表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色を司りし者  作者: 彩 豊
第二章 メイズのような意志を持つ商王と三姉妹
310/546

4-2-35(第309話) VS宝を守る鉄壁の番人、ゴーレム

「宝を守る・・・ということは、この奥に何かあるのか?」

「分からないんヤよ。でも、何かあると思うんヤよ」

「そうか」

 と、呑気に話を続けようと思っていたのだが、

「・・・」

 上から降ってきたものの正体、ゴーレムがこちらに向かってくる。

「「!!??」」

 ヤヤとユユは、ゴーレムが急接近してきたことにより驚き、行動を一時的に止めていた。

(無理もないか)

 あの無表情の怪物にビビっているのだろう。ヤヤとユユ、戦闘経験皆無だもんな。まるで、地球にいたころの俺みたいに。

「ちょっとの間、止まってくれよ」

 俺はこの洞窟の地中から植物を生やし、ゴーレムの足に絡ませる。そのおかげで、ゴーレムの足を止めることに成功した。

(そう長く時間は持ちそうにないか)

 植物は必死にゴーレムを抑えようとしているものの、ゴーレムの強大な力には敵わないようだ。ま、時間稼ぎできれば問題ないさ。

「ヤヤ、ユユ!今のうちに早く!」

 ゴーレムを足止めしつつ、俺は後ろにいるヤヤ達の方角を見る。

「「は、はいぃ・・・」」

 弱弱しいものの、俺の言葉が通じたらしく、返事をした後、少しずつ移動を再開してくれた。だが、遅いな。このままじゃあ逃げ切る前にゴーレムの攻撃を受ける可能性がある。

「モミジ、ヤヤとユユを連れて先に行け」

「え?でもアヤトさんはどうするつもりですか?」

「俺は、」

 言葉を言い終える前に、神色剣を取り出す。

「お前らが逃げ切るまで、こいつの相手をするさ」

 さて、出来れば簡単に倒れてくれると助かるんだけどな。

「…分かりました。どうかお気をつけて下さい」

「ああ」

「さ、二人とも行きましょう?」

 さて、これで一対一。出来れば紙のように薄っぺらく、生卵のように簡単に壊れればいいのだが。

「・・・」

 ゴーレムは俺の方、ではなくモミジ達の方を見ていた。俺に興味が無いのか?・・・なんか、小学生の時、一日中無視された時のことをふと、思い出してしまった。初めてやられた時は辛かったけど、意図的にやられているとまた傷ついたな。

「なぁ?俺がお前と相手するからこっち向いてくれよ」

 と、俺は話しかける。

「・・・」

 すると、ゴーレムは一度こちらを見たのだが、すぐにモミジ達を見てしまう。まったく、俺を無視ですか。そういう行為は人を傷つけるってことに気付かないのかね。

「こっち向けよ」

 俺は【毒霧】をゴーレムとモミジ達との間に発生させる。ゴーレムの視界からモミジ達がなくなるように。

「・・・」

 こうまでして、ようやくゴーレムは顔だけでなく、体もこっちに向けてきた。やれやれ。これでようやく相手が出来る。

「さ、俺の相手をしてもらおうか?」

 俺は剣先をゴーレムに構えながら言葉を述べ、警戒し始める。

「・・・」

 ゴーレムは腕を挙げ、俺に向かって力の限り振り下ろしてくる。

「よっと」

 俺は神色剣を使ってゴーレムの拳をいなし、攻撃を受け流す。

「残念だったな」

 俺はその言葉の後、ゴーレムの体に思いっきり剣を突き刺す。

「・・・」

 ゴーレムは何もしてこなかった。

(と、念のために、と)

 俺はすぐに神色剣をゴーレムから抜き、ゴーレムから距離をとる。

「さて、と」

 モミジの方は大丈夫なのだろうか。ちょっと様子を見て・・・よし、大丈夫みたいだ。もしあっちで何かあってもモミジがいるからそうそう危ないことはないだろう。なんかフラグを立てている気がするが、気にしないでおこう。

「じゃ、俺もそろそ、ろ?」

 俺もモミジ達お合流しようとした時、

「!?」

 俺が今の今までよそ見をしていたせいか、ゴーレムの攻撃の前兆に気付くことなくもらってしまい、壁に叩きつけられる。

「ち!!」

 馬鹿が!俺って最後の最後までつめが甘いな!とどめをさし切れていなかったとか!

