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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 魔道具であるレンカの黄朽葉な心
333/546

4-3-2(第332話) 黄の国での店番~1日目~

 ヤヤ達が王城でヤユヨカウンセリングの開業を目標に動いている頃、俺達はただ王城で食っちゃ寝していたわけではない。本当はそんな自堕落人生を追う買いしていたのだが、そんな人生をおくったところで所持金は増えない。なので俺は、

「らっしゃいませー」

 冒険者ギルドで依頼をこなしていた。今行っている依頼は魔獣討伐の依頼ではなく、店番の依頼である。なんでこの依頼をチョイスしたのか。それは・・・なんででしょう?特に理由はない・・・ことはない。ただ依頼書が周囲の依頼書より古くなっていたから、かね。たんなる好奇心だな。そして、

「らっしゃいませー♪」

 現在、ルリも一緒にこの依頼を受けている。何故ルリが一緒に受けているかは知らない。俺がこの依頼を受けようとした時、「ルリも一緒にやりたーい」と言ってきたので、事前に依頼主に相談し、ルリ同伴でも可能かどうか聞いてみたところ、可能と言われたので、こうしてルリと一緒に依頼、店番をしているのである。

 今回の依頼内容は、店長が留守の間、この店の従業員として働き、この店を切り盛りしていくことである。店長が留守といっても二日だけらしいので、この二日間を乗り切れば依頼達成なのである。依頼内容は、店に来てくれるお客様に商品の販売、会計等である。まぁ、地球のコンビニと作業内容はさして変わらないだろう。レジがない分、自力で会計を計算しなくてはならないのが面倒くさいなぁ、なんて考えていたら、

「会計の時は、この【魔導計算装置】を使ってくれればいい。使い方は・・・、」

 魔導計算装置、という装置が計算してくれるらしい。見た目がレジにそっくりなのは気のせいだろうか。俺は店長から魔導計算装置の使い方を簡単に教わり、店を切り盛りしていった。

「お兄ちゃん」

「なんだ?」

「人、来ないねー」

「だな」

 こうして俺は、ある店で二日間の店番をすることになったのだが、客が一向に来ない。店番を始めてから数時間経過しているが、客が一人も来ない。本当に来ない。なんなら、ここで一度全裸になってから服を着ても問題なさそうなくらいだ。実際にそんな変態行為はしないのだが。

「そういえばお兄ちゃん、ギルドに行ったら色んな人が頭を下げていたよねー」

「ん?まぁそうだったな」

 ルリが言っていることは嘘ではない。

 

 俺達がギルドで依頼を探していると、

「あのー?アヤト様、でいらっしゃいますか?」

 突然声をかけられたのである。

「はぁ。そ、そうですが・・・、」

 俺は声をかけてきた人物の顔を見たのだが、俺はその顔に、その人物に心当たりはない。俺は何度も自身の友好関係を脳内で確認したのだが、それでも心当たりはない。一体誰だ?そんな風に考えていると、周囲の冒険者達が俺の周辺に集まり始まる。それも、姿勢を低くして。

「「こ、この前はすんませんでした!!!」」

「は?」

 俺は何かしら事情があると考え、ルリに十人分のホットケーキを与え、これで時間つぶしをお願いし、その間に話を聞くことにした。それにしてもルリ、十人前のホットケーキを渡されても、「これ、全部食べていいんだよね!?やったー♪」と、喜んでくれた。普通、大食い関連の罰ゲームだと思われても仕方ないと思うのだが、やはりルリの胃袋はおかしい。まぁ今更だし気にしないでおくか。ルリが食べ始めたところで、俺は冒険者達から話を聞いた。

「それで、どうして俺に頭を下げたんだ?」

「そ、それは・・・、」

 冒険者の一人が何か話すのかと思っただが、理由を話さずずっとモジモジしている。男の羞恥顔なんてあまり需要ないよな、なんて考えていたら、他の冒険者が話してくれた。

「だ、だってアヤト様はこの国で最も強い冒険者であるザッハ様を倒した最強の冒険者で、しかもその・・・私達が一度、決闘場で襲ってしまいましたから謝ろうかと」

 ・・・。俺は冒険者の話を聞いて一言。

「なるほど。報復が怖いからその前に謝罪というわけか」

 俺がこういうと、

「「「!!!???」」」

 全員、体を大きく震わせた。もし俺が目の前でこいつらを襲っても、こいつらは何を言えないってわけか。それにしても、決闘場で襲ってきたやつらってことは…そうか。あの時、マーハンが呼んだ冒険者達がこいつらだったのか。名前はあの時聞いていなかったので思い出せないが、そういえば見覚えのある顔が・・・あるような、ないような?う~ん、分からん。やはり俺は、人の顔を覚えるのは苦手だわ。3次元限定、だけどな。2次元の推しキャラなら1回見ただけで覚えられるんだけどな。

(特になんとも思わんな)

 こいつらがあの時俺を襲ったのかもしれないが、特に嫌悪感が湧かない。襲われた事実は覚えているのだが、今更襲われたやつらに報復する気はない。元凶のマーハンをぶちのめしたからかもしれないな。それとも、俺の気持ちに整理がついていないからか?まぁいい。俺の現心境と、

「今後、俺の大切な人にちょっかいを出したら、拷問以上の苦しみを味合わせてやるからな?」

 今後襲われないよう忠告の言葉を述べておいた。何の感情も抱いていないからと言って、俺の大切な人に手をだされても困るからな。念には念をいれるために発言したのだが、

「「「は、はい!!!」」」

「・・・」

 なんか、発言を間違ったかもしれない。さっきの発言、どうみても普通の人が言う言葉ではないと思う。思うけど・・・まぁ、大切な人が守れるのであればいいか。俺はこれ以上深く考えず、店番の依頼書をとり、店番の依頼を受ける事に決めた。


「なんであの人、お兄ちゃんに謝っていたんだろうね?」

「・・・さぁ?俺も話を聞いたけど、よく分からなかったわ」

 本当は知っているが、ごまかすことにした。ルリが知らなくても問題ないだろう。

「へぇ」

 俺がそう答えると、ルリは無関心になり、

「ねぇねぇ?この魔道具?触っていい?」

「触るのはいいが、変に起動させるなよ?」

「うん!」

 さ、引き続き店番をしよう。それにしても、さっきから客が来ないな。この店、ずっとこの調子なのか?なんて考えながら、俺達は店番を続ける。

 そして、店番1日目が終わる。

 来客数、0人。

 この店、近いうちに閉店するのではないだろうか。そんな心配が脳内をめぐってしまう日であった。

次回予告

『4-3-3(第333話) 黄の国での店番~2日目~』

 彩人はギルドでとある店の店番をし始めてから2日目。彩人達が店番している店にある者が来店する。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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