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色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 メイズのような意志を持つ商王と三姉妹
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4-2-42(第316話) 決闘の準備~ヨヨ~

「さぁヨヨちゃん!今日から頑張っちゃいますよ!」

「うん!ヨヨ、頑張るヨ!」

 ヤヤ、ユユが特訓に励んでいる中、三姉妹の三女、ヨヨも特訓に励もうとしていた。それも、クリムの手によって。

「で、ヨヨちゃんは何か使いたいものとかある?」

 クリムはリーフやイブ同様、戦いでどんな武器を使いたいのか聞く。

「う~ん・・・」

 ヨヨはしばらく悩んだ後、

「ヨヨ、何があるか分からないから、これでいきたい!」

 と、ヨヨは自身の拳を突き出す。

「なるほど。では、拳や腕の守りを強化した方がいいかもしれません。となると・・・、」

 クリムはブツブツ言い出す。

「クリムお姉ちゃん?大丈夫?」

 クリムのいつもとは異なる様子にヨヨは心配し、クリムに声をかける。

「・・・ん?あ、ああ。大丈夫よ!」

「大丈夫なの?」

「ええ!今、ヨヨちゃんに似合いそうな武器を考えていたの!」

「武器?」

「ええ!今からそれを探しに行きましょう!」

「今から?」

「ええ!きっとヨヨちゃんに似合う武器が見つかるわ!」

 そう言い、クリムはヨヨの手を引く。

「だから、行きましょうか?」

「うん!」

 ヨヨの目は、新しいおもちゃを買い与える直前の子供のように、期待を膨らませていた。


「ふんふ~ん♪」

「いや~♪ヨヨちゃんに合ういい籠手が見つかって良かったね♪」

「うん!」

 ヨヨが今腕にはめている籠手は、肘から手の甲まで守ってくれる代物である。だが、素材は金属でない軽めの革を使用しているため、金属製の防具より軽めに出来ている。だが、それでは攻撃力、防御力に不安が残るため、一部に金属を使い、攻撃力と防御力を高めている。戦闘経験が少ない初心者にはおすすめの武器なのかもしれない。ちなみに、この籠手に使われている革の素材は、クマグマンだったり猪だったり爪牙狼だったりする。

「さて、それではこれから特訓を始めましょう」

「わー」

 クリムの宣言に、ヨヨはこれから何が起こるのか楽しみにしている。

「ではまず、私を攻撃してみてください」

「・・・いいの?」

 ちなみに、今ヨヨは腕に籠手をつけて武装しているものの、クリムは丸腰である。流石に籠手を着けた状態で腹を思いっきり殴られればただでは済まないだろう。

「構いません」

 クリムは笑顔で対応する。

「それじゃあ、いっくよ~・・・えい!」

 ヨヨは思いっきり力を込め、クリムめがけて腕を大きく振り下ろした。

 だが、ヨヨの拳は当たることなく大きく空ぶってしまう。

「え?」

「そんな大振りでは一生私に当てる事は出来ませんよ?もっと振りを小さく」

「う、うん!」

 ヨヨはクリムの言う通り、振りをさきほどより小さくする。そのおかげで、さきほどより腕を振る速度は上がったが、それでもクリムに当たらない。

「むー」

「さぁ、私にその拳を当てて下さい。それが最初の訓練よ」

「絶対に当ててやる!」

 ヨヨは悔しそうに歯を食いしばる。だが、どこか楽しそうに口元を上げ、クリムめがけて走り出す。


 何刻経過しただろう。あれからずっと、クリムはヨヨの攻撃を躱し続けていた。クリムはヨヨの攻撃を躱すたび、ヨヨにアドバイスをし、拳の振り方を体で覚えさせるよう、何度も何度も反復させた。

 そして、数刻もずっと訓練を続けて出来たのは、ヨヨの未知なる運動能力が開花したからだろう。疲れ知らずか、後先考えずに体力を使っているのかは不明だが、この数刻の間、ずっと拳を振り、

「ヨヨちゃん、足元がお留守ですよ?」

 時にはクリムに向けて蹴りを繰り出し続けていた。

 その結果、

「も、もう無理ヨ~」

 蹴りを繰り出そうと勢いよく足をあげたのだが、途中で失速し、地面に落とす。そしてそのまま体を地面に落とし、体の疲れを地面に吸収させるように接触した。

「・・・分かったわ。それじゃあ休憩が終わり次第、また特訓よ」

 それに対してクリムは動き足りないのか、体を軽く動かすかのように拳をふるい、蹴りを空に撃ちだす。その拳や足の繰り出す速度は、ヨヨがさきほど繰り出していた拳や蹴りの速度とは比べることもおこがましいほどである。

それもそのはず。何せ、クリムは王族なのにも関わらず、王族に必要な教養をほとんど身に着けず、戦闘に明け暮れる日々を送っていた。これも、脳筋である父親の遺伝子を色濃く継いだからなのかもしれない。だからこそ、日々の鍛錬で磨き上げてきた鋭い拳、蹴りを放つことが可能となったのだ。

 それに対し、ヨヨはどうだろうか。ヨヨも体を動かすことが好きなのだが、毎日戦闘を繰り返していたわけではない。それどころか、戦闘とは無縁な生活をこれまで送ってきたのだ。そんな少女がいきなり鋭い拳や蹴りを放てる、なんてことはないだろう。

 体力の限界にきたヨヨは休憩を終え、再びクリムに殴りかかる。

「この!この!この!」

 だが、一向にクリムの体に当てる事が出来ない。クリムが紙一重でよけていることもあってか、あともう少し、あともう少しで当てられる。そんな気持ちでヨヨは何度も拳を繰り出していく。

「気持ち、緩めないで!」

「はいヨ!」

 クリムは時に、ヨヨの気持ちを鼓舞することで、集中力を切らさないようにした。

 こうして、何刻にも及ぶ戦闘訓練を何度もこなしていくうちに、

(すごい。まさかここまで仕上がるなんて)

 訓練前に放っていた蹴りとは比べられないほど鋭い蹴りを繰り出せるようになり、拳を繰り出す速度も格段と跳ね上がっていた。

 こうして、ヨヨとクリムの訓練は順調に続く。


そしてさらに日にちは経過し、決闘当日。

「よし、それじゃあ行くぞ」

「「「「「「「「「はい!!!!!!!!!」」」」」」」」」

「ニャン!」

 俺達は体調を万全に整え、決闘の場へと向かった。

次回予告

『4-2-43(第317話) 黄の国での決闘~始まり~』

 決闘の準備を始めてから数日が経過し、いよいよ決闘当日。彩人達は決闘が行われる会場に到着し、決闘に備え始める。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

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