「さて、反省は後でするとして、今はこいつと~お?」

 あれ?ゴーレムの体、直っていないか?

 確かさっき、ゴーレムの体に神色剣で穴を開けたはず。その穴がこの時間で完全に塞がっていやがる。さっきの俺の攻撃は気のせい?幻影?それとも・・・、

「おっと」

 ゴーレムの攻撃がヌル一族の攻撃と比べて遅いが、一度でも食らえば少なくないダメージを負う事になるだろう。現に今食らったし。俺は再び神色剣でゴーレムの攻撃を受け流す。

「試してみるか」

 俺はある可能性を試すため、次はゴーレムの足めがけて神色剣を振り下ろす。

「よし」

 俺はすぐさまゴーレムから距離をとり、ゴーレムの様子をうかがう。

「・・・やっぱそっちか」

 俺によって切断されたゴーレムの足は、時間経過によって元通りになった。どうやら、自動修復するらしい。なんとも厄介な機能な事。

(さて、どうするか)

 見たところ、こいつは生き物、というわけではないから【毒霧】は効いていなさそうだし、倒そうにも何度でも回復する。いや、回復するにも回数制限があるかもしれないな。それを試すほど俺の体力が持つかどうかだが・・・。うん、諦めよう。ここでの俺の目的は、こいつの足止めだからな。

(足止め、か)

 なら、あれが使えるな。

「あれは確か・・・!?」

 おっと。俺は襲い掛かってくるゴーレムの拳を躱しながら、アイテムブレスレットからあるものを取り出し、

「これで、どうだ!?」

 俺はゴーレムに向けてあるものを向ける。

 それは、過去の俺が作っていた沼出現スイッチである。このスイッチによって出現する沼にこのゴーレムを嵌めることが出来れば、時間稼ぎも容易となるだろう。

「・・・」

 俺の予想通り、ゴーレムは沼にハマり、動かなくなった。だが、もがいてはいるようで、小刻みに震えている。

「ふ。これでお前はもう動けまい」

 と、俺は調子づき、あれなポーズをとり、勝利の余韻に浸る。

「・・・」

 なんか、虚しいな。それに独りで滑っているみたいで恥ずかしい・・・。俺はすぐにポーズを解除し、

「念には念を加えるとするか」

 さらに植物で拘束を強化する。これでゴーレムが動けるようになるまでの時間をさらに稼ぐことが出来ただろう。

「さて、」

 これでモミジの方と合流できるかね。いや、油断は禁物だ。さきほど、油断していたからこのゴーレムから攻撃をもらったわけだし。もう少しだけ様子を見ておくか。モミジ達の方は、モミジがいるから大丈夫だろう。何かあれば声出してくれるだろうし。

「ん?」

 今まで気付かなかったが、このゴーレムの額に何か書かれているな。

「何が書いてあるんだ?」

 ・・・よ、読めない。所々かすれているな。これじゃあ読み取れない。いや、頑張ればなんとか。

「これか?」

“伝承を体現せよ。前と・・・”

 これ以上は読み取れなかった。伝承を体現?どういうことだ?それに、その言葉の後の前の・・・という文はおそらく、体現しなければならない伝承の文なのだろう。だが、伝承って確か複数あるんじゃなかったっけ?それらの中から一つを見つけ、体現しなければならないのか?それに、このゴーレムの額に書かれている通り、伝承を体現したからといって何だというんだ?

