表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 メイズのような意志を持つ商王と三姉妹
316/546

4-2-41(第315話) 決闘の準備~ユユ~

 そして、少し離れた場所にて。

「…それじゃあユユ、これからよろしく」

「よろしユ」

 イブもユユを強くしようと、様々な事を考えながら軽く挨拶する。

「…まず、ユユが使いたい武器とか、ある?」

「武器・・・、」

 ユユはしばらく考え込んだ後、

「弓、とかいい?」

 と、質問に質問で返した。

「…弓・・・」

 イブは考える。何せイブは昔、弓を何度か見て、試し打ちで何度か使ったことがあった。弓を扱うための知識は使う前に何度か教えてもらったものの、実技の方はあまり上手くいかなかったという少し辛い思いをしていた。なので、弓を扱うための知識だけはあり、その知識をユユに教える事が出来る。

「…分かった」

 こうして、イブはユユに弓を教える事にした。

 この後、イブとユユは二人で弓と矢を買い、弓を扱えるよう、イブがユユに教えていた。

「…まず、弓を構える時は・・・、」

「…違う。腕だけを使うんじゃなくて、全身で引くようにして・・・、」

「…そう。姿勢を意識して、しっかりと狙って・・・、」

 イブが付き添ってユユに時間単位で教える。

 その結果、

「こ、こんな感じ?」

「…ん♪」

 ユユは弓をきちんと引けるようになり、止まった状態で静止している対象を射抜けるようになっていた。

「…次は、止まったまま動いている対象物を射抜く練習」

「はい」

「…まずはこれを射抜いてみる」

 そう言い、イブが手から出したのは、手のひらサイズの魔力玉。この魔力玉は純粋な魔力をただ球体に凝縮しただけである。イブはその魔力玉を一定の周期で動かし始める。

「はい」

 ユユは最初、動いている魔力玉に狙いを定め、矢を射抜く。

 そして・・・外した。

「あれ?」

 ユユは何がおかしいのか分からず、何度も矢を放つ。だが、それらの矢は全て外れ、ただただ空を切り、地面に落ちていった。

「・・・」

 落ち込むユユに、

「…おそらく、的が見えた場所に撃ったからからぶれたのだと思う」

「…違うの?」

 ユユの問いに、イブは頷いてから答える。

「…的が見えた場所、的の動く速度から、的の場所を予測して撃たなきゃダメ。見えた場所に撃っても、さっきみたいに外すだけ」

「・・・なるほど。ありがとう、イブさん」

「…別にいい」

 ゆゆからのお礼の言葉に照れつつも、イブはそれを隠すように返す。それに対し、ユユは少し考え直し、弓を引き直す。

「次、お願い」

 ユユはまだ見ぬ的に狙いをしぼる。

「…ん」

 イブは再び魔力玉を一定の周期で動かし始める。

「ユ!」

 その魔力玉に矢を当てようと、ユユは弓を射続けていった。


 さらに時間が経過。

「こ、これでどうユ?」

「…ん♪良い感じ♪」

 ユユは止まっている状態であれば、例え対象物が動いていても的を射抜けるようになっていた。

「…これで次の段階に移行できる」

「次の、段階?」

 ユユはこれまでほとんど無休憩で弓を射続けていた。なので体にはもちろん、特に腕という部位に疲労が蓄積しているのだ。

「…ん。さっきは、的が動いていたけど、今度はユユが動く番。だから・・・、」

「ちょ、ちょっといい?」

 イブの提案に、ユユは割り込んで質問する。

「…ん?どうかした?」

「少し、休ませてほしい・・・」

 そう言い終えると、ユユは腰を地面に下ろし、弓と矢を手から離す。

「…分かった。時には休憩も必要」

「そ、そうユね」

 こうして、ユユとイブは一時的に休息を確保し、次なる特訓への意識を高めていった。

 一時的な休息を終え、さっそくユユは特訓を再開した。イブは魔力玉を一定の周期で動かしつつ、ユユを魔力球で攻撃する。攻撃するといっても、それほど攻撃力は無い。ないが、当たれば無傷で済むわけではない。なのでユユは必死にイブからの攻撃をよけつつ、的を狙い撃つよう、常に狙いから目を逸らさず、矢を射抜き続ける。だが、視線は的だけではなく、ユユを攻撃してくる魔力球にも気をつける必要がある。

 よって、今も特訓中のユユの現状がどうなっているのかというと、

「・・・も、もうダメ。し、死んじゃユ、はぁ、はぁ・・・」

 再びの休憩で、一歩も動けなくなっていた。その様子に警戒、という言葉はない。全身を地面に委ね、無防備を晒し続けている。

「…まだまだ」

 そんなユユに、イブは手厳しい感想を送る。

「て、手厳しい・・・」

 ユユはイブの評価にくじけそうになりつつも、弱音は吐かなかった。

 何せ、この特訓は全て、ユユのために行ってくれていると分かっているから。当の本人が弱音を吐くわけにはいかない。そうユユが考えているから。だからユユは、どんなに疲れているとしても、イブの特訓メニューに一切文句は言わなかった。感想は言うが。

「…まだやる?」

 何をしても動けなそうな様子のユユに、イブは特訓を再開するかどうかを聞く。

「や、ユ。けど、」

「…けど?」

「も、もう少しだけ、休ませてほしい。そうしたら頑張るから、必ず」

 そう言い、ユユは心から休憩を欲す。

 どうやら、心がどんなに前を向いても、体は立ち止まることを欲していたらしい。

 こうして、時に厳しく、時に休憩しながら、イブとユユは決闘に向けて、時間を消費していった。

次回予告

『4-2-42(第316話) 決闘の準備~ヨヨ~』

 ヤヤとユユが決闘に向けて特訓を行っている中、ヨヨもクリム付き添いで特訓を行う。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