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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 魔道具であるレンカの黄朽葉な心
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4-3-4(第334話) 義手作り

 ギルドでの依頼が終わり、報酬を無事に受け取った俺達は、半分を受け取ったルリは、

「それじゃあお兄ちゃん、ルリはヨヨちゃんと遊んでくるねー♪」

 と言い、ギルドを颯爽と翔って行った。建物内で走ると危ないと言おうとしたのだが、言う暇が無かった。きっとルリはそれほどヨヨと遊ぶのを楽しみにしていたんだろうな。おそらく、ヨヨの近くにユユ、ヤヤがいるから万が一にも大丈夫だろう。その上、ザッハまでいるんだ。そうそう遅れをとることはないし、ザッハを襲う命知らずもいないだろう。片腕を失ってもザッハは強いからな。そして俺は、ザッハの義手を作ってもらうべく、良い腕の職人を探していたのだが、

「アルジンは一体、何を作ろうとしているのですか?」

 と、レンカがゴーレムリングから話しかけてくる。俺はゴーレムリングから話しかけてきた状況に驚きつつも、俺が今したいこと、義手を作ることについて話をする。すると、

「義手、ですか・・・。義手を作る際に必要な素材があれば作れますが、あります?」

 みたいなことを言ってきた。まるで、レンカが義手を作れるような口ぶりに、

「お前、義手なんて作れるのか~?」

 俺はからかい口調で質問する。

「え?作れますよ?こう見えても私は道具なので、道具全般のことは出来るのです!」

 と、ゴーレムリングから姿を現し、胸を張って宣言した。俺は確認のため、義手の設計、製造が出来るのか聞いてみたところ、

「問題なく作れます!」

 自信満々に言ってきた。こいつ、何気に高スペックなんですけど。ちなみに、俺の魔銀製の剣を見せ、この剣も作れるのか?なんて聞いてみたら、

「材料があれば作れますけど、その剣がどうかしたのですか?」

 ・・・まじか。こいつまじか。

 つまり、レンカがいれば、道具関連の悩みは大抵解決出来る、ということではなかろうか。ちなみに、義手や剣の修理が出来るのか聞いてみたら、

「さすがに粉々だったり跡形もなかったりしていれば修理不可能ですが、少し欠けてしまったり変形してしまったりであれば、修理可能です」

 と、答えてくれた。俺は内心、レンカの高スペックに感謝し、ザッハの義手作成の協力を要請する。

「もちろんいいです!何せ私は、アルジンの道具なので」

 そう言ってくれたので、俺はレンカに協力をお願いし、共に義手を作り始める。

 と言っても、メインはレンカに任せている。

 何と言ったって、義手だからな。人の大切な器官なのだから、どこかの無知野郎よりベテラン様に任せるのが一番なのである。そう言えば、義手を作る専門職があったな。確か名前は・・・義肢装具士、だったか?俺もよく覚えていないが、俺も一時期欲しかった記憶がある。俺の場合、義手じゃなくて義理の友達が欲しかったな。それくらい、語り合える同年代の友達が欲しかったんだよな。

「アルジン、大丈夫ですか?何だか辛そうです」

「…何でもない。ちょっと考え事をしていただけだ」

 レンカを心配させてしまったので、この話題について考えるのは控えるとしよう。考えても悲しくなるだけだからな。それにしてもレンカ、本当に道具に関して博識なんだな。どんどん義手を形作っていくな。なんか色々ギミックを詰め込んでいるみたいだが、俺にはさっぱり分からん。

「アルジン。この魔銀に魔力を流し込んでください」

「分かった」

 俺はレンカの指示通りに組み立てたり、魔力を流し込んだりと、レンカの手足となって動いている。まるでレンカの道具だ。…道具の道具って、俺は一体何なのだろうか?道具の奴隷?よくわからないことを考えながら、俺はレンカの指示通りに動いていく。

 そして動き続ける事数時間。

「アルジン、魔銀製の核は完成いたしましたか?」

「レンカの言う通り、魔力を大量に注ぎ込み、出来るだけ球体に近づけたが、これでいいのか?」

「・・・はい!さすがはアルジンです!最後にこれをはめて・・・出来ました!」

 ついに、レンカと俺の初共同作業で、ザッハの義手が完成した。魔銀をメインにあしらったためか、義手は銀色に輝いている。

「ふっふっふ。この義手に防水や防火等、あらゆるものに耐性を持たせ、長期使用が可能となっています。それに、簡単な手入れをするだけで、さらに長期間使えるよう施しました」

「なるほど」

 よくは分からないが、なにやら凄く高性能だという事は分かった。

「お前にも、後でお礼をしないとな」

「いえいえ。これくらいお茶の子さいさいでございます」

「・・・あ、そう」

 時々、レンカの使う言葉がおかしい気がするのだが、俺の気のせいか?気のせいにしておこう。

(だが、お礼は何にするかくらいは考えておくか)

 もしレンカの気が変わり、何かお礼を望んだとしても対応できるようにしておこう。

「アルジンの作る美味しいご飯を供給していただけるのであれば、他に何もいりません」

「・・・なぁ?お前って道具、なんだよな?」

「?ええ、道具ですけど?」

「道具って、飯食うの?」

「アルジンは何を言っているのですか?普通、道具はご飯なんて食べませんよ♪」

「じゃあなんでお前は飯を食うんだ?」

「そりゃあ道具は道具でも、アルジンの道具ですからね」

「・・・」

 え?何?俺の道具だと飯を食うの!?よくわからない話をされ、頭がこんがらがった俺であった。

「そういえばアルジン、風の噂で聞いたのですが、近頃、新国王がお披露目会をするらしいですよ?」

「え?そうなの?」

 ・・・あ。そういえばヤヤが新国王になるんだったな。なんで忘れていたのだろうか。俺も年かもしれない。

「…アルジン」

「な、なんだよ」

「少しは他の人達に興味、持ちましょうね?」

「うっせー。ほっとけ」

 俺はレンカに諭されながら、気にせずその日を過ごしていった。

次回予告

『4-3-5(第335話) 式典』

 ヤヤは黄の国の新国王となる。そして、新国王が決定した記念として、式典が行われた。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

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