「ん?」

 なんか急にぶれ始めて読みづらいなって!?

「沼が浅くなって!?」

 どうやら、俺の沼出現スイッチは時間制限で無くなるらしい。今までそれなりに使っていたのに気付かなかったわ。そして、再び動き出したゴーレムは、俺に向かって拳を連続で放つ。

「ち!」

 少しは思考する時間をくれっての!こんな願望をこいつにいったところでどうにもならないだろうが。

(それにしても、どうするか)

 何度切っても再生するゴーレムに難解な文。ゴーレムを倒するにしろ文を読解するにしろ、思考するための時間が欲しいところだ。

「ふん!」

 俺はゴーレムの攻撃を躱しながらゴーレムの体を切りつける。だが、何度切りつけても再生していく。どうやら、このゴーレムの再生回数は無限に近い、という線は濃厚なようだ。

「ち!」

 俺は余っている沼出現スイッチをゴーレムに向けて押し、ゴーレムを足止めする。ついでに植物と【空縛】で拘束力を強化しておくか。

「これでひとまずはよし」

 まずはモミジ達と合流し、それから今後の事をどうするか検討だな。

「あの、大丈夫ですか?」

「!?」

 背後からいきなり声をかけられたので、俺は思いっきり距離をとり、神色剣を構える。声を出した本人は何故か慌てていた。

「あ、えっと、ごめんなさい」

「て、なんだ。モミジだったのか」

 どうやらいきなり声をかけてきたのはモミジだったらしい。なんだ。てっきりゴーレムの奇襲かと思ったぞ。

「俺の方はなんとかなる。それでそっちはどうだ?奥に進めたか?」

「それが・・・」

 モミジはある方向を指差す。その方向には、ヤヤとユユがいた。

(あれ?)

 何故あそこで立ち止まっているんだ?奥に進めばいいのに。もしかして俺の事を待ってくれているとか?・・・どうなんだろう?俺の心境としてはそうであってほしいが、別の理由だろうな。通りたくないとか、通る事が無理とか、通ることが出来ないとか、そんなところか。ということは、この無駄に広い空間に何か仕掛けがあるというのか?ま、これらはあくまで俺の推測だから、当たっているとは限らないが。

「奥への道がないんです」

「ん?つまり、ここがこの洞窟の行き止まりということか?」

「そうなんです」

 う~ん・・・。それじゃあ、この広い空間に、このゴーレムが守りたい何かがあるのか?それじゃあ、このゴーレムの額に書かれているこの暗号みたいな文は一体・・・?そういえば、ヤヤ達がいた場所にスイッチみたいなものがあったような気がする。それは一体何のために使うのだろうか。

(駄目だ。考えることが多過ぎる)

