俺がいじめられたのは地球にいた時、魔法なんてなかった世界だからな。
ルリは随分と物騒なことを言うんだな。まぁ、俺をいじめていたやつらにいい感情なんて持ち合わせていないから、ルリが俺をいじめていた奴らを殺そうと何も思わないな。そもそも、俺をいじめていた奴らはこの世界にいないので、殺すことは不可能だろう。
モミジは・・・ありがとう。俺の何気ない一言でそこまで泣いてくれるとは。あの時の俺にモミジがいてくれたらどれほど救いになったことやら。
「て、そんなこと、今はどうでもいい。みんな、集合!」
俺は気を取り直して、出来るだけ明るく振る舞う。
「それじゃあ行くぞ!モミジ、手伝ってくれるか?」
「はい!」
俺とモミジは地面に手を合わせて、地面から植物を生えさせる。その植物はだんだん伸び、俺達を上部へ運んでいく。まるでエレベーターである。
「お前ら、本当に凄いな・・・」
なんか、ザッハが呆れているように見える。俺からすれば、ギルドで信頼あるザッハの方が凄いと思うのだが。
「モミジお姉ちゃん見て!地面がどんどん遠くなっていくね~」
「流石はアルジン。こうやってこの崖を登ったのですね」
レンカはどこか納得していたようであった。流石とか言われたけど、これって褒めてる?それとも貶している?一体どっちなのだろうか?褒めていたら嬉しいのだが、貶していたとすれば・・・怖くて聞けないな。
こうして崖を登りきり、俺達は洞窟前に到着した。前に来た時とほとんど変わらないように見える。ということは、ここに来る奴はほとんどいないのか。てっきり空から飛んでくる魔獣達の溜まり場になっているのかと思ったのだが、違うみたいだ。
「あー!茸が生えてるー!食べたーい!」
ルリは滝の近くに生えている茸、確かタキノコ、だったか?一目散に向かって行った。
「ルリさん、待ってくださーい!」
ルリの後を追うかのように、モミジはルリを追いかけていく。俺達も、2人の後を追いかけていった。
「前みたいに茸鍋が食べたいんだけど、食べていい?」
茸採集しながらルリが俺に尋ねてきた。もう食べる気満々じゃないか。仕方ない。
「ルリとモミジはここに残って、ここに来るかもしれない魔獣の討伐を頼む」
「はい!」
「お兄ちゃん分かったよ!ここで鍋を食べながら待っているね♪」
と言いながら、ルリは容器を用意し始めた。アイテムブレスレットにしまってあったのを取り出したんだろうな。
「それじゃあ俺達は行ってくるから、頼んだぞ」
俺が2人に声をかけ、洞窟の中に入っていった。
次回予告
『4-3-13(第343話) 洞窟内部の【条件結界】』
犯人逮捕に向けて彩人達は、レンカを見つけた洞窟内部に入る。洞窟内部は、前回とほとんど変わっていなかったが、ザッハは、彩人が気付かなかったことに気付く。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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