4-2-34(第308話) 出現!宝を守る鉄壁の番人
俺とモミジは今、何をしているのかというと、
「それにしてもこの穴、それとも洞窟でしょうか?長いですね」
「そうだな。確かに長いな」
穴、もしくは洞窟を探索している。洞窟の中は暗かったので、火を点けた木の棒を所持している。たいまつ、買っておけばよかったな。ま、魔法で火をだせるからいいけど。
「本当にこんな場所があったなんて、驚きなんヤよ~。ヨヨ、知っていた?」
「ううん。ユユも知らなかった」
ちなみに、俺とモミジだけでなく、ヤヤとユユにも来てもらっている。この国に住んでいるのだから、何か知っているかもしれないと判断し、一緒に来てもらったのだ。
(いざという時は、俺がおとりになって、モミジと一緒に逃げてもらうか)
万が一のことは既に決めてあるから、即座に行動できるはずだ。万一の事なんて起きて欲しくないが。
ちなみに、他のみんなはあの滝周辺で待機してもらっている。洞窟入り口から敵が入ってこないようにお願いしたのだ。戦力的にも人数的にも知識的にも問題ないだろう。むしろ、こっちが心配だ。
(逃げることも考えているから、これくらいの人数でちょうどいいかもしれないな)
そう考えておくことにしよう。それにしても地元民も知らない場所、か。この洞窟にまつわる情報、1つくらいあってもおかしくないと思うのは気のせいか?それともみんな、滝の周りに自生している茸に夢中で、この洞窟に気づかなかったのか?ま、いずれにしても、この先を確認しておきたいし、先に進むとするか。
「へぇー。黄の国にそんな諺があるんだな」
「そうなんヤよ。ね、ユユ?」
「ユ。」
俺達は道中、黄の国に伝わる複数の伝承について話を聞いていた。
1つ目は、【前と後ろは常に抑えるべし】という伝承だ。俺も最初、どういう事を指し示しているのか分からなかったが、ユユが教えてくれた。なんでも、前とは物事の最初の事で、後ろは物事の最後を指し示しているらしい。そして抑えるというのは、把握とか理解とかそういう意味。
つまり、物事の初めと最後は常に把握しとけ、という伝承らしい。
俺がこの言葉に関する説明を受けて一言、
(へぇ)
それしか言えなかった。ま、国だけでなく、地域によって伝承って異なるだろうし。郷によって様々な言い伝え、慣習等がある、ということだろう。方言とか方言とか、方言とか。方言しか言っていないな。
そんな話を続けながら歩いていると、
「何ここ?」
「さぁ?ヤヤも分からないんヤよ。ユユは?」
「ううん」
「私も分からないです。ごめんなさい」
「いや、謝らなくていいから」
ちょっと開けた場所に着いた。この洞窟の奥に、こんな広いスペースがあったとは。一体誰がこのスペースを・・・?いや、今はそんなことどうでもいいか。
ん?なんか奥に見えるな。あれは・・・見えないな。
(【赤色装】)
俺は【赤色装】を使い、視力を上げる。その先には、
(あれはボタン、か?)
奥に見えたのは、ボタンっぽい何かであった。
「奥に何かあるようだぞ?」
「ほんと!?ならさっそく行ってみるんヤよ!」
そう言い、ヤヤは一足先に向かう。
「だな」
俺もヤヤの意見に賛同し、ヤヤの後に続く。その後ろにはユユ、モミジも続く。
そして、数歩歩いた後、事態は急変する。
ガコン。
「「「「!!!!????」」」」
俺達が歩き始めた時、何か音が鳴った。何の音かは分からない。だが、何か嫌な予感しかしない。
「やばい、急ぐぞ!」
「「「は、はい!!!」」」
俺は3人を急かす様に言葉をはき、走り出す。だが、既に遅かった。
「!?」
俺は前後左右を見ながら、警戒しながら奥へ走る。一見、何も変化していないようにみえるが、俺の鼓動が、体が警報を鳴らしている。その警報は生存本能として正しかった。そして、その原因が分かった。
(これじゃあ間に合わないか)
鉢合せする事間違いないな。
「みんな!上に気をつけろ!」
「「「!!!???」」」
俺が言った直後、上から何か降って来たらしく、俺達の目の前に土煙が盛大に上がる。その土煙のせいで詳細は分からないが、俺達にとって嫌なものであることは間違いないだろう。
「迂回、すユ?」
「もちろん」
俺達はユユの案に賛同し、正面突破しようとしていた道から、端っこを通る道へと変更する。
「・・・」
やがて土煙は晴れ、降ってきた何かの正体が明かされる。
「あ、あれは!?」
どうやらヤヤはあの何かの正体に見覚えがあるらしい。
「あれだよね、ヤヤお姉ちゃん」
「うん。あれヤ、あれ」
あれって何だ?いや、俺も心当たりがあるんだけど。主にゲームで。
「結局、あれは何なのですか?大きな石に見えるのですけど」
どうやら、モミジには思い当たる節がないらしい。無理もないか。生後一年未満だし、知識量が俺より少ないからだろう。俺の知識、だいぶ偏っているけど。
「あれは動く石像で通称ゴーレム。ある本ではこう書かれていたんヤよ」
宝を守る鉄壁の番人、と。
次回予告
『4-2-35(第309話) VS宝を守る鉄壁の番人、ゴーレム』
洞窟内を進む彩人、モミジ、ヤヤ、ユユの4人は、目の前に現れた宝を守る鉄壁の番人、ゴーレムと対峙する。
こんな感じの次回予告となりましたが、どうでしょうか。
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