 もう考えることが面倒くさくなってきた。一度、考えを整理しておいた方がいいかもしれない。

「あ、あの。このゴーレムさんの額に書かれているものは何ですか?」

「ん?ああ、これは・・・、」

 俺は、先ほど解読した事をモミジに伝える。

「もしかしたら、ヤヤさん達が何か知っているかもしれません」

「確かに」

 ヤヤ達なら何か知っているかもしれない。この国に住んでいるのであれば、このゴーレムに関する情報を何か仕入れているのかも。保証はないが。

「それじゃあ私、呼んできます」

「おお、任せた、ぞ!」

 俺は動き始めたゴーレムに神色剣で切りつけ、大きな切り傷をつける。それなのにゴーレムは、何事もなかったかのように動き続け、俺めがけて拳を振り下ろす。

「そんな単調な攻撃、もう効かねぇんだよ!」

 俺は先ほどと同じように、神色剣でゴーレムの攻撃を受け流す。その後、ゴーレムの腕を思いっきり切り落とす。力を入れて神色剣を振り下ろしたからか、断面がきれいだ。

「【空縛】!」

 ゴーレムの動きを封じてから、

「スイッチ、オン!」

 沼出現スイッチをゴーレムに向けて押す。

 まったく。隙あらば攻撃してきやがって。

「よ、呼んできました」

 モミジの後ろにはヤヤとユユがいた。俺はさきほどまで話していたことを簡単にまとめて話す。

「なるほど・・・」

「そうなの?」

「多分、だけどな」

 俺の推測も入っているからなんとも言えないが。

「だから伝承で、“前と”からはじまるもの、ないか?」

「一つ、あるんヤよ。ね、ユユ?」

「ユ」

「え?」

 それって何だ?

「それって、さきほど話されていた伝承、ですか?」

「あ」

「だと思うんヤよ」

 どうやら、ここにいる全員が一つの伝承に辿り着いたらしい。

「確か、“前と後ろは常に抑えるべし”、だったな」

「それヤ」

「ユ」

 となると、これを体現すれば何か起きる、ということなのか?だが、体現するには一体、何をどうすればいいんだ?

「そういえば」

 ヤヤ達が向かった場所にボタンみたいなものがあったな。それ、押したのか?俺は気になったので聞いてみることにした。

「ううん。押してないんヤよ。二つあったし」

「は?」

 二つ、だと?俺は一つしかなかったように見えていたのだが?

「一つは確認できたが、もう一つはどこにあったんだ?」

「あっち」

 ユユがそう言い、指差した場所は、俺達が通ってきたこの空間の入り口だった。

(あれ?)

 そういえば、入り口と出口って、ちょうど向かい合うような位置にあるよな?そして、その中心にこのゴーレムが降ってきた。

 まさか?

「・・・なるほど。そういうことヤんね」

「?どうユうこと?」

「アヤトさんは分かりますか?」

「多分、だけどな」

 この考えが正しいなんて思わない。だけど、試してみる価値はありそうだ。この空間の奥に、こいつが守っているお宝があるんだ。どんなものか見ておかないとな。

「となると、ヤヤとユユにはあれをお願いしたいけど、大丈夫か?」

「うん!」

「「??」」

 あ。ユユとモミジ、分かっていなさそう。ここは、俺とヤヤの考えが同じかどうか確かめるためにも、話をしてすり合わせる必要があるな。

 俺は自分の考えを三人に話す。

「うん!ヤヤも同じこと考えていたんヤよ!」

「なるほど。それならありかも」

「さすがはアヤトさんです!」

 よかった。どうやらヤヤと俺の考えは同じだったようだ。

「それで、だ!?」

 話途中、何か大きな物音が聞こえる。物音の方角を見てみると、

「え?」

 ゴーレムが・・・進化していた。

 さっきまで人型だったのに、今は人型の上、何やら武器が色々追加されていた。腕、足、顔、胴体。様々な部位に何か加工が施されている。

「・・・」

 ゴーレムは折れたの方向に腕を向けると、取り付けた武器が光り始める。

「ヤヤとユユは例の場所へ!モミジは二人の護衛を頼む!」

「「はい!!」」

「アヤトさんは!?」

「俺は、」

 言葉を言い終える前に、ゴーレムは腕から魔力の塊を俺に発射させる。

「ち!」

 俺は咄嗟に【魔力障壁】を展開し、ゴーレムの攻撃を防ぐ。

「引き続き、時間稼ぎをするよ。だから、後は任せたぞ」

「「「はい!!!」」」

 さて、俺もこいつの気を引くため、徹底的に妨害するか。

「【結界】!」

 俺はゴーレムを【結界】で包囲させ、行動を制限させる。ついでに、沼出現スイッチを起動させ、【空縛】で拘束を強化しておく。

「・・・」

 すると、ゴーレムは腕に魔力をため始め、上方、俺の【結界】に魔力の塊をぶつけた。結果、俺の【結界】を破壊した。

(あいつ)

 俺の【結界】を動かずに破壊するとは。なんで急にこのゴーレム、武装したんだ?まさか、一定回数再生すると、自動的に武装を追加して再生するのか?

(どんな仕様だよ!)

 そんなことに突っ込んでいても仕方がない。俺はさらに拘束を強めるため、

(変われ)

 神色剣を神色鞭に変化させる。そして、その神色鞭をゴーレムに巻き付け、縛り付ける。

(よし)

 これであいつも動けないはず。

「ん?」

 なんか、また腕に魔力を溜め始めたな。だが無駄だ。そんなことをさせるほど、俺は間抜けではない。既に間抜けなところを晒しているのだが。

「【空気の刃(エアカッタ―)】!」

 俺はゴーレムの腕を切断し、相手の魔力チャージを無駄にする。

(さて、)

 これで多少の時間を稼ぐことはできるだろう。今の間にヤヤ達が上手くやってくれると嬉しいのだが。

(もう少し、か)

 見たところ、あともう少しで目的地に着きそうだな。となると、俺はもう少しこいつの相手をする必要があるな。

「それじゃあ、と」

 こいつを細分化し、再生するの時間を増やすとするか。そのために、今まで以上の手数、攻撃力が必要だ。なら、【色装】で己を強化すれば問題ないな。

「【六色装】」

 少し前までは維持することが困難だったのだが、今では楽々である。今はそんなことどうでもいいか。

(神色鞭を神色剣に変化させて、)

 俺は進化したゴーレムを切りつける。

 まずは胴体。次に足。そして腕、頭。おおよそのパーツに分けたら、パーツ毎に細かく切り刻み、跡形もなくする。

「ふぅ」

 こんなものか。これでもし再生してきたら、それはそれで恐ろしいな。これで再生したら、このゴーレムは細胞すら残さず切り刻む必要があるからな。

「!?」

 少しのんびりしようと気を抜いた瞬間、目に見えない無数の残骸が宙に浮き、ある形を形成し始める。

(嘘、だろ)

 あそこまで切り刻んだはずなのに再生するのか!?こいつみたいな敵と敵対することになった時用に、倒す手段を考えておかないとな。

「・・・」

 そして数分。さきほど切り刻んだはずのゴーレムが復活した。

「まじ、かよ」

 なんなんだよ、こいつ!再生能力高すぎるだろ!?こんなやつ、いくら時間をかけたところで・・・!?

「ああ、そうか。そうだったな」

 こいつの再生能力の高さに驚き、つい忘れていた。この戦いはあくまで時間稼ぎ。その時間とは、ヤヤ達が成功するまで。ちょっと様子見てみるか。そのために、こいつにはしばらく動けないようにするか。

「【空縛】。【結界】」

 その上、沼出現スイッチを押し、徹底的にゴーレムの動きを封じる。今の進化したゴーレムなら動かずに突破されるかもしれないが、少しくらい時間を稼げることだろう。

(さて、)

 ヤヤ達の方はっと。

(お)

 どうやら所定の位置についたみたいだ。

 ヤヤは、俺達がこの空間に入り口に。ユユはヤヤの反対側に。今頃、あの二か所にあったスイッチらしきものを押しているのだろう。

 ・・・本当に押しているのだろうか?ここからは遠くてよく分からん。押していると思うのだが・・・。

「ん?」

 なんかモミジが急にヤヤの元へ動き出したな。今までヤヤとユユの中間に位置していたのだが、急に移動したな。そんなに慌ててどうしたんだ?それに上を見て・・・上?俺は上を見てみると、

「うわ!?」

 本当に今更なのだが、天井高くね!?と思ったが、なんかだんだん低くなっているような・・・?もしかして、もしかしなくとも、天井、落ちてきている?

「やば!?」

 そう考えると、モミジが逃げる理由も分かる。というか、そう考えると今の俺ってかなりピンチじゃね!?この空間だけやけにだだっ広いな~とか呑気に考えるのは後回しにして、逃げる事だけ考えよう。幸い、ヤヤとユユのいる場所は見たところ、あの落っこちている天井の範囲外っぽいし、あそこまで逃げることが出来れば問題ないだろう。あの速度と位置なら、おそらくモミジは助かるだろう。問題は俺だ。

「【赤色気】!」

 俺は【赤色気】を発動し、ユユの方へ急いで向かう。幸い、間に合った。本当によかった。もし間に合わなかったらと思うと・・・真夏の怪談以上に恐怖を覚える出来事となるだろう。それにしても、あの天井から落ちてきたものは一体何だったのだろうか?それに、この空間を一体誰が設計、製作したのだろうか?

(て、今はそんなことどうでもいいか)

 改めて俺はゴーレムの方を見てみる。見始めてから数秒後。

「「・・・」」

 落ちてきた天井にゴーレムが飲み込まれた。天井が昇り始め、さきほどの広い空間に戻ったと思ったら、ゴーレムはいなくなっていた。

(まさか、あの天井にやられたのか?)

 あの天井にゴーレムは巻き込まれた。俺にはそう見えたのだが、それで死んだのか?それも、再生不可能なレベルで?そのギミックを発動させたのは、ユユの近くにあるそのボタン。

(ふむ)

 なんか、小難しいことを考えるのは面倒になってきたな。

 なんかよく分からんが、天井が落っこちたことでゴーレムは死んだ。うん、これで完結したな。そういうことにしておこう。

「これで、あのゴーレムはやられたの?」

「多分、な」

 ユユの質問に、俺は憶測で返事をする。俺だってあのゴーレムの行方なんか知らない。一応、ゴーレムが今後出てくることを警戒し、より用心して奥に進むとするか。

 そういえば、奥への道、ないんだったか。これからどうするか。と、俺が悩んでいると、

「ところで、これからどうする?」

「?奥に進むのではないユか?」

「奥に?でもさっき道が無いって言っていなかったか?」

「うん。でもさっき出来た」

「は?」

「これ」

 よく見てみると、確かに奥への道があった。一瞬、俺達が洞窟から来た道なのではないかと思ったが、それは無い。何せ、その道は今反対側にあるのだから。今までの状況から仮説を立てるとすると・・・。

「あのゴーレムを倒すことで出現する道、ということなのか?」

「多分」

 そう考えると納得できるな。そして、この奥にあのゴーレムが守っていた何かが眠っていると。

(なんかワクワクするな)

 どんな宝が眠っているのか想像するだけでドキドキだ。こんな気持ち、子供の時はよく体感していたな。それ以上に孤独の辛さも体感してきたのだが。・・・なんか急にユユを抱きしめたくなってきた。犯罪者にされたり、ビンタされたりする可能性が大いにあるのでやらないが。

「「アヤトさーん」」

 お。モミジとヤヤがこっちに来たみたいだ。確かに見たところ、ゴーレムもいなくなったし、安全だと判断したのだろう。

「おお。そっちは無事か?」

「はい。こちらは無事でした。アヤトさんの方は大丈夫でしたか?」

「ああ。それよりこれだ」

「「あ」」

「ユユが見つけてくれたんだ」

「ユユ!あるがとう♪」

 ヤヤがユユに抱きつく。やっぱ、姉妹のこういうやりとりを見ているのって癒されるな。心和むというか落ち着くというか。

「さ、この奥にあのゴーレムが守っていた何かがあるはずだ。みんなで行くぞ」

「「「はい!!!」」」

 俺達はゴーレムとの戦いを終えて、洞窟の奥へと再び進む。

次回予告

『4-2-36(第310話) 洞窟の奥へ』

 無事にゴーレムを倒した彩人、モミジ、ヤヤ、ユユの4人は、洞窟の奥に足を進ませ、戦利品を獲得する。


 こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。

 感想、評価、ブックマーク等、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